2013年7月31日水曜日

味覚の記憶から・慣れ親しんだ和食の構造と再創造

マガジンワールド Webダカーポ 2013,7,31記事より
片岡英彦のNGOな人々 (Non-Gaman Optimists)
「日本料理と料理人たちのチカラ 辻調グループ代表・辻 芳樹さん。」


お魚やお米の美味しい北陸に生まれ
羅臼昆布や土佐の鰹でだしをとる祖母の丁寧な料理を
幼い頃からいただいていたことを思い起こしながら
興味深く上記を読みました。

辻さんのコメントには共感できる部分が多くあります。

たとえば冒頭。
食材をどう組み合わせて味をつくるかという話でお刺身がでてきます。
カルパッチョとの最大の違いは、魚は最初からわさびや醤油とはあえられていないということ。添えてあります。
そういえば私は、郷里で美味しいお刺身をいただくときはまず魚の味をあじわい、追いかけるようにわさびかショウガ、次に醤油という順で食べているのですが、こうした味の並列状態のことが指摘されていました。
多分海外の人であれば、最初から魚の生臭みなんてハーブや香辛料のソースで和えておこうと考えるでしょう。でも本当に新鮮な刺身は魚の種類によって独特の風味があり、一瞬でもまずはそれを味わいたい、という好奇心のような癖が私には子供のころからあるのでした。そのあとでじわりとやってくる生臭みを、強烈なわさびやショウガの激しい香味でガツンと抑えて…という流れの楽しみです。

そして鮎の食べ方。
どういうわけかあの鮎独特の苦味を食べると反射的に酸味が追いかけてくるような記憶が確かにあり、これは小さい頃から親戚の家で夏に会食をすると必ず出された鮎の食べ方だったと回想。おかげで鮎という魚の匂いの特徴、どことなく西瓜のような不思議な匂いもセットでおぼえています。

記事中、辻さんはこう語っています。
「フランス料理と日本料理を融合しようとした時に、その構造を一旦崩して最初から書き直さなければいけない時があります」

この言葉におおいに共感し、思い起こしたのが、私が小学生時代に祖母が定期購読していたNHKの「きょうの料理」テキストで特集されていたフランス料理の基礎。ベシャメルソースからはじまるソースの作り方が長々と写真とともに綴られており、これを見て当時の私は大きな衝撃を受けました。
普段食べている和食とは作り方がまったく違うであろうことに大きな好奇心をもち、幼いながらも、そうした知識を普段の家庭料理に祖母がどのように活用しているか聴いたのでした。
和食に慣れた家族の味覚に合わせるために、グラタン用のソースをフランス料理のソース式そのままではなく、アレンジしている工夫を聴かされました。祖母はとりたてて料理が好きだというわけではなかったそうですが、いかに大切な孫たち(兄と私)に栄養のある美味しいものを食べさせるかという情熱で、さまざまな文化圏の料理方法を研究していたのだと思います。
こうした祖母の細やかな努力のおかげで私は好き嫌いも特になく、のちに海外にホームステイした際にもその地の食を受け入れ、食材にも積極的に興味を持てるようになったのかもしれません。

こうした豊かな味覚体験は
香りを楽しむ感覚にも十分生かされています。

記事の後半で、辻さんが
お店のカウンターの杉の香り方をはじめとする店の香りで良い店かどうかがわかるというお話をされています。もっともです。味にたいする繊細な感覚は、嗅覚とともに磨かれるはずだからです。
もちろん、いかにしたら良い味、喜ばれる味を創造できるかという思いの延長上には日々の道具の手入れ、環境の整備も当然ながら重要な仕事となり、ひいてはそうした感覚を鈍らせない料理人自身の健康管理もできてくるはずです。そして、これは相手あってのもの。自己満足ではなく、味わって喜んでもらいたい相手のことを知らなければ、策は練れません。

海外に日本の味を伝える、そのままではなく、地域風土を研究・理解した上での想像と再創造という翻訳。まずは多様な感じ方や考え方の存在を知り、それらを受けいれることから慣れ親しんだものを見つめ直す必要がありそうです。


2013年7月30日火曜日

磨かれた新作が秋デビュー・Bvlgari Omnia Crystalline Eau de Parfum

ブルガリからこの秋新たなフレグランスデビューのニュース。

2005年に誕生した
透明感あふれるオムニア・クリスタリン・オードトワレの流れを汲む
最新の進化系として誕生するのは
ペールピンクの繊細なカラーをまとった
オムニア・クリスタリン・オードパルファム。

Bvlgari Omnia Crystalline Eau de Parfum
07/29/13 05:32:02
By: Sandra Raičević Petrović


調香師はこれまでのオムニアシリーズを手掛けてきたアルベルト・モリヤス。
「よりリッチでラグジュアリス、そしてさらに磨き上げて…ブルガリのモダニティにフィットする真にユニークで厳選された素材を駆使したクリエイションである」とこれまでのシリーズの最高を目指す挑戦的な意気込みを語っています。

同じカタチのボトルを使うのは
単なるヴァリエーションの一つということではなく
これまでのクオリティと哲学をさらに磨いた進化系を目指した
という証のためではないでしょうか。私にはそう見えます。
ちょうど先日コム・デ・ギャルソンの新作についても
デビュー時と同じカタチのボトルを採用している事例を紹介しましたが
今回もそんなブランドヒストリーを感じるのです。

