2013年12月31日火曜日

"EAU SO FRESH "で新しい時間へ・Daisy Eau So Fresh Delight by Marc Jacobs

春のことを考えて。
日本では4月が始まりの月。
そのころから、きっと前の年とは全く違う生活になるはず。
そんな予感から、身辺整理を始めた一昨日。

2014年3月12日発売予定の
愛らしくさわやかなフレグランスを開封。
軽く着てみました。






色とりどりの花たち。
生き生きと春に芽吹く野の花たちのように元気です。
プレイフルなフローラルフルーティー。

マーク ジェイコブス デイジー
オー ソー フレッシュ オードトワレ ディライトエディション。
正式名はこんなに長いのです。

淡いピンクの液体には
ヴィヴィッドなオレンジのみずみずしさ、
南国の海辺でふんわりと漂う花たちの面影、
ピンクなベリーや甘酸っぱい可憐なフルーツたち……。

まさに
"ソー フレッシュ"な気分にしてくれたこの香りで
新年2014年に明るい未来を想像。

Daisy Delight and Daisy Eau So Fresh Delight by Marc Jacobs
12/16/13 06:15:28
By: Ivana


マーク ジェイコブス、人気の香水「デイジー」より限定フレグランス2種が登場


情報提供
コティ・プレステージ・ジャパン株式会社

2013年12月29日日曜日

2013年の10展に感謝を込めて

驚き。
想像に浸る時間。
時空を超えて静かに
展示されたモノと対話する
かけがえのないひととき。

2013年
深く記憶に刻まれた10展について記録した記事を
文章の一部を引用しながら振り返ります。


『香りとファッションの美学展』と平田幸子氏による講演会

漆喰でできた重厚な壁や天井を走る巨大な梁が織りなす空間は
見慣れていたはずのいくつかの香水瓶の新たな魅力を感じさせ
静かに豊かな時間を楽しむことができました。

『Paris、パリ、巴里 ─ 日本人が描く 1900–1945』で佐伯祐三作品に再会

チラシの画のタッチをみたときから
その温もりに憶えがあった。

『ヨーロピアンモード』〜『ローマの休日』〜『ROMA /Laura Biagiotti』

『ヨーロピアンモード2013』/文化学園服飾博物館で目に留まったドレス。
それは、かつてモノクロ映画でしか見たことがなかった
『ローマの休日』の冒頭で
アン王女(オードリー・ヘプバーン)が着用していたドレス。
白のドレスかと思っていたら
淡い穏やかなゴールド。
細かな刺繍模様。

18 visual works from 8 kinds of aroma ー 文化学園大学 けやき祭にて

香りという抽象的なものを視覚表現する経験が
目に見えない時代の空気感を服に表現していこうとする
かれらのクリエイティビティに反映されていく…
そのような期待感を毎年実感しています。

美的好奇心で見る『貴婦人と一角獣 展』

メインの作品と同じように印象的だったのは
「算術」という作品。
算術は、美を表す比率を論証するための学問、
というようなことが記されていた。
どこか数学には美的好奇心が漂う、とは
昔から感じていたことだったから。

『色を見る、色を楽しむ。…』・ブリヂストン美術館にて

魅かれるものは
何度も
近くからも遠くからも
立ったり座ったり
色々な角度から眺めた。

"STYLE'S CAKES & CO."での個展

あたたかみのある木のナチュラルブラウンを基調に
壁のグレイッシュな、というかスモーキーなブルー?の色が
シックな店内。
波多野さんのモノクロームの絵が溶け込んでいます。


国宝 興福寺仏頭展 / 東京藝術大学大学美術館、そして根津神社

実物に対面したときの清々しさと安らぎは素晴らしく、千年以上も前にこのような人物が存在したかと想像するだけでも厳かな気持ちになりました。

緑を抜けて、21_21 DESIGN SIGHT

実際の自然の中からさまざまな色々を採集し再編集する面白さと
抽象的なイメージを自由に色々に置き換えていく試み。
それは、香りの創造にも通じるクリエイション。

「ロマンティック・バレエ」から見る19世紀

バレエを通じ
主にフランス19世紀の歴史背景に思いを馳せた時間となりました。

2013年12月26日木曜日

香りとボトルとロゴタイプ

ここ1週間。
いそがしさの合間に
安らぎの時間を提供してくれた飲み物。

アペリティフに選んだ軽やかな白ワイン。
さわやかな香りとともに記憶に残ったのは
愛らしいハーフボトルのラインと
整列したロゴタイプが可憐にレイアウトされたラベル。



そして。
芳醇な2012年ブルガリア産ローズオットーを贈った方から
クリスマスに送られてきた2008年産の赤。



この程良い間をもつ文字の並び。
ボトルの深い色に映える白ラベル。
軽やかながら深い味わいでした。
深まった秋のすみきった風が運ぶ香りのように。

心地よい香りの液体は
さながらフレグランスのごとく
そのボトルも名前も記憶に残るものが多く
いつか再会するときのためにと
その姿を記録。

2013年12月25日水曜日

2013年の8冊に感謝をこめて


2013年も多くの書物に出会いました。
1点の好奇心から波紋のように
世界を拡げてくれる書物の存在はかけがえのないものです。

今年sawaromaブログでご紹介した本のうち
私が、香りの専門誌 " PARFUM " 165~168号(春〜冬号)内
書籍紹介ページ "BOOKS "に於いても
媒体用に新たに紹介文を書いた8冊を記します。

