2014年1月30日木曜日

"Laurier 62" に魅かれる

ル・ラボ。
厳選された香料を駆使して
テーマの香料と使用香料数の並列で香りをネーミングするブランド。

ROSE31とか
SANTAL33とか。

新作のキャンドルのネーミングにチョット驚く。
Laurier 62: New Candle by Le Labo
11/20/13 17:26:46
By: Elena Knezhevich


62。
これまでにない数字。
おそらく最高数。

あの清々しいハーブのローリエが…。
ローズマリーやユーカリ、タイム、
クローブ、パチュリ、サンダルウッドなど
なんとなくお馴染みの香料のほか
53種類で如何に表現?

キャンドルは熱とともに変化しながら香りを漂わす。
その経緯を考慮した上での調香にどんな美が描かれているのか?
62種類がいかなるローリエの隠された魅力を香らせるか?
かなり興味深い。

香水には何百種類もの香料が調香されているとよく聴く。
実際そのクリエイションを想像してみると
とてつもなく繊細な感受性と香りの変化に対する観察力を要する作業。
あらためて調香師を尊敬する。

2014年1月29日水曜日

『ディア・ライフ』アリス・マンロー著に出会う

月曜日。
品川の書店で、ふと、あてもなく新刊を探す。
しなければならない仕事が山積みで
直ぐにでも帰宅して取り掛かるべきなのだろうが
こういう時に限って私はまったく仕事とは無関係の世界を覗きたくなる。

目を引いたのは見憶えのあるタッチの植物画。
波多野光さんのイラストが表紙になっている。
赤い帯には「アリス・マンロー」。
そう、この名前を昨年10月にノーベル文学賞受賞者として聞き
亡き父と同じ1931年生まれと知ってから
必ず作品を読んでみたいと思ったのだった。


『ディア・ライフ』アリス・マンロー著 小竹由美子訳 (株)新潮社

6才のころ、母から世界名作全集を与えられたときのように
純粋に「ひとつひとつの物語を読んでみたい」気持ちになった。
何かを学ぶためでもなく、知るためでもなく、感じるために。

短編集。
50ページにも満たない短編が14。
さっそく最初の物語を読んだ。
すぐに次を読もうという気持ちよりも
ぐっと深い余韻から、想像力を刺激され
登場人物の女性のその後を頭の中で映像化するのを楽しみたい気持ちに
数日間浸った。

物語を文章で表現することの創造性に、文章の長さは関係ない。
アリス・マンローが「短編の女王」と呼ばれただけではなく
30代後半から82才に至るまでの彼女の執筆活動に対して
世界的な文学賞がおくられた事実から、あたたかいものを感じた。

ディア・ライフ。
英語教師であった私の父は一年前の今日、まだ生きたかったのに他界した。
彼が終わりを予感したときに"Dear Life."という気持ちになったかどうかは
わからないが、いつ命の終わりがくるのかわからないからこそ、
生きているうちにそんなふうに感じる心を忘れたくないと思った。




2014年1月25日土曜日

牡蠣のチャウダー・酒粕仕立て

フレッシュな香りの酒粕をたくさん頂き
これをどんな料理に活かすか家人と検討。

ふわっとフルーティーな日本酒の香りが合うのは…と。
いまが旬の牡蠣のチャウダーに決めました。

最初に牡蠣を白ワインで酒蒸しするのですが
あとで酒粕と合わせることを考えて日本酒で。

角切りのタマネギ、ジャガイモ、ベーコンを炒めて
市販のフュメ・ド・プワソン(フランス料理で使われる魚だし)
のスープに投入。そのときに酒粕も約50グラム溶いて投入。
ジャガイモが柔らかくなってきたら
味をみて塩、コショウ、牛乳少々をプラス。
酒蒸ししておいた牡蠣と茹でておいたブロッコリーを投入。
ひと煮立ちで出来上がり。


想像どおりの相性。
牡蠣の旨味に酒粕の香りがよく合います。
真冬にピッタリ。

チャウダーのベースとなったフュメ・ド・プワソン。
ル・モンドのブログ記事でクラシックな作り方を発見。

Fumet de poisson classique
Les bases sont les fondements de la bonne cuisine.