時が流れる限り
クリエイションは
満足という終止符によって止まることはないようです。

蓮、マンダリン、アイリス・ルート…サンダルウッド、ベンゾイン…
こうした素材の新しい組み合わせがどんな繊細なメロディを奏でるのでしょう。

イメージモデルはリトアニア人モデル、Edita Vilkeviciute。
しなやかで繊細な魅力がこの女性のオーラとともに伝わってくるようです。

2013年7月27日土曜日

Maple Sugar ・Sucre d'érable・メイプルシュガー

カナダ・トロントに住む友人からいただきました。
メイプルシロップ100%のシュガー。



メイプルシュガー、と英仏二言語表記です。

カナダでは英語とフランス語の両方が公用語。
たとえば、モントリオールは二文化併用のめずらしい都市で
二言語が日常生活でほぼ対等に共存するそうです。
(『フランス語のはなし』ジャン=ブノワ・ナドー&ジュリー・バーロウ 著
立花英裕 監修 中尾ゆかり 訳 大修館書店 2008年刊 より)

私もかつて大学でカナダ人教授のフランス語講義を受けました。
今思い起こすと…独特の発音をされる先生でしたが
それはカナダに残された昔の伝統的なフランス語の片鱗だったのかも
しれません。

この、カエデのかたちの固形メイプルシュガーは
そのままキャンディとしていただいても美味しいのは勿論ですが
野菜や肉の煮物をつくるときにも使ったことがあり
その上品な仕上がりに感激したことを憶えています。

樹液ならではのコクのある風味。
寒い地域の人が発見した自然からの恵み。
ふうっと優しく鼻にぬける香りは
どことなく滋養を感じさせます。
ミネラルも豊富とか。


2013年7月25日木曜日

「青」の魅惑・Comme des Garçons Blue Invasion Collection

コム デ ギャルソンから新たな香り。

まずは英語圏のニュースサイトのコチラから。

かつてない新しい驚きを提供し続けるこのブランド。
その挑戦的なクリエイティビティは今回の香りにも十分反映されています。

ブランド初の香水とこの象徴的な形自体は同じですが
その色の使い方、ネーミング。
最も青い部分の多いボトル。
「青いお香」とでも訳しましょうか、
ヨモギとスパイスの好奇心をくすぐるアロマティックなブレンドは
まさに新しい青につつまれそうな期待感を漂わせます。

鮮烈なレモンの新体験を彷彿とさせるセドラ。
野生の緑の匂いとともに
イタリアの南のほうに旅に出ている自分を錯覚しそう。

そしてサンタル。
最も青い部分が少ないこのタイプは
私にはなんだか最も謎めいて見えます。


………

ブランド「コム デ ギャルソン」の生みの親であり
デザイナーである川久保玲さんは
初の香水を誕生させたとき
フランス美容雑誌 "VOTRE BEAUTÉ"1995年3月号誌上、
インタビューにおいて次のように答えています。

"J'ai voulu un parfum qui me plaise.
Je n'ai pas cherché à savoir si j'en vendrais beaucoup."
(私は自分が気にいる香りが欲しかったのです。
たくさん売れるものを、という探求はしなかった。)

一見、多く売れるものが良いという判断をされがちですが
長いスパンで見た時、
同じものが未来永劫長く同じように売れることなどあり得ないし
実は人は一人一人多様。全員同じ好みのわけがないのです。

常に新しい刺激、驚きを求める人、
他の誰でもない自分の感じ方を大切にしたいと思う
コム デ ギャルソンの支持者は
川久保さんのチャレンジングな提案を受け入れるでしょう。

さて、新作「青の侵入」について
フランス語サイトからのコチラの記事
こうやって青い部分が多い順に並べられると
何か見えなかったものが見えてきます。

2013年7月23日火曜日

雨上がりの緑

今日は大暑。
そして満月。

窓越しから
生まれて始めて体感するような
激しい雷雨。



数日前の
雨上がりの緑のきらめき。

明日はこんな緑に出会えますように。

もう東京の夏は亜熱帯のよう。
植物の強さに敬意を感じます。

「音楽に始まり、数学へと発展する」語学の面白さ

文字は音を表す記号であり
言葉は状況に応じた意味を表し
文章は心情、思考、状況…を表していきます。

これは…
香料が一つ一つの香りを持つ素材であり
香料の選び方でイメージという意味を持たせ
全体の調香により、ドラマや様々なシーン、メロディが
表現されていくのに似ています。

フランス語の動詞に改めて興味を深め
『初学者も 専門家も 動詞オンチではフランス語はわからない』
というフランス語文法研究者である一川周史先生のテキストを読んでいたら
こんなフレーズに出逢いました。誰が言ったかなどは書いてありません。

"Les langues commencent par étre une musique et finissent par étre
une algèbre."
(言語というものは音楽であることから始まり、代数になって終わる)

同感です。
まずは音、そして論理、表現。

さて私の幼少期。
外国語に音楽を感じて興味を持ちました。
とにかく話せるようになりたいと思いました。
以来、ラジオの講座をきいて英語を学びました。
ネイティブの方の発音をひたすら真似ました。
文法が面白くなってわかってきたのは
数学を学び始めた中学時代から。
文法という一定法則が見えて解ける面白さ。
中学生のときに一番好きな教科は数学と美術になりました。