一年前を振り返り
最初の一冊目のみ、記事中の一部を引用します。


塚田朋子 著 『ファッション・ブランドとデザイナーと呼ばれる戦士たちー西洋服後進国日本の千年ー』と出逢えた理由

私が2012年の暮れにこの本に出逢えた理由は、初めてフランスを訪れたときに感じた「美」という概念への問題意識に端を発する。その後経験したデザインコンサルティングの仕事、ファッション誌編集者としてミラノを訪れたときの感覚…香りという目に見えないものの価値を伝えるには素材活用の歴史を知ることだと思い至りアロマテラピーを学び、結果香水を含むファッションの領域に関わる仕事に携わっていること。そのようなプロセスなしには、この本を手にとり一分も経たないうちに今の自分にとって必読の書と決断できなかったかもしれない。

真実を求める現代の知性6人の語り・『知の逆転』を読む

『カフカと映画』/ペーター=アンドレ・アルト 著 瀬川裕司 訳(白水社)を読む

美観美香な果物を活かす・『果物のごはん、果物のおかず』フルタ ヨウコ著/誠文堂新光社

『調香師が語る 香料植物の図鑑』(原書房)と過ごす午後

『今のピアノでショパンは弾けない』から回想した「香る音」

少しの創意で"美"を生む心・芦田 淳 著『髭のそり残し』

…苦さの果ての、そのつぎのよろこびを。『買えない味2 はっとする味』より


限られた時間の中で
自分一人では決して
知りようのなかった
考えつくこともできなかった世界を
文字を通して共有共感できる喜びに感謝を込めて。

2013年12月22日日曜日

香りの専門誌 "PARFUM" 168号(冬号)発刊



香りの専門誌 "PARFUM" 168号(冬号)が冬至を前に発刊です。
168。創刊から42年目となりました。



新年のやわらかな光をおもわせるみどりを背景の表紙。
アメリカのボディファンタジーのイメージヴィジュアル。

年明けから春にかけての新作フレグランスのニュースとともに
「芸術と香水」では
石川県能登島ガラス美術館で2014春予定の香水ボトル展示の予告。
「香り立つ女優」ではマレーネ・ディートリッヒ。
「時代をリードした香り美人とファッション」では
かつてバレエのプリンシパルを夢見た少女が一躍映画スターに、の
冒頭とともにオードリー・ヘプバーンについて。

新しい年への希望。かすかな春の予感。
そんな気分にピッタリの香り、
ジバンシイのブルームや
ヴィヴィアン・ウエストウッドのモン ブドワール…
嬉しい新作ニュースとともに。

JAZZ + CLASSIC PIANO DUO LIVE 野瀬栄進 稲田俊介


ニューヨークで活動中のジャズピアニスト 野瀬栄進 &
ウィーンで研鑽を積んだクラシックピアニスト 稲田俊介…

2台のピアノが繰り広げるデュオを想像すると
ライブの夜が待ち遠しかった。

12月21日 TAKAGI KLAVIEA 松濤サロンにて
JAZZ+ CLASSIC PIANO DUO LIVE
野瀬栄進 稲田俊介





クラシックがあったからこそジャズは生まれたと思うし
ジャズで聴くからこそクラシックの不動の美も再認できる。

ピアノという楽器は
強弱の表現が実に楽しい。

打鍵タッチの異なる
男性二人から繰り出される音のコントラスト。
圧倒的な迫力があった。
私はピアノから5メートルも離れていなかったから尚更。

今回のプログラムで特に個人的に嬉しかったのは
J.S BACH「ゴルドベルク変奏曲」。
まず稲田さんがクラシックで。
うたうように野瀬さんがジャズアレンジで追いかける。
こんなゴルドベルク変奏曲は初体験。
本来眠りを誘うはずのこの曲から
耳が離せなかった。

やはりバッハは偉大だった。
4月の癒し①・BACH: THE GOLDBERG VARIATIONS / GOULDでも書いたように。

素晴らしい音を聴いて心底リフレッシュ。
彼らのデュオは22日も世田谷KARURA HALL
(小田急線経堂駅北口より徒歩約12分)にて夕刻18時よりライブ開演。

2013年12月21日土曜日

"Quelques heures de printemps"は「人生に必要な言葉を交わせるか」を問う映画

寒い冬の午後。
銀座の映画館にて鑑賞。
フランスで昨秋公開され
今年セザール賞4部門でノミネートされた
"Quelques heures de printemps"。

直訳すれば
「春の数時間」。
私はこの映画のフランス語の原題に魅かれた。

予告編に流れる静かな音楽、
複雑な表情の横顔。
みどり美しくきらめく春の数時間に
白髪の女性とその息子との間に
いったい何が起きたのか。

たとえフランス語がわからなくても
邦題から入る前に
まずは
本国フランスのメディア『ルモンド』にリンクされていた
diaphana の中の予告編を視聴して
雰囲気を感じるところから知ることを勧めたい。

このページの予告編が貼られたその下にフランス語で説明された
あらすじは次のようなものである。

<48才のアラン・エヴラールは母の家に身を寄せざるを得なかった。母との共同生活はかつての彼らの険悪な関係を表面化させてしまう。ほどなく彼は母の病が不治のものであり余命わずかであることに気付く。人生の最期のとき、彼らは果たして互いに歩み寄ることができるだろうか?>

歩み寄ることとは、どのようなことなのか。
最期まで観れば、心に沁みるように感じられるかもしれない。

ほとんど会話のない二人が
長い沈黙の時間の果てに
究極のときを迎えるまでの数時間を経て
いかにして「人生に必要な言葉」を交わすのか。
まさしくそのことが最期まで鑑賞した理由ともいえるし
映画のテーマではないかと感じる。

