2013年1月29日火曜日

ボーボリ庭園とモンジャスミンノワール・ローエキスキーズの香り


先日、文化学園大学での
「ファッションとアロマ」今期最後の講義にて
年末の香水鑑賞講義を欠席した学生のために
2012年発売のフレグランスを数点紹介。

心地よい、となかなかの好評を得たのが
昨年春に発売されたブルガリのモンジャスミンノワール・ローエキスキーズ。
私もコチラの記事で書いていました。

春から初夏に向けて発売されたとはいえ…
よく晴れた日に清々しい空気の中を植物をながめたりしながらリラックスして歩いているときのような気分になれるのが嬉しく、私は真冬でも楽しんでいました。
さわやかなトップノートと残り香の上品な清楚さが、初めて会う人との緊張感もほぐしてくれるため、ここ数ヶ月は仕事での打合せの場でも活用。

そんな折り。
ひょんなことからこの香りは
イタリアはフィレンツェにあるボーボリ庭園の
イメージにインスパイアされてつくられたということを知りました。

フィレンツェといえばかつて訪れた忘れられない街。
当時は庭園散策まではできませんでした。
はっきりと憶えているのはヴェッキオ橋の上から見た街の色彩。
この香りのイメージのような素敵な庭園があったなんて。

どんなところだろうと書棚からこの本を手にとりました。




私の中学時代の恩師である美術のA先生主宰「アトリエビーナス」さん、
つまりA先生の著書。美大志望の学生さんと毎年イタリアに研修ツアーに
同行していたご経験が生かされた一冊。あたたかいタッチのイラストを
描いているのも「アトリエビーナス」出身のイラストレーターさん。




「ボーボリ庭園」発見。86ページ。

…14世紀に建てられたピッティ宮殿の後方に広がるイタリア式の広大な庭園。
古代ローマやルネッサンスの彫刻が多く置かれ、人口の洞窟やヴィオットローネ(松と糸杉の並木道)、イゾロット広場(池に囲まれた島のある広場。オレンジやレモンの木が植えられていて中央には噴水あり)、衣装美術館、磁器美術館などがある。公園は奥に行くにつれて高くなっているので、見晴らしの良い場所が数カ所あり天気の良い日にゆっくりまわりたい場所…(本文より引用しています)

次回フィレンツェに行くなら初夏にと思います。
モンジャスミンノワール・ローエキスキーズの香りの記憶とともに。

2013年1月27日日曜日

「香水瓶とは香りの住む家…」と語ったピエール・ディナン


『大分香りの博物館コレクション 美しき香水瓶 ーピエール・ディナンを中心にー』が、静岡県磐田市の磐田市香りの博物館にて開催(〜2月3日)されています。

20世紀を代表する香水瓶デザイナーとしてイヴ・サンローラン、ジバンシィ、クリスチャン・ディオール他、数多くの香水瓶を手掛けたピエール・ディナン氏は1931年パリ生まれ。

香水はデリケートな液体ですから、ディナン氏の言葉のとおり「住む家」が必要です。その香りが良い状態でいられるようにというだけではなく、目には見えないその香りのイメージを伝えるヴィジュアルでもあるのです。

展覧会トップページにも大きく表示されている、イヴ・サンローランの香水 " OPIUM"(1977年) のボトル。これはディナン氏にとって代表作の一つかもしれません。2004年に氏が東京で講演されたとき、ご本人もこのボトルが一番好きとおっしゃっていました。「阿片」という意味のネーミング。印籠のかたち。

ジバンシィの "AMARIGE"(1991年)のボトルも印象的です。
私自身、このボトルを初めてミラノで見たとき、すぐに手にとってみたくなりました。手のひらのカーヴに沿うガラスの曲線とふんわりとした羽のようなキャップは
幸せな気分を思わせ、香りのイメージと違和感なく感じられて迷わず購入したことを今もよく憶えています。

香りの愛好家にはもちろん、そうでない方にとっても、ボトルのヴィジュアルからどのような香りのすみかであったのかを想像する楽しさがありますね。

参考文献
香りの専門誌 "PARFUM" 164号
「芸術と香水 102」(p16~p17)