さて私が大人になってから。
大学で何を専攻しましたかと質問され、
「外国語学部でフランス語を」と答えると
「ああ、仏文科のご出身ですね」
とよく誤解されますが
外国語学部と文学部とは全く違います。
とはいえ
学問としてのアプローチが違うだけで
両者に優劣はありません。
学んだことをどう生かすかは人次第ですから。
文学が好きな人は文学部で文学から研究すれば良いし
根本的に言語というものに、
そしてその言語と表裏一体の文化に興味のある人は
外国語学部で学ぶと面白いと思います。

少なくとも、母国語とは違う文化の言語を
その音から仕組みまで徹底的に「何故だろう?」の精神で
比較研究していくうちに…
思考の手段が拡がり
複眼的、多角的に物事を捉えるようになってきます。

今年の4月からNHKで放映されている
「テレビでフランス語」のテキストを愛読しています。こちらでは、最新フランス語事情を垣間見ることができるだけでなく様々な連載も面白いのです。

今期は、19世紀フランス文学ご専門の鹿島 茂氏による
「鹿島 茂のフランス文学教室」を毎号楽しく読んでいます。
ご紹介された作品のいくつかを
私は、フランス文学としてではなく
子供の頃に世界名作全集で日本語で読んだり
オペラで知ったものとして記憶していました。
一通りフランス語を学んだ上で鹿島氏の解説を読むと
一味も二味も違う解釈があって楽しいものです。
やはり原文は深い!と。

音楽でもあり数学でもあり芸術表現ともなりうる言語は
やはり文化の鏡そのもの、と思います。


2013年7月21日日曜日

愛らしく咲く大輪の一日花・ムクゲ(槿)

夏の陽射しの中
にっこりと微笑むように咲く
大輪の花に出逢いました。


子供の頃からよく見ていた花。
茶道や能に親しんでいた祖母が
この花の名前を教えてくれました。
夏になると家の前に咲く姿を
いつも嬉しそうに眺めていた祖母を思い起こします。

ムクゲ(槿)はアオイ科の植物。
学名の意味はシリアのハイビスカス?
暑い日々、毎日次々と開花するそうです。
潔く一日を生き切る、咲き切る
清々しくも涼やかな姿。

ムクゲ(槿)についてはコチラが参考になります。


昨年の8月、散歩中に接写で撮ったこの花もムクゲでしょう。


このときも楚々とした大輪の愛らしさに魅かれ
暑さも忘れて
いつの間にか近づいていたのでした。

涼やかで優しい笑顔のような
夏の花。


2013年7月20日土曜日

香る心・手で書く文字から


書家 前田遥水さんのWebサイト を訪ねました。

ちょうど暑中御見舞のご挨拶をと
かれこれ10年以上のご縁をいただいている前田さんへ
葉書に私の自筆で言葉をと思っているところでした。

トップページの前田さんのお言葉が何度読んでも印象に残ります。
「」に引用させていただきます。

「長い年月をかけて培われた日本の伝統芸術である、書道の表現を学ぶことは、ただ単に美しい字が書けるようになるだけではなく、人間関係の信頼性を築いてくれる糧となり、人生を豊かにすることにもつながっていくと言えるでしょう。」

ちょうど
大切に築いてきたご縁のある方々に
一枚一枚
手書きで夏のご挨拶を書いていた私には
響きます。

どんなにメールやSNSが主流になっても
手書きの文字で伝えたい気持ちは
私には子供の頃から変わらずあります。
その手書きの手紙だけで
長い期間ご縁をいただいている方々も
いらっしゃいます。

最近では
香りやフランス語の講義で学生に毎回配布するプリントも
あえて私の手書きでつくるようになりました。
デジタルにはできない有機的な行間、文字のかたち、大小…
これらから少しでも読む人に、文字から感じてもらうことを
多くしたいという思いからそうしました。

私にとって、文字は記号であり、暗号であり、絵でもあります。
一つひとつは決まった音を示す記号でしかないかもしれません。
でもどんなペンを使い
どんな線で書くか
どんな紙に書くかによって
私の気持ちの香り方は違います。
全体として書かれた文字が、一つの絵のように見えます。
その「絵」の記憶を心に刻みながら
伝えたい人へ。

これからも
文字を書くよろこびを
大切にしたいと思います。


2013年7月19日金曜日

" Elegance is all " ・繊細なオーラを描くレペットの香り

身体の軸となるウエストに1プッシュ。
続いて膝とくるぶしにも纏ったその香りは
優雅なステップを誘うかのように
あくまでもふんわり柔らかく、繊細にオーラを描いています。

昨日の記事にてご紹介のブランド、レペットの初めての香り。
そのボトルヴィジュアル。


フロストとクリアの優雅なバランス。
柔らかな光沢と曲線が
バレリーナのポーズのごとき佇まい。


ボトルネックにに巻かれたほんのりと淡いピンク。
華麗なステップを生むカルロッタシューズと同じくサテンリボン。
rのドロップペンダントが光ります。

発表会では
愛らしいサクラとペアーのトップノート、
うっとりするようなローズ&オレンジブロッサムが奏でるミドルノート、
パウダリーなバニラとアンバーウッドの温かみが漂うラストノートへと
三段階で香りのご紹介をいただきました。