この映画を観たもう一つの理由は
主役のVincent Lindon。
彼の出演する映画は
観たかぎり全てに深く感じるものがあり記憶に刻まれている。

今回も
冒頭の彼の横顔と
最後の彼の横顔とを比較すると
確実に「春の数時間」を経た彼が見える。

彼へのインタビュー記事を見つけた。
Quelques heures de printemps avec Vincent Lindon

彼のコメントの中で最も私に響いたのは
〈… Il y a une phrase qui m'a toujours terrifié: «Si tu as quelque chose à me dire, c'est le moment ou jamais.»…いつも私が怖いと感じるフレーズがあります。それは「もし君が私に言いたいことがあるのなら、そう思った今がその時。今を置いてない。」〉

今という時はもう二度と来ない。
その時間とタイミングの大切さ。
失くしてから後悔するよりも
あるうちに伝えなければ
もうその時は来ない。

そうしたことが
この
周囲の人に支えられて生きていることに感謝を伝える時期に
深くふかくしみこんでいくような映画だった。

邦題が記された公式サイトは
コチラ
この邦題は、いまの日本人にとっては注目されやすいのかもしれない。
だが本当のテーマはそこにあるのではなく
本編を淡々と鑑賞した1人ひとりの記憶に共鳴する
大切な人と自分とのかけがえのない関係性ではないかとおもう。

2013年12月20日金曜日

"Guerlain La Petite Robe Noire Couture" における"Petite"考


〈…生まれたのはローズから…〉
〈…このフレグランスのシンプルな特徴は、ブラックチェリー、パチュリ、そして大胆に使われたあふれんばかりのローズといった格別な香料を際立たせ…〉

これは昨年日本でも発売された
La Petite Robe Noire Guerlain for women
の日本語リリース資料からのフレーズ。



資料に挟んであった一年前に吹きつけたこの香りの試香紙。
いまもふんわりチェリー。そして奥には滑らかに幾重にも重なるローズや
バニラやパチュリの余韻も。
発売当時、日本の調香師の方が、この香りには抽出後何年か寝かせたローズやパチュリの香料も使われているかもしれない、天然原料にこだわる老舗ゲランならあり得ること…と仰っていたことを回想。

さて
La Petite Robe Noire(リトルブラックドレス)
という名前に使われているフランス語の"Petite"には
単に「ちいさな、ミニサイズ、ミニ丈の」という意味だけではなく、
最近日本でよく用いられる「ちょっとした」という意味だけでもなく、
「(親しみを込めて)かわいい、愛しい」という意味があり…
私はこのフレグランスには特にこの最後の意味を感じます。

このシリーズの最新作
Guerlain La Petite Robe Noire Couture
12/19/13 10:23:04
By: Sanja Pekic

は、"Petite"はそのまま、"Couture"も加えられ
さらに高級仕立てのドレッシーな装いという含みを感じさせています。

今回のボトルに描かれたシルエットはロングドレス。
レッドカーペットによく映える
より洗練された、よりシプレな香り。

「シプレ」。
改めてこの言葉の意味を
パリ在住日本人調香師、新間美也さんの著書
『香水のゴールデンルール』p45から一部引用して〈〉に記します。

〈…シプレという言葉は、1917年にコティ社がつくった「ル シープル」という香水に由来します。ル シープルとは日本語でキプロス島の意味。当時はバカンス先として大変人気のある場所でした。そんなことから、この香水が発表された当時は、
瞬く間に大流行し、街のどこでもこの香りであふれかえっていたと聞きます。
ベルガモット、ローズ、ジャスミン、オークモス、パチュリ、ラブダナムを組み合わせたこの香りは斬新で、それ以降につくられたル シープル似の香水は、シプレ調の香水と呼ばれるようになりました。…〉

個人的に私にとって今回の新作はまさに
"Petite"「(親しみを込めて)かわいい、愛しい」。
何故ならば…私がかつて
初めて自分が好きで選び購入したフレグランスが
シプレタイプだったから。
時を超えて今の私が
そんな気分に再会できるか楽しみです。

2013年12月19日木曜日

収穫年の薔薇の香り・「パレチカ」サイト・リニューアル

久しぶりに
2011年産の甘美な香りを枕元に1滴。
熟睡できた週末が明けると
月曜日から元気です。

急に寒くなった水曜日、
今シーズン初めて着る服に
2012産の芳醇な香りを
しみこませたストラップをかけて優雅さをプラス。
袖口を通すと、襟元からかすかに薔薇の余韻。
口角はいつのまにか上向きに。

私の手元には
2009年産から2012年産の
ダマスクローズオットー「パレチカ」の香りがあります。

新パッケージのセットは自分にだけではなく
秋に大切な知人へのブライダルギフトとしても贈りました。

今春新たに
香りを楽しむ紙小物とともに
パッケージを一新した「パレチカ」
この12月、ギフトシーズンに向けてサイトをリニューアル。
http://www.palechka.com/




新たなサイトでは
「つばめの香り皿」でのお試しキャンペーンもご紹介。

この香り皿は
そのまま栞にもなりますし
周囲を起こすように折り上げて香り皿としても楽しめます。
約100個分の薔薇の香りが凝縮された1滴は
火も電気も使わず、自然揮発で周囲へ…
ふんわりと拡がるのです。

紀元前の昔から多くの人に愛された
ダマスクローズの本物の香り。
2014年も、優雅な時間を求める方々に
幸せを届ける香りとなりますように。

2013年12月18日水曜日

タルタルソースは香味ソース

タルタルソース。
かつてフレンチスタイルのカフェの厨房で
さんざん手作りしたことがあったという方に
作っていただきました。




ベースはマヨネーズ、ゆでたまごのみじん切り、
玉葱のみじん切り、ピクルスのみじん切り、
そして…生パセリのみじん切りだそうです。
いいピクルスが見つからないから、と
キュウリをみじん切りにして水分を絞り軽く柚子醤油にからめて
酸味ある香りづけをしたとのこと。