2013年1月26日土曜日

Freesia of " Electric Freshness " ・春気分を探す

大寒(1月20日)から立春(2月3日)への途中。
寒さの中にも春の匂いを想像の中で探してしまいます。

一年前、二年前もそうだったのかと振り返ると
やはりコチラ に、フリージアの香りのことが書いてありました。

年頭に頂いた年賀状の中に
…「アントニアーズ フラワーズ」今でも大好きです!…
というフレーズがあったことを思い起こします。

この書き手の女性は
私が初めて仕事としてフランス語を指導させていただいた方。
おそらくその頃、彼女に紹介したフレグランスが
1984年発売の「アントニアーズ フラワーズ」でした。

「アントニアーズ フラワーズ」といえばフリージア。
フローリストプロデュース。
あの黄色いフリージアのフレッシュなインパクトは
まさに立春に向かう気分に合います。

フリージアの香りを
"Electric Freshness"
と端的な英語で表現した素敵な写真画像つきの記事を発見。
Freesia, Flower of Electric Freshness
By: Elena Vosnaki


記事を読むと
フリージアという名称は
フリードリッヒ・ハインリヒ・テオドール・フレーゼ(1795~1876)という
ドイツの医師の名が由来だったとわかりました。
フランス語では" freesia "。
男性名詞なのはそのせいなのかなと勝手に想像。

アヤメ科。
その芳香はハチドリや蛾を引き付けます。
さまざまな色の花がありますが
インパクトのある香りを持つのは黄色や白色の花。

記事中にもフリージアの香料を生かしたフレグランスとして
「アントニアーズ・フラワーズ」のことが触れられていました。
調香師は、この花のみずみずしい香りを
ヘッドスペース技術を用いて得ていました。

オーケストラの中でのトランペットのように
明るく際立つ音色で全体を活気づけるフリージアの香気。
まるでこれから春へと希望を抱く人の心のようです。
明日1月27日、立春まであと1週間というその日。
獅子座にて満月です。

2013年1月23日水曜日

芳香蒸留水ベースのルームフレグランス


昨年末から今年にかけて
薔薇の芳香蒸留水をベースにブレンドした
エアフレッシュ目的のルームフレグランスを何回もつくりました。

いつもならば精製水をベースにするところ、
2012年は幸運なことに
その年にブルガリアで収穫されたダマスクローズの芳香蒸留水が
入手できたからです。

このローズウォーター・ヌーヴォーを
ダマスクローズ、ラベンダー、ラヴェンサラやレモンなどの精油を溶かした
無水エタノールに混ぜてつくった香りは
ことのほか郷里の両親に好評でした。

コチラ でご紹介のローズウォーター・ヌーヴォーの香りは非常にフレッシュでみずみずしく、ハチミツのような甘いフレーバーが鼻から抜けていくのも魅力的でした。

コチラ のセミナーでも大好評で、喜びの声は女性からだけではなく、受講された男性からも頂いています。

芳香蒸留水は精油ほど長持ちしませんが
フレッシュなうちにどんどん活用したいと思ったのです。

ちょうど昨年末、父が入院先で病と闘い
歩くことだけでなく、話すこともできない時期がありました。
頭の中では色々なことを感じられるし、考えることもできるのに。
日々痛みや不快感とたたかいながら懸命に生きようとしている存在に
医師でもない母や私ができること。
それは
ちゃんと聴こえる耳に毎日語りかけ
ちゃんと感じられる皮膚を優しくさすり続け
うっすらとでも心地よい香りの空気で包んであげることでした。

語りかけ、さすることは側にいる母にしかできませんが
私は父が毎日せめて気持ち良い空気に包まれるようにと
ダマスクローズウォーター・ヌーヴォーをベースに
香りをつくりつづけています。
好評でもう3本も送りました。
日に日に元気になってきたという父。

緊張感やつらいことに日々立ち向かわなくてはならない人に
こうした香りがささやかな安らぎになる可能性を感じています。

2013年1月19日土曜日

麻布十番で出逢った二つのショップ

先日、麻布十番へ。
5b出口から出て右へ。
ワイングラスがきらきら並ぶお店に遭遇。
ガラスのきらきらが好きな私には素通りできません。


ちょっとのぞいてみると、ワインはもちろん
チーズ、生ハムその他ワインに合いそうな食材がいっぱい。
コチラ には改めて今度ゆっくり訪れてみたいとおもいます。
ワインとそのワインに合うグラスをセットでギフトというのも喜ばれそう。