その佇まいから感じるのは
複雑な美への想い、積み重ねたであろう熟考などものともせず
ただ優雅に存在し続けようとする強さ。
日常のあらゆる苦労など舞台裏に秘め
今日も生かされていることに感謝し
軽やかに前へ歩みたい人へ。

発売は来月の満月の日です。
時満ちた思いを香りとともに。


情報提供
ブルーベル・ジャパン株式会社

『モダン・パリの装い 19世紀から20世紀初頭のファッション・プレート展』

19世紀。
近代から現代へ。さまざまな仕組みが変化し切り替わっていく渦の中
人がどう生きていたか。装いには間違いなく反映されていると想像。

練馬区立美術館にて
7/14から9/8まで開催の展覧会
『鹿島 茂コレクション3 モダン・パリの装い 19世紀から20世紀初頭のファッション・プレート展』

7月27日には鹿島茂氏によるギャラリー・トークも開催。

19世紀のパリの様子、人々の装いを
昨秋ロシアの画家イリヤ・レーピンの描いた作品で観たことを
コチラの記事からも回想。


2013年7月18日木曜日

1947年創業『repetto』初のフレグランスが今夏デビュー

50年以上の歴史をもつブランドが
ブランド初のフレグランスをデビューさせるということ。

そのニュースは、2012年1月にフランスの美容雑誌の記事から知り
私もコチラに記録していました。

そして本日。





repetto(レペット)
銀座店におけるフレグランスの発表会に行ってまいりました。
発売は8月21日。満月の日。

このブランドと何と言っても深い関わりがあるのはバレエです。
人の身体の動きを最高に優雅に魅せること。
それがこのブランドのクリエイションの目指すものであることは
店内を眺めればすぐにわかります。

本日の発表会のために
パリ・オペラ座のプリンシパル・ダンサー、エトワールとして活躍し
2012年からレペットのアンバサダーを務め
今回初のフレグランスのモデルとなった、ドロテ・ジルベールさんが
来日されていました。


上記写真には
銀座店の2階から1階の階段を駆け抜ける
ドロテさんの美しい後ろ姿があります。



階段の左側には淡い桜のように柔らかなシューズの棚、
そして右側にはまるで劇場の幕を思わせるカーテン。

創業者のローズ・レペットが、バレエダンサーであり振付師である息子のためにバレエシューズをデザインしたことがきっかけとなって誕生したこのブランドは、オペラ座のダンサー達ばかりではなく、女優のブリジット・バルドー、作曲家でありアーティストのセルジュ・ゲンスブールにも愛されてきた歴史を持っています。
公式サイトのコチラ ではそのヒストリーが紹介されています。

ブランド創立66年目の2013年に初フレグランスデビュー。
歴史が築いたブランドのエッセンスが香りに。

2013年。
実はバレエの歴史上特筆すべき年であることを
私は、今春 コチラ の講演会をきっかけにご縁をいただいた、
舞踊研究家の芳賀直子さんからの情報やお話から知っていました。
ロシアの作曲家ストラヴィンスキーが、ディアギレフ率いるバレエ・リュスのために作曲した『春の祭典』。これは近代音楽としてだけではなくバレエという芸術表現としても画期的な試みが展開された傑作と言われていますが、この初演がちょうど100年前、1913年の5月に、完成したばかりのパリのシャンゼリゼ劇場で行われていたのです。今年の100周年公演を鑑賞された芳賀さんは感無量だったとのこと…

さて、66年目に誕生した初めての香りのイメージは?
公式サイトのコチラ
を。"LIRE" をクリックすると、エトワールとして舞台に立つ前に楽屋で準備をしているドロテさんの姿がムービーにてご覧いただけます。

「優雅こそすべて」。
そのようなイメージにつつまれた香りの第一印象は
ドリーミィーな柔らかさ。
香りの魅力については改めて綴ります。


情報提供
ブルーベル・ジャパン株式会社
香水・化粧品事業本部
カフェ デ パルファム

2013年7月17日水曜日

黒いボトルのフレグランスから

たとえば自分は
黒を纏うとき
どんな心境だろうか。

厳かで静かな、あらたまった雰囲気の表現…
メインにしたい存在をひきたてるため…
特別感を意識化する、させるため…
複雑で激しい感情を隠しつつ、どこかで
感じてくれる人には伝えたいものがあるとき…

黒という色。
ミステリアス。
隠された何かが在るけど何かはわからない。
日常との区別、境界。文字。

記憶をベースに、ヒトは五感で香りを感じる中で紹介の英文記事を書いたJohn Biebel氏が3つ目の記事で「黒」を取り挙げている。

Twin Perceptions: Color and Scent: Part Three: Black Lily
07/13/13 16:17:12
By: John Biebel

黒という色の
西洋での解釈についての記述も興味深い。
さらに
中身は同じなのにボトルが黒か否かで
中身の香りの印象が違うという言及も。

記事中に
スペインのブランド「MYRURGIA(ミルヒヤ)」のフレグランス
「MAJA(マハ)」。『香水の本』(新潮文庫)によると
このミルヒヤという名はラテン語で「香りの芸術」という意味で
「マハ」は、バラとジャスミンを基調にした誘惑的な香り、
画家ゴヤの名作をイメージして作られた情熱的な貴婦人の香りだという。

