2013年11月27日水曜日

ブランドを伝える今年の8香・鑑賞講義より


担当講義「ファッションとアロマ」後期9回目。
(文化学園大学 現代文化学部 国際ファッション文化学科)

8回目まで、アロマテラピーのみならず香水原料としても重要な天然香料20数種類を丁寧に鑑賞、言葉やヴィジュアルで表現する訓練を積みながら各香料の背景知識を得てきた学生たち。彼らに今年日本で発売されたフレグランスのうち主にファッションブランドのものをセレクトし、ネーミング、ヴィジュアル表現の解説後に香り鑑賞の機会を提供。

今年の選択のポイントは「ブランドを伝える」。

50年以上のブランドの歴史をもつフランスのレペットが初のフレグランスを発売したり、メルセデス・ベンツが女性向けの初フレグランスをデビューさせる意味は、
より広く深く、ブランド認知を高めようとする心意気の現れに他ならない。

イッセイ ミヤケにしても代表的なプリーツプリーズ誕生20周年目の今年にこの名のフレグランスを誕生させているし、ジバンシィも1970年代に熱狂的支持を得たという「ジバンシィ ジェントルマン」(1975)を受け、現代のジェントルマンの新解釈として「ジバンシィ ジェントルマン オンリー」をデビューさせている。

クロエも2008年からの香りの表現の中心を成してきたローズにフォーカスし、これまでの香りとともにクロエフレグランス、クロエブランドを強調。

ポール・スミスはデザイナーであるポール自身の私的な世界をこれまでにないほどに表現した香りを時間をかけてプロデュース、フェンディはブランド発祥の地、ローマという原点を軸に赤をテーマとした香りを掲げている。

8点について
私がsawaroma記事で綴ってきたものを以下に貼る。

1,パルファム プリーツプリーズ イッセイ ミヤケ オードトワレ
2013年1月30日全国発売
「視覚から嗅覚への再構築・革新的デザイナーブランドの新香水」

2,ジバンシィ ジェントルマン オンリー オーデトワレ
2013年5月2日全国発売
「"Gentlemen Only"(Givenchy) と"Midnight in Paris"(Van Cleef & Arpels)」

3,メルセデス・ベンツ フォーウィメン オードパルファム
2013年6月5日発売
「現代を軽やかに疾走する女性へ・メルセデス・ベンツ フォー ウィメン」

4,レペット オードトワレ
2013年8月21日発売
「1947年創業『repetto』初のフレグランスが今夏デビュー」
「" Elegance is all " ・繊細なオーラを描くレペットの香り」

5,ローズ ド・クロエ オードトワレ
2013年9月4日発売
「薔薇の優しさにつつまれて・Chloé 新フレグランス発表会」
「ダマスクローズの気品が優しく香る " ROSES DE Chloé "」

6,パルファム プリーツプリーズ イッセイ ミヤケ オードパルファム
2013年9月18日発売
「紫のボトルと香料に魅かれて・Issey Miyake Pleats Please Eau de Parfum 2013」

7,ポール・スミス ポートレートフォーウィメン オードパルファム
2013年10月23日発売
「"Portrait " (Paul Smith )・香るたび、ポートレート」

8,フェンディ アクアロッサ オーデパルファム
2013年10月25日発売
「Fendi L’Acquarossa・生命力と揺るぎない芯を秘めた赤」

学生によるレポートを一読。
香りを伝えるヴィジュアル、言葉での表現の重要性を実感していることがよくわかる。さらに、9月からこの講義を受け始めたときよりも格段に彼らの香りを言葉で表現する力が高まっていることを感じられる。
35名の学生の感じ方は様々。どの8種にも「これが一番好き、印象的」というコメントがある。香りから具体的な人・場所・時間もイメージできている。
8種という比較の上でわかることも多い。
日本、フランス、ドイツ、イギリス、イタリアの名だたるブランドが香りを通じてブランド固有の価値を伝える表現にどれほど創造力を尽くしているか、そのリアルな実感は必要だろう。

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