スープカップ一杯分作っていただき
つくりたてはカジキのムニエルに添えました。

パセリの清々しさと
玉葱、キュウリのふうっと抜けるような甘く青い香りが
なんともいえず油仕上げの素材に絡みます。
フレッシュなその口当たり、
まさに香味ソース。

翌朝は、上の写真のように
厚切りハムステーキに添えて。
卵の美味しさにもあらためて感謝。

市販のタルタルソースとは比べ物にならない
香りを体感して…
パセリの香りのインパクトの偉大さを実感。
単なる飾りではもったいない。
パセリは刻んで香りを活かさないと。
キュウリも刻むと香りが面白くなるのです。

2013年12月15日日曜日

オレンジパンで始まる朝

昨日。
いつものバゲットとともに
翌朝用にと買っておいたオレンジパン。

一週間の疲れからぐっすり眠って目覚めたものの
すぐに食欲はなく、林檎のみでいいかなと思っていました。

しばらくして珈琲を淹れて。
オレンジパンをカットしてみました。


オレンジピール。
甘さよりもこの香りの明るさ、優しさで
いつもより珈琲が美味しく感じられます。

イタリア産オレンジ皮の
リキュールシロップ漬け。
キラキラ香っていました。

マーマレードをつけるより
オレンジジュースを飲むよりも
オレンジの香りを満喫。

しばらく休日朝の定番になりそうです。

買ったお店墨繪
昨日いただいた新宿レストランのメニューチラシを見て
いつか本当に行ってみようと思いました。

2013年12月14日土曜日

春の妖精を感じて・Feerie Spring Blossom Van Cleef & Arpels

見えない気配。

春に芽吹くはずの香り、花びらは
固く閉じられた植物の奥深く…

3ヶ月先の未来。
桜の蕾がほころび始める空気の中に
こんな妖精がとびかっているのかもしれません。



一週間前の展示会では
さわやかな朝の光のようなフレグランスの一つとして
紹介されていました。

その清々しい香りから
麗しい桜の花びらとの再会が待ち遠しくなりました。
そんな想いで
これから迎える本格的な寒さを乗り切れますように。

昨日の記事より。
ヴァン クリーフ&アーペルが人気フレグランス限定復活 - 春を感じるロマンティックな桜の香り

トンボのフェアリーがきらめく
このボトルだけでも
春のオブジェとして大切にしたくなりそうです。
発売日は2014年2月19日。

情報提供
ブルーベル・ジャパン株式会社
香水・化粧品事業本部
『カフェ デ パルファム』

2013年12月12日木曜日

シアーフローラルの光香る・" Vivienne Westwood Mon Boudoir "

パウダーピンクにホワイトレース。
そしてきらめくゴールド。

春の新作フレグランス展示会場にて
薄暗い照明の中から
キラキラ眩しいオーラを放っていたのがコチラ。
ヴィヴィアン・ウエストウッド モン ブドワール オードパルファム。
日本では2014年1月29日発売。



ブドワール。BOUDOIR。
(女性の)私室を意味するフランス語。

1998年にブランドのファーストフレグランスとして生まれた
ブドワールの香りには強い女性のイメージが漲っていました。
その後もいくつかブドワールシリーズがデビューしましたが
今回の新作は
さらにプライベート空間のロマンティックムードが
フランス語の所有形容詞"Mon(私の)"により強調されました。

オリジナルがもつ軽やかなフローラルを受け継ぎながらも
よりフレッシュでフェミニンで優しい光のような印象。

ひと足先に紹介されていたアメリカのサイトには
詳しい香調も記されています。

Vivienne Westwood Mon Boudoir
11/14/13 11:33:30
By: Sanja Pekic


まさにレーシィで繊細なフローラルを感じます。
軽やかなスズランから華やかな薔薇やジャスミン、
ムスク、サンダルウッドへ。

優しいだけではないのが
さすが
ヴィヴィアン・ウエストウッド。

ひとたびまとえば
歩くたびに光を集められるかも。

確かな存在感を意識しながら
春の光とともに輝きたいひとへ。

情報提供
コティ・プレステージ・ジャパン株式会社


2013年12月8日日曜日

フルーツのコンポート(林檎・洋梨…etc.)

たくさんの林檎をいただいた木曜日。
一部を煮てコンポート(compote:フランス語 果物の砂糖煮)にしました。

1個の林檎を12等分。
3個分ずつ2回に分けて合計6個を煮ました。

急なことなので
こういうときに必要なレモンはありません。
しかし
オレンジ色に輝くみごとな蜜柑があります!

この日本産オレンジ果汁(林檎3個に3房分)と
カナダ産メイプルシュガー(林檎3個にカエデ固形2個)
と少量の水にほんの少しのゲランドの塩、
シナモンパウダーを散らし
弱火でじっくり水分がなくなるまで。

仕上げに再度軽くシナモンパウダーを
うっすらまぶします。

林檎・オレンジ・シナモン・メイプル。
秋の実りの有難さが集結した
冬のおめでたい香りです。

その夜は自宅がしあわせな香りにフンワリと包まれました。

市販のコンポートよりは砂糖はかなり控えめのはずなので
早めにいただいてしまわなくてはなりません。

そのまま半分は冷蔵庫へ。
翌朝家族でデザートにいただいたら
あっという間になくなりました。

もう半分は冷凍しておいたのですが
昨夜から解凍し
日曜午後の珈琲のお供として
ヴァニラアイスクリームに添えています。

コンポートにしておいしいのは夏ならば梨も。
そして洋梨も。
あたたかい部屋で食べたくなる「洋梨の白ワイン煮」
[TASTY]2013/12/08 12:00

白ワイン、バニラビーンズも使ってより芳醇な香りが楽しめそうです。

2013年12月7日土曜日

2014春・新作フレグランス展示会より・Maison Fragrances

12月にしては
あたたかな金曜日の午後。
ブルーベル・ジャパン株式会社主催の
2014年春の新作展示会へ。

拝見した内容から
まずはメゾンフレグランスの最新情報を。

見慣れたあのアニック・グダールのクラシカルなボトルが
手のひらにのせたくなる愛らしい50mLサイズに。


この特別サイズは
《ディスカバリーサイズ》と記されていました。
まずは試してみたい、贈ってみたい…という
春ならではの好奇心に応えてくれるサイズ。

1月22日には
オードムッシュ・オーダドリアン・デュエルの3種
オードワレで新登場。
4月23日には
コチラ でご紹介のオーデコロンでも。この2種は特に、男女年齢問わず幅広く喜ばれる普段使いの香りとして私の周囲でも好評です。