日本人である私の記憶にある黒いボトルのフレグランスの筆頭には
資生堂の2作、「禅」と「NOMBRE NOIR(ノンブル ノワール)」。
前者はかつて母のドレッサーに置いてあり、その佇まいから
子供心にも静寂感と奥ゆかしさを感じたことを憶えている。
後者は名前がすでに謎めいていて
名前のとおり不思議な魅力を持っていた。
この香りから
隠された魅力を表現する黒の力を感じたことは確か。
残念ながら「ノンブル ノワール」は
含有香料が使用できなくなったため
現在は販売されていない。

昨年発売の黒のフレグランスといえば
シャネルの「ココ・ノワール」と
レディ・ガガの「フェイム」。
いずれも黒の魅力が活かされていた。

「ピカソ 愛と芸術の版画展」から追想した画と女性


ピカソ 愛と芸術の版画展/PARCO MUSEUMが、明後日19日から1ヶ月間、渋谷パルコ パート1の3階で開催。

ピカソ没後40年記念として、誕生40年目のパルコにて。
91才で亡くなるまで、実に多くの作品を残したといわれるピカソ。
私はそんなピカソのことを、忘れられない2つのエピソードとともに
深く記憶に刻んでいる。

1つ目はパリ滞在中に訪れたピカソ美術館で出逢った一枚の画。
一目見て魅きつけられ
実に複雑で深い心境に陥り
長い時間立ち尽くし
物事の見え方というものに衝撃を受けた。
翌日ポンピドゥーセンターでピカソの本を探し
この画について書かれた一冊を入手。
その画がキュビズムの先駆けであったことは後で知った。
そしてこの経験から、芸術というものがどんな力をもつものか
自分なりに感じることができたと思う。

2つ目は
ピカソに「花の女」と言われた女性、フランソワーズ・ジローを
NHK日曜美術館で知った時に感じたこと。

日曜美術館
2010年5月23日放送 再放送:5月30日
ピカソを捨てた花の女
~かつての恋人が語る巨匠の姿~


ロバート・キャパ撮影(1948年)の二人が微笑ましい。
ピカソはこのジローのことだけは
他の女性たちのようには描けなかった、という。
描くということは、見えているように表現すること、
すなわちジローは
他の女性達とは全く違う何かを感じていたと想像。

そんなことを回想しながらも
今回の展覧会を鑑賞したい。

ピカソとジローとの間に生まれたパロマ・ピカソは
宝飾デザイナー、ファッションデザイナーとして活躍、
1984年には彼女の名前のフレグランスも発売されている。

2013年7月15日月曜日

涼景(札幌・軽井沢・東京)

緑・樹々…木漏れ日。
モノトーンの正装からふるまわれた
ピンクグレープフルーツジュース。

「小暑」(7/7頃)から
「大暑」(7/23頃)の合間の「海の日」に。

記憶の中の涼景にクールダウンを。


8月中旬。
札幌にて。
北大植物園内。



5月中旬。
軽井沢にて。




6月中旬。
東京六本木にて。
THE CLASSICA TOKYO

Lemongrass ・Aroma for well-being


Lemongrass
07/14/13 07:48:56
By: Dr. Chandra Shekhar Gupta


猛暑で厳しい日々を過ごす人にとっても
このレモングラスは
タイムリーな快適性を提供してくれる。

まずその香り。
鮮烈なレモンを感じることから
爽やかさという親しみを持てる人も多い。
そして草のグリーンでビターなインパクト、
甘いような辛いようなシャープな余韻。

今年6月に私が専門学校で指導したエアフレッシュナー制作でも
学生がブレンドしたいと希望した精油のトップが
このレモングラスだった。
結果、彼らが疲れて帰宅した空間の居心地が良くなったり
蚊が侵入してこなかったり
さわやかな気分で勉強に集中できたり…
と喜びの声がレポートにたくさん書かれていた。

こういうことは
いわゆる「病気の治療」という範疇には入らない。
少しでも
不快な状態を心地良い状態に
心身を「良い状態」すなわち"well being"にするために
「心地良く感じる香り=アロマ」を用いる手法となる。

アロマテラピー、
というと「治療」だから
嫌いなにおいでも効くから我慢して使う、
というものだと解釈されている方もいらっしゃるが
それならわざわざアロマ「芳香」という必要はないだろう。
ただ効くから使うだけなら「植物療法」と呼べばいいのだから。

そもそも「治療」とは
医師免許をもつ人にしかできない行為である。

レモングラスは
そのさわやかな香りで気分をリフレッシュさせながら
殺菌効果も感じさせてくれる。
なぜならば、
猛暑の時期、数日自宅を締め切って外出すると大抵
帰宅直後にこもった不快なにおいを感じていたが
レモングラス精油を垂らしたトレイを数カ所室内においていくと
断然空気の質が違っていた。
そして何より嬉しいのは、
蚊が嫌がるにおいであること。
夏に元気をくれるスパイシーなタイ料理にも使われる。
レモングラス精油で作ったバスソルトで入浴すると
暑さで疲れた身体が筋肉からリフレッシュするように感じる。