舌平目の骨からダシを丁寧にとり
ブーケガルニや白ワイン(またはベルモット)の香りの力を借りて
上品な魚介ダシができあがります。フランス語のレシピには
いかに焦がさず、綺麗なダシをとるか、香りを大切にするかへの
熱意が感じられます。

2014年1月24日金曜日

「香り」の未来を考える〜 Michel Roudnitska 氏の言葉より


未来のことを考えるとき
原点を見つめ直すために時折読み返す本の一つが
『香りの創造』エドモン・ルドニツカ著 /曽田 幸雄訳 (白水社)。
4年前、香りの音楽表現をテーマとする論文を執筆したときも
この本を参考文献としていた。

エドモン・ルドニッカ(Edmon Rondnitska)。1905~1996。
20世紀に活躍した偉大な調香師の一人。

ちょうど今月読みなおしていた矢先。

マグノリアに魅かれてチェックした記事
Magnolia Grandiflora – Michel
01/21/14 18:08:43
By: Jordan River
の中で
ルドニツカ氏のご子息であるミシェルさんも
現在調香師として香りを創造していることを知った。
彼は最初は写真家として、ビジュアルアーティストとしての
表現活動を積み上げた後
40才になって本格的に調香の仕事に取り組んだという。

そんな彼への貴重なインタビュー記事も発見。
彼は過去の人ではない。
父親譲りの繊細な感性、観察力、洞察力をもって
現代に生きるデザイナー、表現者である。
ゆえにこのインタビューでは過去の功績話で終わってはいない。
21世紀の現代
「香り」のマーケットが置かれている深刻な現状を
鋭く簡潔に指摘し、これから成すべき歩みに言及している。
Exclusive Interview with Michel Roudnitska
07/24/09 15:34:05
By: Michelyn Camen

この記事が書かれた2009年は私にとって忘れ難い年。
文化としての香りの価値を伝えるべく
稀少な天然香料の一つであるダマスクローズ香料のブランド、
パレチカの監修をはじめた年でもあった。素材あってのクリエイションの発達、その可能性を現代の解釈で再構成できる感性こそがこの先求められるはずであるし、前世紀に使い放題で枯渇しつつある天然資源と自然環境のサステナビリティを考える上で重要なアプローチになればと考えていた背景があった。

この長い記事の前半、父エドモンさんの弟子でもあったジャン=クロード・エレナ氏(現在エルメスの専属調香師)とミシェルさんとのエピソードも実に興味深い。
調香の修行を積んできたエレナ氏。
一方で幼い頃から父と暮らし様々な香りに触れてきたとはいえ
20代以降写真家や視覚表現におけるキャリアを積んできたミシェルさん。
二人が同時に別々の考え方で調香した香りのクオリティレベルが
二人で互角と認め合えたらしい。
表現者としてのキャリアが確実に活きていたと言えるだろう。

視覚表現、音楽表現それぞれでキャリアを積んだ経験が
調香のクリエイションに活きた例は他にもいくつか知っている。

人は、生きるために呼吸を止めることはできない。
何かを視ているときも周囲の匂いを同時に感じ
耳栓をしていない限り音も感じている。
見えないものを同時に「視て」いる。そして感じる。
三つの感覚が響きあってこそ感じられる。

2年前に書いた記事。
見えなくても確かに存在するもの
この記事後半に記した大学でのアプローチを
今年度まで9期にわたって実験的に行ってきた。
結果、クリエイターを目指す若い彼らによって
未来へと開かれていく「香り」活用の可能性を
私自身が期待しているところでもある。

2014年1月19日日曜日

みかんマフィン

今日も快晴ながら冷たい風吹く東京。

買い物途中で目に留まった
ペンギンペストリー さんの「みかんマフィン」。



最後の2個を買ってしまったので
明るいうちに、sold out。

今日のお昼頃
ペンギンペストリーさんのFaceBookページで
紹介されていましたが数時間で完売という人気ぶり。

マフィンの生地に
みかんを皮ごと使った自家製ペーストを混ぜ込んで
焼き上げられたそうです。
バターたっぷりの生地に「みかん」が爽やかに香る…
寒いさむい冬ならではの嬉しさ。

しっとり。さっくり。甘い香りと優しい味わい。

オレンジマフィンではなく「みかんマフィン」。
懐かしくて、嬉しい響き。


2014年1月18日土曜日

あの紫の香り…ほんのり今年の色を帯びて

ボトルカラーや
香りのイメージから
私が「紫の香り」と呼んでいるものの一つが
紫の香り・ジャンヌ・ランバン クチュール オードパルファムの、透明感あふれるみずみずしさと静寂な余韻の深さを併せ持つフレグランス。2012年5月に入手。

このラインから今年新作がデビューするという。
Lanvin Jeanne Lanvin Couture Birdie
01/18/14 02:42:51
By: Sanja Pekic


サブネームは"Birdie"。
鳥の羽根が描かれたパッケージ。
パラダイスの鳥の神話…。

構成する香料はほとんどオリジナルと変わらないようだが
明らかに異なるのは色。

オリジナルのあの濃紺にも近い紫色ではなく
ややピンクがかったやわらかな紫色。
…思い起こしたのは
パントーンが発表した今年の色、Radiant Orchid。
Pantone Color of the Year 2014