アニック・グダールの隣には
英国クリードの新作。
1月29日に発売されるのは
クリード オードパルファム フルール ド ガーデニア。
繊細で気品あふれる香り。春が待ち遠しくなりそうです。

そしてメゾン フランシス クルジャン。


2月26日に
お馴染みフレグランスの香りのボディケアが新登場。

ニューヨークという"都市へのオマージュ"を表して創られた
フレグランスコレクション、ボンド・ナンバーナインの新作は
鮮やかなグリーンボトル。



1月15日発売の
ボンド・ナンバーナイン ニューヨーク ムスク オードパルファム。
デリケートなムスクの秘密が
大胆にユニークに表現されていて魅かれます。
個々それぞれの肌の温度や匂いと絡ませて楽しめそうです。

好きなものを究極まで追求したいファンの心に応える
メゾンフレグランスならではの
ブランド精神を改めて感じました。

情報提供
ブルーベル・ジャパン株式会社
香水・化粧品事業本部
『カフェ デ パルファム』

2013年12月6日金曜日

冷たさは静かに温かさを導く…『雪の女王』

雪国生まれの私にとって
雪には複雑な思いがあります。

寒く冷たいという絶対的な現実。
無言の厳しさ。
一方で
遠くからも近くからも
雪の作り出す形の
美しさ。

12/6(金)・12/7(土)国際ファッション文化学科 卒業イベント『雪の女王』を開催



冒頭のパフォーマンス。
冷たい風の見えない激しさ、美しさが
音楽とともに
男女それぞれの鮮やかな跳躍、華麗な身体の動きで表現。
武蔵野音楽大学に加えて今年度から
日本体育大学ともコラボレーションされ
その表現はより立体感を増しています。

動きを見せるための衣装。
花の香りを感じさせる衣装。
動的で温度を感じさせる色彩は
圧倒的に冷たく静かで
荘厳な雪の女王と対照的。

体温の温かさを日々実感し
寒いからこそ温かい人達に
育まれたのかもしれない
子供時代。

文化学園大学のこの卒業イベントは
毎年鑑賞していますが
今年はひときわ心に沁みました。
明日も11:00〜 14:00〜 17:00
3回開演されます。

2013年12月4日水曜日

空気に拡散する2%と皮膚に塗布する0.25%

一昨日は医療系専門学校での実習として、精油濃度2%のエアフレッシュナー(ルームフレグランス)をグループで制作。2種の精油を好みのバランスでブレンドし、無水エタノールに溶かし、精製水で薄める。

かなり広い実習室ではあったけれど、8種類のエアフレッシュナーが試しにスプレーされると廊下にもうっすら拡がる香り。2%なのでスプレーして香りがすぐにはなくならないものの、しばらくすると柔らかくフェイドアウトしていった。1%ではかなりすぐに消えてしまい、周囲にもっと強い香りがある場合などはわかりづらいこともある。一瞬空気がリフレッシュされる程度。それではちょっと物足りないという学生からの要望もあり、2%にした。

一方昨日は、ファッションを専攻する学生にアロマトリートメントで皮膚に塗布してリラックスできる香りの楽しみ方を指導。

初めての学生も多いため、精油濃度は0.25%ホホバオイル。過去15年、学生にこのようなオイルを試させてきて、1%でも0.5%でも香りが強いとか、皮膚が痒くなったなどの反応を示された経験もあり、さらにその半分である0.25%で1種精油のみの希釈。パッチテストも兼ねている。

皮膚はデリケート、しかも自分の皮膚に塗布するのだからほのかに香ってリラックスできればあとは静かに香りがフェイドアウトしてくれたらそれでよいはず。そしてそんなところが、持続性を求められる、身に纏う香水フレグランス類とは違うところ。
ある学生が、自分がつけている香水のほうが強くて、制作したアロマトリートメントオイルの香りがわからないと訴えてきた。今はわからなくても、自宅で今夜お風呂あがり、就寝前に手などにうっすら拡げと使ってみてはとアドバイス。

皮膚はデリケート。そして人の嗅覚は本来敏感。そもそも呼吸の入り口にある感覚受容なのだから。

現代という時代はあまりに身の回りに香りのノイズが多いだけに、そしてそれでも生きていられるだけに、最初はわかりにくいかもしれない。

しかし、本来の目的に応じた適度な香りの強さというものはある。

センサーを研ぎ澄まし、嗅覚を鋭敏に磨くことは、嗅覚を含めた感覚全体にとっても極めて重要。これまでに見過ごしてきたかもしれない大切な情報に気づけるようになるということが、生物にとってアドバンテージ以外のなにものでもないはず。

2013年12月2日月曜日

ギターと『ショコラ』と12月

エキゾチックなギターの音色に
心温められて過ごした日々のあと
聴いてみたくなったアルバム。




もう12年位前の今頃、
あるアーティストの方から好きな映画と紹介され、音楽から先に聴いてしまったアルバム。

アルバムトップとラストのギターはよく憶えていた。風の流れに身を任せつつ色々な感情を受け入れ淡々と生きている人の気持ち…
血の通った心の囁きのようなこの旋律、ギターを弾いていたのは映画の出演者でもあるジョニー・デップだった。