この記事の冒頭で紹介した
Dr. Chandra Shekhar Guptaによる英文記事には
もっと具体的にレモングラスの使われ方が書かれている。

最近では日本でも九州でレモングラス栽培が本格的に
行われている。このことは専門誌「アロマトピア」2009,5月にも詳しく記されている。
高温多湿の猛暑を乗り越えるためにも
この植物の香りはさらに親しまれ、活用されていくことだろう。

2013年7月13日土曜日

La fraîcheur des fleurs dans ma mémoire 〜 涼花の記憶 〜


7月6日以来、東京は猛暑。

見えるものからも
涼を感じたくて
記憶の中へ。

そこには楚々とした涼花の姿。



これは昨夏の午後、散歩中に撮影。
フレッシュな花びらの
まるで繊細なレース模様のような可憐さに
しばらく暑さを忘れ
ひとときの安らぎを頂きました。





これは今年の春。
雨の中訪れたパーティー会場で
大勢の人たちの熱気を感じていたとき
ひそやかに佇むこの姿に
気分はクールダウン。
まるで今にも開きそうな
蕾の艶めかしさが
ミステリアスなオーラを冷気のごとく放っていたことを
よくおぼえています。

香りのカタチ・ポーラミュージアムアネックスにて



7/5より8/4まで開催の展覧会
ハナハナのハナ
- 香りのカタチ -


期間中
是非鑑賞したいと思っています。

コンピュータや映像と様々な素材を組み合わせユニークな作品を発表している
アートユニット plaplax(プラプラックス)の展覧会。
センサーが香りの種類やその強さを感知し、それに合わせて投影された
色とりどりの花が変化する作品「hanahanahana」など
「香り」を視覚化した作品が展示されているそうです。

常に変化している「香り」の有機的な魅力が
どんなふうに表現されていることでしょう。

嗅覚で捉えるにおいを
生きた人間がどう感じるか。
厳密に言えば多様です。
その人間自体の自衛本能に加えて
生まれてからの体験記憶、
においと出会ったときの身体のコンデイション。
これらに左右されるからです。
これらを言葉やヴィジュアルで表現する課題を
大学で学生に講義の中で課してきた立場からすると、
においの感受は一様ではないけれど
傾向は見えてくるおもしろさがあります。
違う感受性と表現力をもった他人による
「においの視覚化」から何か
同じ人間として共感できる部分に出逢える瞬間も
微笑ましいものです。


2013年7月12日金曜日

ランタナ・あの不思議な花の植物も香料になっていた

感覚記録としての
写真の重要性を今夜痛感。

フレグランス関連サイトである"FRAGRANTICA"の
RAW MATERIALS をチェックしたところ
次のような最新記事がアップされていた。

Lantana
07/06/13 13:31:50
By: Dr. Chandra Shekhar Gupta


なんとこの花
その見たこともない不思議な姿に魅かれ
先月、静岡出張中に発見し写真に撮ったばかり。
繁殖力が強そうだった。



学名は
Lantana camara。

熱い地域が原産のよう。
外来種。
鳥を媒介者としている。
人に対しては毒性についても注意すべきのようである。

香料は葉から水蒸気蒸留法で得るという。
成分の筆頭に挙げてあるカリオフィレン、これは
クローブやブラックペッパー、クラリセージ精油などに含まれている。
その他の成分とも合わせて想像するに
かなりスパイシーでウッディな感じではなかろうか。
調香によってはかなり独特なニュアンスになりそう。

英文記事に記された作用はなかなか強そうなので
現代、薬として活用するとしたら
植物成分の有機化学と薬学、
医学の知識に長けた専門家はどう評価するだろうか。

きっとこの植物を昔から知る現地の人は
試行錯誤を繰り返し、さまざまな不調への薬としても
活用していたに違いない。

なぜならば
私ですら魅かれた外見とともに
葉に特徴的な香りがあるのだから。

まだまだ未知の香料植物はたくさんある。
写真に撮っておいてよかった。

2013年7月11日木曜日

香コンサート(国際香りと文化の会 主催)


国際香りと文化の会 主催の「香コンサート」を鑑賞いたしました。




会の会報誌『VENUS』にて特集テーマとされた
薔薇(2010年)、樹木・森林(2011年)、庭園(2012年)にちなむ
名曲の数々が、ピアノ、チェロ、声楽家によるソプラノ
によって奏でられた夏の午後。

豊かに鳴るやわらかなピアノの音色、
深い余韻の連続が繊細な音となって流れるチェロの響き、
明るく軽やかに厳かにとびかうソプラノヴォイス。
素晴らしいトリオの共鳴が今も耳に残っています。

演奏終了後
" STEINWAY & SONS "
と記されたピアノの姿にしばらく観入ってしまいました。



プログラムより…

グリーグの『ばらの季節に』からは
北欧の厳しい冬から春を迎える厳かな空気感。
シューマンの『私のばら』からは
希望と喜びで迎え入れられた薔薇の輝くような存在感。
ロッシーニの『フィレンツェの花売り娘』からは
明るい陽射しの中で花とともにある人の屈託のない笑顔を想像。
薔薇の躍動感あふれる命の輝きを
香りを想像しながら聴くことができました。