そして、マクドナルドショップの向い側に
グリーンバックに引き立つ青のロゴが印象的な "KOOTS"。


なんと緑茶主役のお店。
ほうじ茶などバリエーションも豊富。
コチラ をチェックすると、なんとタリーズのお店。そういえばかつてミッドタウンの中にあったこのお店で美味しい抹茶をいただいたことがあったと回想。

麻布十番。
この界隈は外国人の多いエリアでもあり
そんな地域性が反映されたお店がいくつかあるようです。
このほか、風情のある和食屋さんや昔ながらの本屋さんも
あって、私には魅力的な界隈となりました。

2013年1月15日火曜日

咲きながら香り、香りながら咲く

花というもの。
それは生命力そのもの。

1月9日に購入したときは
ほんのわずかしか開いていなかった薔薇。
鼻を近づけてうっすら香る程度だった。

それが4日後の13日。
実に不思議な開き方をしながら
前日までには感じられなかった香りを発散させ始める。


まるで早春のフリージアのようにみずみずしい
躍動感あふれる香り。


花は最後の最後まで
花弁が土に散るまで香り続ける。
その香りは、形を変えながら常に変化し
生きものとしての声を発し続けている。

チュベローズが摘まれてからも香りを放ち続けるため
香料抽出法はその特性にあわせて行われるときいたことがある。
一つの花も
その香りは一色ではなく複雑な生命活動の軌跡を呈示する。

2013年1月13日日曜日

"Something Blue" ・花嫁の香り

ブルー。
柔らかなみずみずしさを感じさせるブルーカラーが上品な
新作フレグランスビジュアルに出逢う。

Oscar de la Renta Something Blue
01/11/13 06:16:10
By: Sandra Raičević Petrović


シンプルなボトルにソフトブルーのキャップ、
ネックにはシルバーのリング。
ただずむ花嫁はまさに白い花そのもの。

花嫁。まさに花のような存在。

ミドルノートの香料として使用されている
Stephanotis。
これはシタキソウ、別名マダガスカルジャスミンとも呼ばれる
植物の白い花。ウェディングブーケによく使われるというのが
納得できる清楚さ。季節によってはさまざまな花がつかわれて
よいと思う。私は…雪の美しい1月の花嫁として胡蝶蘭を用い
たことを回想。

この新作フレグランス、"Something Blue" の香りに
自らの"花嫁"のイメージを重ねられる人にとっては
まさにこの香りそのものが
結婚式で身につけると幸せになれるという四つのものの
一つ、"Something Blue" になるのかもしれない。

結婚式で花嫁が身につけると幸せになれるという四つのもの。
それはヨーロッパにおいて昔から詠い伝えられているそうで
Something New(何か新しいもの)
Something Borrow(何か借りたもの)
Something Old(何か古いもの)
Something Blue(何か青いもの)
以上。

ふと20年前の1月、雪の日の自分のウェディングを回想。
そのときの私は上記の "Something 4"を知らなかったが
振り返ると…すべて身につけていた。

そのうちの"Something Blue"は
当時の私にとって淡いブルーを感じさせる香りだった。
都心にありながらも高原を感じさせる
マイナスイオンを含む爽やかな空気のホテルにて。

淡いブルー。寒々しい色ではなく
生きるために必要な水と空気のぬくもりの色。

花嫁という役割を意識したというよりも
初々しい気持ちの象徴として香りを選んだことは記憶している。

2013年1月11日金曜日

薔薇・バラ・Rose

薔薇の花を買いました。
翌日撮影のため、とはいえ近くに薔薇の花があると
その愛らしさで心が緩みます。








特に上記2種は花弁の巻きが格別愛らしく
微妙なピンクと淡いグリーンがヴェールのようなグラデーション。
ささやかな芳香が上品に漂っていました。

翌日。












何と素敵な花びらでしょうか。
色だけではなく、しっとりとした質感、淡い優雅な芳香。
バラの生き物としての存在感のヴィヴィッドな力を感じます。
まさにフレグランスというべき香りがスタジオに拡がり
カメラマン、デザイナー皆でリラックスしながらの仕事。








早朝から夜まで。
私たちに華やかな空気とエネルギーを与えてくれた
ROSEに感謝をこめて、その美しい姿のうちに記録。

色、香りともさまざまな現代の薔薇(モダンローズ)の
母とも言うべき原種オールドローズの一種、
ダマスクローズの香りをご紹介する
コチラ
監修する私にとって昨日は
多くのROSEにかこまれて
この上なく幸せなひとときでした。

