2013年10月23日水曜日

sillage(残り香)の洗練とimpact(衝撃)の強調

1980年代の流行がこのところ復活しているという話を聴く。
当時の人気ドラマが再編されて特別番組になったり
当時のアイドルが再び脚光を浴びるとか。

とはいえ今は2013年。
当時とは社会環境がまるで違う。
たとえば'80年代は
インターネットも携帯電話もメールも普及していなかった。

ツールが違えば行動は変わり、服装も変わる。
表面的なところだけを見ていても、今は今でしかない。
決して1980年代のファッションや髪型が
そのままリピートされているわけではない。
復活しているといえばあの頃にあった
〈華やかさへの熱い想い〉かもしれない。

ドラマティックでこれ見よがしなほど
インパクトの強い出来事にときめくような筋書きが
80年代の華やかさであるならば
淡々とした日常の中に光る小さな宝石のような喜びを
真摯にすくい上げ、より洗練させて輝かせようというのが
2013年の今、求められている華やかさかもしれない。

個人的に、80年代に大好きだったフレグランスをいくつか鑑賞し直す。
やっぱり香りとしては好きで素晴らしい、とは思う。
香りの系統としては今も好きなジャンルであることには変わらない。
でも、そのまま同じ香りを今の私が纏いたいとは思わない。

最近のフレグランスは強烈な個性が無いとか
軽くてつまらない、という声をきくこともあるが
もっと丁寧にラストノートまで肌で試し
sillage(残り香)まで確かめてみてほしい。
肌に残る香り方は優しく、清潔感を失っていない。
インパクトはあっても特定の香料の特性だけが
剥き出しになるようなラストノートにはなっていない。
20年以上前のフレグランスには
インパクトはあっても
残り香が生々し過ぎるものもあったことを憶えている。

こうした余韻の洗練が、
2013年ならではの〈華やかさへの熱い想い〉ととらえたい。


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