2年前デビューした香りのエッセンスを受け継ぎ
さらに今年の
いまの空気を映した色で
描き直された新作に
柔らかな「今年らしさ」を少し期待。


2014年1月17日金曜日

気分に合わせてフレーバー(ナッツ&フルーツ、ミント…)

チョコレート。
カカオのほろ苦く甘い香りだけでも
十分に幸せになれるのですが
フルーツやナッツ、ハーブなどで
フレーバーを加えると
一段と満足度が上がります。

香りの力は偉大。

昨日みつけた定番チョコの期間限定フレーバー。
紫に映えるオレンジ、クランベリー、アーモンド。
まさにこの写真のとおりオレンジピールの香りが満喫できます。



フルーツの甘酸っぱさとナッツのコク深い香ばしさ。
かなりいい感じ…と嬉しくてパッケージの裏をみたら
あのプロヴァンスのショコラティエ、ジョエル・デュラン氏も
このチョコレートをほめていらっしゃいました。

チョコレートの香りを活かす
素材との比率も重要。

Carré de parfum par Joel Durand (ジョエル デュランのチョコレート)を回想。

そういえば初夏のころ、こんなチョコレートも見かけました。



私はミントフレーバーも季節に関係なく大好きなので
夏に限らず…とは思いますが
こうして季節限定にすることで
暑いとき、
寒いとき…
それぞれの
「いまの気分を満喫する幸せ」を
感じられるということなのでしょう。

先日フランスから一時帰国した友人のおみやげに
たくさんのフレーバーチョコレートが
ぎっしり詰まった缶がありました。
一粒ごとにいろんな気分を味わえる幸せが
目からもすぐに想像できたこと、思い起こしています。

2014年1月15日水曜日

あてなるもの・鮮やかないちごの赤


1月。新雪の白さがまだ脳裏に残像としてあるうちに、と
鮮やかな赤いいちご。


とちおとめ。
明るくみずみずしい赤。


白に映えるこのような赤いいちごを目にすると
必ず回想するのが
『枕草子』の「あてなるもの(気品のある美しいもの)」の一節。
梅の花にふりかかった雪や、いちごを食べるかわいらしい幼児が
「あてなるもの」として挙げられています。

その香りも
色の鮮やかさに匹敵する芳しさ。
やわらかい口当たりとともに
鮮烈に香ったかと思うと甘くやさしい余韻へ。

こんな記事も書いていたことを回想。
イチゴの香り〜 ロシアのお茶〜 "Miss Dior Cherie"



2014年1月13日月曜日

L'arôme de la meringue〜フレッシュな和製メレンゲ・『おわら玉天』


上越新幹線車内で『トランヴェール』1月号に遭遇。
「みつけた! ご当地スイーツ」のページに
子供の頃に大好きだった郷里の銘菓『おわら玉天』(元祖)。



同行者が食べてみたいというので買ってみました。

外見はスクエアキューブの厚焼き卵。
黄身がほんのり香ばしく焼けた薄皮の中身は
まさに淡雪のようにプルンと柔らかなフレッシュメレンゲ。
デリケートな卵白の香りが
まるで淡雪のごとく口の中に。

年末、フランス男性と結婚して20年以上在仏という友人に
「和製メレンゲのようなもの」といって
卵白と寒天と砂糖でサクッとした口当たりにつくられた焼菓子を
お土産にしたばかりでした。
このタイプのお菓子としては
『月世界』もありましたが、これが和製メレンゲであるとすれば
『おわら玉天』はフレッシュな半生タイプのメレンゲ。

ほのかな卵の香りを上品なアロマとして美味しく頂けるのは
「おわら玉天本舗 八尾の菓子職人シリーズ」にも語られているように、作り手の細やかな配慮のおかげなのでしょう。


2014年1月12日日曜日

L'odeur de la neige ・雪の匂い

郷里は雪国。



雪といえば
光も土も植物も
浄化するような強さを放つ存在。



光と土と植物と…風が運ぶ潮の香りを含み
浄化しながら反射して発散する大気の静寂感が印象的。


雪のある大地に降り立つと
鼻から
皮膚から
一陣の清涼感が入ってくるのを感じ
自分も浄化されていくような気がします。

雪の地で過ごした数日
コチラ のオーデコロンが毎朝最初に皮膚に身につけるものとなりました。
身体に一陣の清涼感を軽く纏う程度の微香がほんのり残るだけ。
強い残香はなく
一日の終わりに皮膚から感じる身体の匂いのストレスもありません。
きわめて繊細で上品な余韻には
どこか雪のような静寂感がありました。