2013年1月9日水曜日

バラ科さながらの愛らしさ・アーモンドの花に感謝

毎日数粒たいせつにいただくようになって
かれこれ数年。

コチラ でもご紹介したように、フレッシュなアーモンドは塩も油も使わずただローストしただけで十分に美味しいのです。

疲れているときにいただくと
本当に疲れがとれる気がします。
以前は圧倒的に塩味油加工のものが多くみられたのですが
最近ではコンビニエンスストアですら
無塩、無油の素焼きアーモンドが
少量パックで販売されるようになりました。

アーモンドは食べて美味しく元気になれるだけではありません。
冬の乾冷期に三つの香りケアの2でご紹介したように
アロマトリートメントのキャリアオイルとしては素晴らしい心地よさとスキンケア効果を感じさせてくれます。とにかく皮膚によくなじみます。
かつて厳寒期にひどく顔面の皮膚が乾燥していたとき
スイートアーモンドオイル単独で丁寧なクレンジングを続けたところ
皮膚の状態が改善し、毎朝しっとり柔らかな感触を手で感じたことは
今でも忘れません。

このような素晴らしいアーモンドが
素敵な花を咲かせることをコチラで知りました。

さすがバラ科の植物。
春に開花するその花は
同じくバラ科の桃や桜をおもわせるような
愛らしい姿でした。

この花のおかげで実を結び、
私がその実から、日々多大な恩恵を受けているわけです。
育てた人たちにはもちろんですが
まずはこのアーモンドの花に深く感謝します。


2013年1月6日日曜日

碧から緑へのグラデーション香る " RELAXING /nikissimo"

極寒と心配事が重なった年末から一ヶ月。
寒さも不安もストレスの要因。

意識的に数種類の精油を選び、香りを嗅ぐだけではなく
ホホバオイルやスイートアーモンドオイルに希釈して
腕や脚にセルフアロマトリートメントを行った。

微香が優しく残り、心地よい眠りばかりか
不安な気持ちがこわばらせる筋肉の緊張も緩められ
結果、弱っていた部分の回復も早まったようにおもう。

ラヴェンダー、
クラリセージ、
ジャーマンカモミール、
そしてローズオットー。

これらにはここ数週間お世話になった。
単独でつかったり
色々な組み合わせでブレンドしたり。
イメージしてきたのは
深い海の色から森の緑につながるグラデーションカラー。

ジャーマンカモミールのブルーは
蒸留の段階で生じるアズレン誘導体のカマズレンによる。
アズレンという名は発見者のフランス人化学者により名付けられ
紺碧のブルーを示すフランス語 " azur "に由来するのだと
専門書で読んだことがある。

ふと
懐かしいフレーズを思いおこす。


優雅な甘さを控え目に漂わせるラベンダー、ローズ、ジャーマンカモミールなどが他数種の精油とともに緊張をゆるめながら日常の疲労を回復させ、心身に深いリラックスを感じさせてくれます。


これは、かつてホテル併設アロマトリートメントサロンのために私が調香したブレンド精油の説明として私自身が添えたフレーズ。

nikissimo
エッセンシャルオイル
RELAXING


ラベルのカラーは深い緑。
ブルーボトルからのひとしずくは淡いブルー。
ローズとジャーマンカモミールの囁くようなぬくもりが
ラヴェンダーのエッジを和らげつつもその清涼感を引き立てて
深いリラクシングを感じさせてくれる。

2013年1月5日土曜日

気晴らしは、空と猫。


職業柄
年末年始だからといってホリデーモードにはならず
仕事納めもないまま新年へ。
そして元旦初詣に行った翌日から
少しずつ仕事をしている。
それが当たり前のような生活。

気晴らしはいくつかあるが
ここ1週間では
良く晴れた日の正午頃
いちばん太陽の光の恵みを受けそうな時間帯の散歩。

まず空を見上げる。


こんなに高く成長し長生きしている木にはかなわない。
空の色に吸い込まれそうな気分でリフレッシュ。

そして地上では
あの愛すべき動物と出逢えないかをいつもおもう。



この寒い中、ゆうゆうと歩き
しなやかにゆっくり動いていると思いきや
一定の距離より内側に近づくと
素晴らしいスピードで走り去る機敏さ。

まだまだ私には生きものとしての修行が足りない。

デスクの手元にはいつも私の好きな薔薇の香りが
静かなBGMとして励ましてくれている。

2013年1月4日金曜日

塚田朋子 著 『ファッション・ブランドとデザイナーと呼ばれる戦士たちー西洋服後進国日本の千年ー』と出逢えた理由

漠然と大量の新刊本を一望して出逢えた一冊。

ファッション・ブランドとデザイナーと呼ばれる戦士たち
ー西洋服後進国日本の千年ー
塚田朋子著 同文館出版株式会社


一読してまず思うのは
この本を、「ファッション」や「デザイン」という言葉が冠される職業のみならず、仕事を通して真剣に価値創造に携わっているという意識を持つ人には興味深く読めるのではないかということ。