世界各地、
さまざまな感受性の人間が
それぞれの場所の空気感から感じ取ったイメージが
こうして素晴らしい音楽となり
時代を超えて伝わる喜びを実感します。

音楽は
『日本の名随筆 48 香』再読から感じた香りと音楽の関係でも記したように
香りと同じく
空気中に伝わるものであり、強弱、調和、残響(残香)があるものです。
このコンサートを鑑賞された方々は
思い思いの記憶の中の薔薇や樹々、植物の香りを
奏でられた音の流れから
自由に感じられたことと想像します。

『国際香りと文化の会』は
創立25周年の本年を一区切りとされ
一旦休会されるということですが
このような趣旨の会の存在はきわめて貴重であったと思います。
香りあるすべてのものを
人の文化として国際的視野からとらえ
その価値を時代とともに発展させて
後世に伝えていこうと信念を持ち続ける人がいる限り
このような会の存在は忘れられることはないでしょう。

現在の『国際香りと文化の会』Webサイトの継続は
2014年6月までとのことです。

2013年7月9日火曜日

『今のピアノでショパンは弾けない』から回想した「香る音」

『今のピアノでショパンは弾けない』
という書名を見て
はっとするようでもあり
安堵するようでもある感覚で
「ごもっとも」と納得しました。

ショパンは2010年に生誕200周年を迎えた人物。
今の人ではありません。

勝手ながら私が連想したのは香りのこと。
「名香と呼ばれている香水を一度ゆっくり鑑賞したい」
とある人から言われ、ずっと引っ掛かっていたのです。
そもそも当時使用できた香料は
現在存在しないか、法的に使用禁止になっているものがあり
たとえ名前が残っていたとしても
実際はいま調達できるもので
現代市場に合わせてつくられていると聞いたことがあるからです。
現代の人にかつての名香も含めて香りの魅力を体感してもらうには
伝える側が
人と香料との出会いに始まる歴史は勿論
可能な限り香料の実態に精通し
伝え方を模索しなければ…とちょうど考えていたところでした。

音楽、ピアノについて語られている本ではありますが
香りを仕事の専門としている私にはまず上記のように響きました。
他ジャンルにおいても、先人の築いてきた価値、魅力について熟考し
これを絶やさず、さらに発展させながら後世に伝え繋げていきたい
という信念をもつ人にはぜひ勧めたい一冊。

6月19日 高木裕「今のピアノでショパンは弾けない」日経プレミアシリーズから発売!

「紀元前から人に愛された薔薇の天然香料の香りの魅力を
現代の音楽家にピアノで表現してもらいたい…」
そんな私の企画が3年前に実現した場所は
まさにこの著者の高木裕さん主宰のタカギクラヴィア松濤サロンでした。
素晴らしい音に圧倒されて涙がこぼれたのは私だけではありません。

『ピアノ・アロマティーク〜アキコ・グレースが奏でるローズ・ヌーヴォーの香り』(2010,2,3 )については、そのときの企画からコンサート実施、アキコ・グレースさんへのインタビューをまとめた私の論文についてコチラ
後半部に記しています。

そのインタビューの中でグレースさんが
ピアノという楽器の魅力について次のようにおっしゃっていました。

「ピアノは豊かな倍音が鳴るので、複雑でオーガニックなニュアンスを表現しやすいですね。音域が広く、10個もの音を同時に鳴らすことができる万能の楽器です。
ローズオットーのように繊細で余韻の深い香りを表現するのに適していると思います。…」

今回、高木裕さんのご著書を一読し、
あらためてこのグレースさんのお言葉を思い起こしています。
グレースさんのような音楽家に出逢えたことはもちろん
こうした楽器の魅力に精通された方による空間で
「香る音」を堪能できたことはまさしく私にとって幸運でした。


2013年7月6日土曜日

ダマスクローズの気品が優しく香る " ROSES DE Chloé "

クロエ
20世紀中頃に誕生してから約半世紀が過ぎました。

2008年に発売されたゴールドリボンの香りでこのブランドの名前を
知った人も多いかもしれません。
それほどこの
アーティフィシャルにモダンな薔薇の清潔感を表現した香りは
日本の多くの方々に好まれていたことと記憶。
今でも時々この香りとすれ違います。

さて今回の新作。
ROSES DE Chloé。


見ての通りの優しいピンク。
ほんのり紅潮した頬さながらに…
夜明けとともに花びらからやわらかく香り始める
清楚な薔薇を感じます。

今回の調香の骨子となっているのは
ベルガモット・ダマスクローズ・マグノリア。

中核をなすダマスクローズのみずみずしさ。
デリケートに再現されていると思います。
これは私が『パレチカ』監修者として
過去4年に渡り
ブルガリアで収穫後抽出されたダマスクローズの
その年の香りを毎年体感してきたから
感じられるのかもしれません。

フレッシュなダマスクローズにしか存在しない
弾けるような初々しさ。
その天然精油の含有成分の多くを占める
シトロネロール、ゲラ二オール、
そしてフェニルエチルアルコールなどにより
朝摘まれたばかりの香りが描かれているのでしょう。