光と土と、植物の命を育む樹々の温もりと。
雪の匂いを描くならば
真っ先に私はこの三要素をイメージします。

清らかな印象に導かれ
触れる瞬間にスパークする鮮烈な香りは
たちまちのうちに消えて
消えたと思ったら
その清々しさだけは残っているような。


2014年1月9日木曜日

ほの香な梅湯


沸かした白湯に
紫蘇と塩のみで漬けられたちいさな梅干しを一つ。
待つこと一分。

ほの香な梅湯。

やさしくうれしい香りです。

消化器休めに一食抜くことにしました。
肝臓も休ませたいのでお茶も珈琲も今はやめて
白湯だけ頂こうかと思いましたが
…こんなときこそ梅干しです。

この、「ほの香」さ。
疲れた嗅覚と味覚の休養にもなりました。

飲み干した梅湯の下に残る梅。
やや塩分が柔らかくなって
それでいて心地よい梅香と酸味。

なんだか身体の中が洗われたような気分です。

やはりこのような梅干しは
欠かせません。

来月咲く梅が待ち遠しいです。



2014年1月8日水曜日

初めの7日

時は意識すればこそ刻一刻を感じるが
そうでなければ流れていく。

暦の上で一年の最初の日とされる元旦から7日が過ぎた。
元旦の夕暮れ。


いつもの元旦には行かなかった場所だったからこそ
眺められた風景。

いつもの年頭に行なっていたことをせず
違うことをしていたら
どうやら今年は
いつもとは違う時間になりそうだと感じる。

年賀状を書かなかった。
事前に喪中葉書も送っていない。
ちょうど約1年前に父が他界したことは
私個人のことであり、
新年を祝う多くの方々のご挨拶を頂くこととは別。
一周忌が明けて
梅がほころぶ頃に
改めてご挨拶状を送ろうとおもう。

数日自宅を離れるために荷造りをした。
旅先で使う香りは
普段は使わないものにしようと
アトマイザーに詰める。
ただし、私の好きな
とある天然香料の残り香のあるボトルに。

…と記憶に残っているうちに。



2014年1月5日日曜日

Burberry Brit Rhythm For Her・ラヴェンダーの温もり深く

試した途端、
「滑らかなラヴェンダー…。」

トップノートからすでに柔らかい。
ラヴェンダーの持つ複雑な深遠さを全面に感じた。

ヨーロッパで身嗜みのために使われるクラシカルな清潔感と
ウッディ・アロマティックな空気感。

いつか、どこかで…。
いつのまにか記憶に深く眠っていた香りのリズム。



オリジナルのBRITが発売されてから10年。
その名残りはボトルの凹凸にある。



ソフトピンクの液体のメインとなった香料は
fragranticaの記事
によると
イギリス・ケント産のラヴェンダーらしい。

しかしラヴェンダーはあくまでもラヴェンダー。
天然香料単体ではこのようなリズムは生まれない。
オリス(ニオイアヤメ)ルートの神秘的な粉っぽくウッディな香りや
フレッシュなピンクペッパー、ネロリ…etc.


気がつくと
夏に清々しく咲いていたはずのラヴェンダーが
まさしくこの液体の色さながらに
秘めていた温もりを漂わす。

かすかにほのかにふんわりと香らせたい。
まだ寒さが残る季節から春へ。
日本では2月19日発売。

情報提供
ブルーベル・ジャパン株式会社
香水・化粧品事業本部


2014年1月3日金曜日

五色の幕と五重の塔

元旦。

昨年までは
東の方に初詣に行っていましたが
今年は西へ。

高幡不動尊金剛寺

仁王門をくぐり
人波の中を不動堂へ。
鎌倉時代建立、東京都で最も古い文化財建造物。

お参りをしたあとさらに奥へ。
五色が見えました。




この五色。真言宗で五智如来の色とも言われ
5つの智慧を表す色なのだそうです。




境内をさらにすすみ
小高い場所へ登った地点から
五重の塔が見えました。
平安時代初期の様式で建てられた端正なかたちです。

右手をみるとたくさんの白い札。
あじさいの名前です。
こんなに多くの種類が咲く6月にも訪れたいと思います。

もみじもきっと綺麗でしょう。

年頭から
またひとつ美しい場所を発見して嬉しく思います。

2014年1月2日木曜日

招福・BONNE ANNÉE !

新しい2014年が
良い年になりますように ( " BONNE ANNÉE ! ")。

そんな気持ちで
再会した友人と
チョットした気持ちのかわりに、と交換したもの。



友人からはクマさん(パウンドケーキ)。
私からは招き猫(白い糖衣で包まれたチョコ)。

「可愛いっ。」
手にとった途端
子供のころからの感情が記憶に蘇り
すぐには食べられず
元旦に「招福!」と思いながら並べて撮影。

よく見ると
クマさんも白猫も
外袋にお顔が描かれているのでした。
なごみます。