寒い12月のランチタイム。
お世話になった方を自宅に招き
温かくスパイシーなスープで
ささやかなおもてなしをしたとき
BGMにこのアルバムをかけていたことも回想。

久し振りに聴いて…
シナモンを一振りしたカボチャのスープを作り…
温まった週末のあとは
元気な月曜日。



2013年11月30日土曜日

オレンジに映える黄金の液体・Limited Editions by Hermes


ゆるやかに波打つスクエア(24 Faubourg)。
小首を傾げた球体(Eau des Merveilles)。
アールデコを思わせる直方体(Terre d'Hermes)。

エルメスの人気3香から
今年も限定版がデビュー。

Limited Editions by Hermes
11/27/13 06:48:02
By: Sandra Raičević Petrović


香りはもちろん
ボトルデザインもリミテッド。
オレンジのエルメスカラーにひときわ映える黄金の液体。
歓喜の笑顔を誘います。

使用されている香料データから…
白や黄の花々の競演…
スミレとモスのなめらかな温もり…
ゼラニウムやベンソインの甘い優しさ…
いずれもオリジナルの魅力に加えて
新たにマジカルな光を放っています。

私もそういえば過去のリミテッドを一つ
宝物のように持っていました。
新月に・春の光香る・EAU CLAIRE DES MERVEILLES

2013年11月28日木曜日

温かなギターと柔らかなヴァイオリンのデュオ・mille baisers(ミルベゼ)

探していた音に出逢えました。

温かなギターと柔らかなヴァイオリン。
誕生して間もないこのデュオの名前は
mille baisers

知人で音楽プロデューサーである菰口賢一さん 主催の今年のボジョレーの会に参加したところ、mille baisersのお二人が登場。
高円寺駅前の路上で演奏していたお二人の音楽に
足をとめられたという菰口さんに誘われてのご参加。

"mille baisers"
(フランス語直訳は「1000回のキス」、
手紙の終わりに記される「心を込めて」)
というタイトルの曲を1曲聴き…
満面の笑顔で柔らかな音色を奏でる横山さんのヴァイオリンと
たたみかけるように人の温かな気持ちを紡ぐ小久保さんのギター
たちまち魅かれてしまい
その場でこのCDアルバムを購入してしまいました。


誕生月に出逢えた、何よりの音楽。

先日…
「シナモン♪」でも書いていたように
なんとなくアコースティックなギターが聴きたいと思っていましたし
「立冬・半年先の新しい香りと映画の中のブルーと」で挙げた映画の中のミシェル・ルグランによる哀愁と愛情の温もりに満ちた音楽に包まれたいと思っていたら…というタイミング。

mille baisers(ミルベゼ)さんは
明日11月29日にも池袋でライブを開催されるそうです。
益々のご活躍に期待。

2013年11月27日水曜日

ブランドを伝える今年の8香・鑑賞講義より


担当講義「ファッションとアロマ」後期9回目。
(文化学園大学 現代文化学部 国際ファッション文化学科)

8回目まで、アロマテラピーのみならず香水原料としても重要な天然香料20数種類を丁寧に鑑賞、言葉やヴィジュアルで表現する訓練を積みながら各香料の背景知識を得てきた学生たち。彼らに今年日本で発売されたフレグランスのうち主にファッションブランドのものをセレクトし、ネーミング、ヴィジュアル表現の解説後に香り鑑賞の機会を提供。

今年の選択のポイントは「ブランドを伝える」。

50年以上のブランドの歴史をもつフランスのレペットが初のフレグランスを発売したり、メルセデス・ベンツが女性向けの初フレグランスをデビューさせる意味は、
より広く深く、ブランド認知を高めようとする心意気の現れに他ならない。

イッセイ ミヤケにしても代表的なプリーツプリーズ誕生20周年目の今年にこの名のフレグランスを誕生させているし、ジバンシィも1970年代に熱狂的支持を得たという「ジバンシィ ジェントルマン」(1975)を受け、現代のジェントルマンの新解釈として「ジバンシィ ジェントルマン オンリー」をデビューさせている。

クロエも2008年からの香りの表現の中心を成してきたローズにフォーカスし、これまでの香りとともにクロエフレグランス、クロエブランドを強調。

ポール・スミスはデザイナーであるポール自身の私的な世界をこれまでにないほどに表現した香りを時間をかけてプロデュース、フェンディはブランド発祥の地、ローマという原点を軸に赤をテーマとした香りを掲げている。

8点について
私がsawaroma記事で綴ってきたものを以下に貼る。

1,パルファム プリーツプリーズ イッセイ ミヤケ オードトワレ
2013年1月30日全国発売
「視覚から嗅覚への再構築・革新的デザイナーブランドの新香水」

2,ジバンシィ ジェントルマン オンリー オーデトワレ
2013年5月2日全国発売
「"Gentlemen Only"(Givenchy) と"Midnight in Paris"(Van Cleef & Arpels)」

3,メルセデス・ベンツ フォーウィメン オードパルファム
2013年6月5日発売
「現代を軽やかに疾走する女性へ・メルセデス・ベンツ フォー ウィメン」

4,レペット オードトワレ
2013年8月21日発売
「1947年創業『repetto』初のフレグランスが今夏デビュー」
「" Elegance is all " ・繊細なオーラを描くレペットの香り」

5,ローズ ド・クロエ オードトワレ
2013年9月4日発売
「薔薇の優しさにつつまれて・Chloé 新フレグランス発表会」
「ダマスクローズの気品が優しく香る " ROSES DE Chloé "」