すがすがしい爽やかさはベルガモットに…
まろやかな優しさはマグノリアの香りに引き立てられて
本当に優しく香る薔薇の気品が創られていると感じます。



発表会の会場に入った瞬間も感じましたが
みずみずしい気品がさり気なく漂います。
まるで
咲き始めた薔薇の花々があふれるガーデンを散歩したような
さわやかな気分。
昨夜ひと晩この香りと過ごし、幸せな気分で目覚めました。

薔薇を愛する人にはもちろん
初めてフレグランスを試そうとおもう人…
さらに
すでに多くのフレグランスを使いこなしながらも
モダンな薔薇の香りの優しさを改めて体感したい人へ…。
日々の香りの定番の一つとしてもご紹介できると思います。



情報提供
ブルーベル・ジャパン株式会社
香水・化粧品事業本部
『カフェ デ パルファム』


2013年7月5日金曜日

薔薇の優しさにつつまれて・Chloé 新フレグランス発表会


蔦の絡まる白い建物。
その入口に
まるで少女の頬のように
うっすらと色をたたえた薔薇の生花。



ふわりとみずみずしい
ブルガリアのダマスクローズの面影を感じた会場内。

まず目に入るのは
薔薇が描くしなやかな曲線の向こう側。
柔らかなブラッシュピンクの中に
新しいフレグランスの名前。



会場の所々に
優しい香りを漂わせる薔薇の花々。
その無数の花弁は
一輪一輪様々な表情を醸し出しています。



すでに春に発売されていた
ローション、美容オイル、クリームを
こちらのドレッサーの前で試します。
清涼感のある香りにリラックス。



これまでのクロエの香り…
2008年、リボンはゴールド。



2012年、リボンはライトグリーン。



そして
新作のイメージムービーを体感後
2階へ。



ブラッシュピンクのリボンで結ばれた新作が
ガラス窓をつたう緑の中
みずみずしく花開いた薔薇のように
楚々とした姿で輝いています。



振り返ると
心地よくくつろいだような
ナチュラルな表情の3人の美女たち。
まるで幾重にも重なる薔薇の花びらのよう。



2008年のゴールドのリボン…
2012年のライトグリーンのリボン…
そして2013年はこのブラッシュピンクのリボン。
ROSES DE Chloé。



9月初旬に発売される
この新しい香りの魅力は
次回に綴ります。

情報提供
ブルーベル・ジャパン株式会社
香水・化粧品事業本部
『カフェ デ パルファム』

2013年7月4日木曜日

紫のボトルと香料に魅かれて・Issey Miyake Pleats Please Eau de Parfum 2013


私にとって
時々じっと
「眺めたくなる」
「眺めていたくなるような」
色の一つとして紫がある。

この色のボトル、
使用されている香料の変身ぶりへの好奇心から
実際に愛用してしまったフレグランスもある。

そんな誘惑を
再びこのニュースから感じた。

Issey Miyake Pleats Please Eau de Parfum 2013
06/28/13 05:08:18
By: Sandra Raičević Petrović


日本では今年1月にデビューしたばかりの
あのレッド系カラーのボトルから一転、
形はそのままで色が違う。

スミレの花のマカロンにインスパイアされた香りとのこと。
またしてもスミレ。
そしてスイートピー。
これは試してみたいと今から期待感。

2013年7月2日火曜日

今年の中日(なかび)に、映画館で映画を観る

映画館で映画を観ることは
私にとって
美術館で作品を自由に眺めることと同じほど
楽しいことではあるが

この一年ほど
時間的にも体力的にもタイミングが合わず
実現できていなかった。

今日、7月2日は
ちょうど一年の真ん中、中日あたりになる。
このところの不調を回復させるために
自宅で休養の一日、
と思っていた。

珍しく今日が休日だという家人から
昨年見逃した映画を近くの名画座で上映中だから行くと聴く。
その映画は私も観たかった映画だった。

午前中の不調が少し回復してきたこともあり
同行することにした。

懐かしい佇まいの三軒茶屋シネマ。
いまどきこんな映画館が残っていることが嬉しい。

夕方16:30からの上映中
視界のすべてがスクリーンになった。
一人になれるし
こういう設定が好きだから映画館を好む。

この映画について
どうとかこうとかは
未だ観ていない人のためにも
あえて語らない。
ただ
あえて体調が最悪で辛いときに観た私が
上映中、午前中からの頭痛も忘れ
素直に笑ったり
普段は秘めている自分の信念にも触れることの多いシーンに涙したりと
なんだか気分が浄化され
元気になり
いつのまにか不調であることすら
忘れていた。

映画のタイトルは
邦題よりも原題"Intouchables"(触れる可能性のないこと、すなわち出会う可能性のないこと)のほうが私にはしっくり来る。
邦題「最強のふたり」は本質というより
結果の一つを表しているにすぎないと感じる。
タイトルというものに対する感じ方における
フランス語と日本語の違いがよくわかる。


さて
すべての出会いは"Intouchables"ともいうべき部分を秘めている。
たかだか100年も生きられない人間が
生きている間に出会い
魅かれ、関心を持ち会話や行動を共にできる人間の数など
限界がある。
ある出会いによって自分のその後が変わったということは
誰にでも記憶にあることだろう。
生きている限り
心が自由である限り
そんな出会いが訪れる可能性はかならずある。
既知の対象、であると思い込みスルーしていた
周囲の他人や自分自身も含めて。