私がこの本に魅かれた理由は主に3つある。

1,「デザイナーと呼ばれる戦士たち」。このフレーズには深く共感。挑む対象の本質を忘れることなく、過去のアイデアなど蹴散らして、サプライズとハピネスを常に提供するべく前に進むしかない戦士たち。例え時間をかけて磨き上げ生み出したものがそのプロセスなど想像も理解もされないまま日の目をみることもなく埋もれる経験を嫌というほど積み重ねても。

2,著者はマーケティングの専門家、教授である。はしがき第一声で「私は…マーケティングという言葉を嫌うようなファッション業界の…プロの方々に向けて…この本の構想を練りました。…」とある。この直球な挑みを潔く感じた。

3,第1章タイトルに掲げられた二人のデザイナーの名前。三宅一生と川久保玲。
鷲田清一 著『ひとはなぜ服を着るのか』で振り返る「境界を意識した歴史」で紹介した本でも「一枚の布 ー 三宅一生の仕事」、「モードの永久革命 ー 川久保玲の仕事」として大きく取り上げられていた二人。私の記憶には、この二人が「着るものをつくる」という本質を軸に挑戦し続けるデザイナーとして強く残っていた。

千年の歴史の中から著者が拾った120のニュースの中には、現代の様々な現象を裏付ける歴史的背景があり、まさに謎解きさながらの快感を提供してくれる。それは読む人の視点、知識、興味によって様々であるはず。

私にとって読後最も強く印象に残った内容。
それは第3章の終わり5ページの記述にあった。
現代の「ラグジュアリーブランド」システムの遠い祖先ともいえる中世ヨーロッパの「ある事情」に依る仕組み「ギルド」のことが触れてある。そして、日本にはこうした仕組みがなかったかわりにマイスターの精神を「秘すれば花」と文章化した世阿弥がいた、と。

私が2012年の暮れにこの本に出逢えた理由は、初めてフランスを訪れたときに感じた「美」という概念への問題意識に端を発する。その後経験したデザインコンサルティングの仕事、ファッション誌編集者としてミラノを訪れたときの感覚…香りという目に見えないものの価値を伝えるには素材活用の歴史を知ることだと思い至りアロマテラピーを学び、結果香水を含むファッションの領域に関わる仕事に携わっていること。そのようなプロセスなしには、この本を手にとり一分も経たないうちに今の自分にとって必読の書と決断できなかったかもしれない。

2013年1月2日水曜日

HAPPY NEW FRAGRANCES

あけましておめでとうございます。
2013年元旦の東京は爽やかな快晴に恵まれました。




お昼過ぎの神田明神。このとおりくっきりとしたカラー。

いくらか軽くやわらいだ空気に
一足もふた足も先のはずの春を想像。
そんな空気に似合う香りは?
と思い巡らし
FRAGRANTICAのNEWSから新作情報をチェック。

Bottega Veneta Eau Legere
2011年デビューのボッテガ・ヴェネタ。
この春は「軽い水」と銘打ち
トップノートにベルガモットとピンクペッパーをきかせて
みずみずしく軽やかなヴァージョンが誕生。

2006年デビューのオリジナルネームに「水」と銘打ち
みずみずしく繊細でロマンティックな香りを提供するのは
リンゴの形のニナ。
今回もチェリーが使われています。
Nina Ricci Nina L'Eau

上記2種は
ともにオリジナルのファンの期待にそうが如く
イメージの根幹は大切にしつつも
そのときどきの新たなインスパイアがプラス
されているようです。

そしてこちら。春を思わせるピンクとイエローのカラーがテーマ。
Kenzo Couleur Kenzo

フレッシュな気持ちで新しい年の一日目。
冬から春への光の拡がりを想像しながら
新年に希望を。