6,パルファム プリーツプリーズ イッセイ ミヤケ オードパルファム
2013年9月18日発売
「紫のボトルと香料に魅かれて・Issey Miyake Pleats Please Eau de Parfum 2013」

7,ポール・スミス ポートレートフォーウィメン オードパルファム
2013年10月23日発売
「"Portrait " (Paul Smith )・香るたび、ポートレート」

8,フェンディ アクアロッサ オーデパルファム
2013年10月25日発売
「Fendi L’Acquarossa・生命力と揺るぎない芯を秘めた赤」

学生によるレポートを一読。
香りを伝えるヴィジュアル、言葉での表現の重要性を実感していることがよくわかる。さらに、9月からこの講義を受け始めたときよりも格段に彼らの香りを言葉で表現する力が高まっていることを感じられる。
35名の学生の感じ方は様々。どの8種にも「これが一番好き、印象的」というコメントがある。香りから具体的な人・場所・時間もイメージできている。
8種という比較の上でわかることも多い。
日本、フランス、ドイツ、イギリス、イタリアの名だたるブランドが香りを通じてブランド固有の価値を伝える表現にどれほど創造力を尽くしているか、そのリアルな実感は必要だろう。

2013年11月24日日曜日

創刊80年〜"VOTRE BEAUTÉ" 美をどこまで美しく追求できるか


フランスの美容雑誌"VOTRE BEAUTÉ"最新号のニュース

クリスマス、新年号らしく
白・黒・赤の表紙。
今回は香水特集として
"Parfums : une sensualité nouvelle vague"
まあ、意訳して
「いまだかつてない、新たな官能性」
とでもしておきます。
少なくとも
この記事だけでもじっくりと読まなければ!

この雑誌と出会ったのはかれこれ20数年前。
香水に関してエッセイを書くことになり、
ならばフランスメディアから情報を…と探し
誌面の充実ぶりに一目惚れして購入、
宝物のように持ち帰りました。

以来、フランス語を専攻していた大学時代よりも
この雑誌のために私は辞書を手にすることが増えました。
一時は毎月購入していました。
すべて保管しており、
ファッションやフレグランスに関わる仕事に携わる今となっては
貴重な資料の山。
1993年に創刊60周年を迎えた記念号もあり…
ということは、と
今年で80周年。
最近は以前よりも薄くサイズも小さめにハンディになっています。

化粧品や美容情報はもちろん
香水に関する記事も非常に面白く深いこのメディア。
これからも進化し続けて欲しいもの。

11月20日の記事で編集長が発表したのは
「2014年、"VOTRE BEAUTÉ"は変わります!」
さらに充実したシックな内容を隔月刊として提供されるとか。
楽しみです。

美というのは極めて抽象的で個人的な概念ですが
あらかじめレッテル付けされたりお墨付きされたりしたものではなく
一人ひとりの読者の心にそれぞれの美を喚起させ、磨きたいと思わせる
そんな豊かで潔くて辛口なメディアであり続けてほしいと思います。



2013年11月23日土曜日

「ロマンティック・バレエ」から見る19世紀


19世紀「ロマンティック・バレエ」時代をテーマにした日本初の展覧会・11/9よりにてご紹介の展覧会拝見。

バレエを通じ
主にフランス19世紀の歴史背景に思いを馳せた時間となりました。

イタリアで生まれ、フランスで開花し、ロシアで成熟したバレエ。
開花期のバレエ、ロマンティック・バレエが成立したと言われるのは
1789年フランス革命後の最も不安定な時代であり
1830年七月革命と1848年二月革命の間約20年間が黄金期。


ロマン主義の形容詞にあたる
ロマンティック(仏語: romantique 英語: romantic)とは
もとは古代ローマのラテン語とラテン語で書かれた書物を表す言葉。
ロマン主義の根底にあるのは
古典主義で軽視されてきた
人間の独自性や感情、民族文化の尊重、自然への共感。
バレエにおいては
夢、幻想、妖精、妖怪といった形でも表現されたり
異国情緒あふれる民族衣装を生かした作品も生まれています。

なるほど
つま先立ちのトゥシューズも
ふわりとしたチュチュも
そうした表現から生まれたものと納得。
この世のものとは思えない妖精のような佇まい。

ロマン主義文学、美術、音楽が開花した19世紀とは
フランス革命、イギリスの産業革命といった
人間社会や技術そのものが旧来とは一変した時代。
社会が大きく変わるとき
新しい芸術が生まれ…
結果として
バレエもその影響を大きく受けています。
ひとつひとつの版画をながめながら
私の場合は
まずはその衣装からそうした背景を感じました。

印象的な版画4枚のポストカード。


右上は、カルロッタ・グリジによる『ジゼル』。
左上は、わずか数回しか上演が実現しなかったという
4大スターによる『パ・ド・カトル』。
左下は、マリー・タリオーニによる『ラ・シルフィード』。
いずれも幻想的な妖精の世界。
一方、右下は
『松葉杖の悪魔』の中で「カチュチャ」を踊るファニー・エルスラー。
情熱的で地上的、官能的な踊り手で
マリー・タリオーニと人気を二分したそうです。
会場では、このファニー・エルスラーの着ている
衣装が再現されたドレスも展示。
赤系と黒の組合せは異国情緒を感じさせます。

本日は、展覧会監修者であり舞踊研究家の芳賀直子さんによる
興味深いエピソードたっぷりのギャラリートークをききながら
作品鑑賞を楽しむことができました。
12/7も同時刻に芳賀さんのトークを聴くことができます。
お話を聴くと鑑賞が何倍も楽しくなるでしょう。

