2017年3月18日土曜日

THE BOUNDARY BETWEEN KOGEI AND DESIGN 「工芸とデザインの境目」展より




THE BOUNDARY BETWEEN KOGEI AND DESIGN     
「工芸とデザインの境目」展
金沢21世紀美術館にて2016.10.8-2017.3.20(月 祝)



21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa

金沢21世紀美術館 


工芸とデザイン、二つの言葉が示すものは何なのかを、主に視覚を通してじっくり考察できる格好の展覧会。


言葉が違うのだから、同一ではない。共通部分は確かにある。工芸の中にデザインはある。デザインの中に工芸も。


デザイン、design

ラテン語でもフランス語でもdeは起点、出発点を示す。signは指し示すこと。フランス語を学んでからの私は、この外国語の本来の言葉の意味を「指し示すことから」といったニュアンスで抽象的に受け止めてきた。


何か具体的な存在、

すなわち形や色、匂い、物理的接触による手触り、重み、音、味などを持つものを創るには、一つひとつの段階で「決める、指し示す」選択思考が必要だ。そしてその大前提として、その具体的存在に何の意味を持たせるのか、という熟考が必要になるはず。これら全てのプロセスを含む思考と創造を「デザイン」と私は呼びたい。


中学生の頃、全科目の中で美術が一番楽しかった。最近当時の通知票を発見。美術の項目として「絵画」「工芸」「デザイン」「鑑賞」と4つ位あった。その中で特に優れていると先生が評価されたものに◯がつけられたそうだが、私の場合は「工芸」と「デザイン」につけられていた。確かに美術の授業の中で、一枚の皮から切ったり編んだり色付けまで全て手で作ったペンケース創作は楽しかったし、自分のイニシャルS.Hをモチーフにイメージを色彩構成する課題も本当に面白く、30年以上経った今も自分がどんな色と形を選んだのかよく憶えている。


実際に素材を選びリアルに手でつくってみるプロセス体験と共に、定めたイメージを「指し示し」ながら色と形を決めていく思考は、その後の私の生き方を豊かにした。

「特定のイメージを、あるいは、自らの意図する意味をかたちにするために熟考する」ということの大切さが常に念頭にあるゆえに、日々新しく思考するという新鮮な喜びがある。


1週間後はプロダクトデザイナーの辰野しずかさんとのトークイベントを実施。

3/25(土)

「Designer's Talk with Aromatherapist : 

五感で楽しむデザインの魅力~デザイナー、辰野しずかさんに聴く~」

http://sawaroma.blogspot.jp/2017/03/325designer-talk-with-aromatherapist.html


普段は人が無意識に知覚している漠然としたイメージが、五感それぞれを意識化することでどう再構成されるのか。

辰野さんによるプロダクトデザインを通し、参加者の皆様と新しい発見に出逢いたい。


東京にて、sawaroma より。



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