鑑賞されている方々からふわりフワリと様々な香りが立ち…
その中にはあの、バレエから誕生したブランド、
レペットのフレグランスも感じられ…
優雅なひと時でした。



参考文献
展覧会図録
ロマンティック・バレエの世界 妖精になったバレリーナ
編集・発行 株式会社ニュー・オータニ ニューオータニ美術館



2013年11月22日金曜日

シナモン♪

シナモン。

特にこれからの季節は
必需スパイスになりそうです。
私は一年中常備しています。

林檎を煮るとき
薩摩芋を煮るとき
温かいワイン(vin choud)にはシナモンスティック
ヴァニラアイスクリームにはシナモンパウダー
………。

そういえばある昔のフランス映画で…。
自宅を初めて訪れた恋人のために
最初は珈琲を用意しようとしたものの
ストックが無く
ミュージシャンの彼は彼女にこう言います。

"…j'ai fait du vin chaud. Alors,j'ai mis un peu de…
enfin de la cannelle, des clous de gilofles…
Ça va te réchauffer ça!…"
(『L'Étudiante』1988 より)
「…温かいワインをつくったよ。
少しシナモンとクローブも入れて。
あったまるよ。」

冬の夜に
こんなおもてなしがさり気なく出来るのは素敵。

そして
ダカーポ マガジンワールド
TOTOSK KITCHEN
Vol.20 クローブ
シナモンのお豆たっぷりスープと
メキシカンスパイシーソース
(2013,11,20 中野エリさんの記事)

には一段と美味しそうなお料理が。

シナモンの
甘く温かく神秘的な香りを思い起こしていたら
なんとなく
アコースティックギターの音色を聴きたくなりました。
何故なのかはわかりません。

2013年11月20日水曜日

ラベンダー&イランイラン…個性の組合せで空間に抽象を描く・2

何の香りであるとか
何をしたかなんてわからなくていい、
感受する人のイメージごとに心地良い…

ジュニパー&ゼラニウム…個性の組合せで空間に抽象を描くで書いたフレーズです。

今回は
全く異なる花の香りである
ラベンダーとイランイラン、
この2種の精油をブレンドして
さらに精油濃度1%程度に希釈しました。

きっかけは
「イランイランの独特な香りがどうしても苦手」
という方のお話です。

魅力を伝えられたら、と考えました。

イランイランの花精油は
南国のあたたかい光に溶け込むような甘美な香りですが
人によってはその個性が重く強く感じられることもあるようです。

イランイランとは全く異なる環境、
高緯度で比較的涼しい高地の乾燥した地域に育つ
ラベンダーの清涼感を合わせてみます。
清涼感といえどもラベンダーは極めて複雑な香り。
複雑で濃厚な個性を発散させるイランイランに
どう調和するでしょうか。

ブレンド制作して2日後。

就寝前に寝室のベッドの上で
天井に向かって3回スプレー。
一瞬…
やわらかな花のぬくもりが舞いました。
気がつくといつのまにか香りは透明に…。
重さやしつこさなど全くありません。
あたりには上品な気配が漂うのみ。

しばらくして
イランイランもラベンダーもその香りをよく知る家人が
室内に入ってきましたが
特に香りに気付く気配はありません。
いつもよりもすやすや眠ったということ以外
何も変わりない日常でした。

香りの存在自体に気づかれなくてもよいのです。
空気に心地良さだけが残れば。


2013年11月17日日曜日

山下公園〜KAAT〜横浜中華街


みなとみらい線「元町・中華街」駅から
山下公園へ歩く。

ちょうどお昼頃。
快晴の空に銀杏の木。



海風を感じながら
ホテル ニュー・グランドの傍を通り過ぎ
神奈川芸術劇場(KAAT) へ。高さ約30mの開放的な空間が広がる劇場へのエントランス。


大スタジオで鑑賞した『唐版 滝の白糸』には大満足。
奥深いセリフや繊細な表情…
人間の動きや息遣いが最大限生かされる
この空間自体も素晴らしい。

劇場を出ると
「今日は何日?ここは何処?」
のような感覚に落ちるのが楽しい。

夕暮れの中華街。
さまざまなにおいの誘惑。


四川料理のお店へ。

ツヤツヤ緑色、豆苗の炒め物は
豆の若い香ばしさがシャキシャキ。
花椒の痺れる感覚をトップノートに
辛味、芳香のバランスが嬉しい麻婆豆腐。



晩秋の夕暮れにしては
さほど寒くもなく
穏やかな
大安吉日の土曜日。
結婚式帰りの人達で賑わう駅を後に帰京。

2013年11月14日木曜日

「薔薇を求める者はその棘を敬わなければならない…ペルシャの諺より」

オーストリアのファッションデザイナー
Lena Hosche が初めてフレグランスを発売するというニュース。

Lena Hosche Loverose
11/12/13 12:14:42
By: Sanja Pekic


ブランドから初のフレグランスが発売されるということは
香りによって
そのブランドを
もっと広くもっと多くの人に伝えたいという
思いあってのことだろう。
もしくは
よりそのブランドのコアなファンに刺激を届けるためか。

初めてのフレグランスのテーマに選ばれたのは薔薇。
ただし、薔薇は薔薇でもありがちな甘くフローラルな香りではないという。

ボトル写真の下にはこんな一文が。
"He who wants the Rose must respect the Thorn."—Persian proverb.

私はこのようなペルシャの諺(ことわざ)を初めて知ったので
どのような意味が込められているのかは正確にはわからない。

直訳は
「薔薇を求める者はその棘を敬わなければならない」
なるほどと思う。
古代薔薇のふるさとかもしれないペルシャならではの視点。

棘あっての薔薇。

薔薇の香りから何を感じるか。
そこには甘美な風景や音楽もあれば
誤って触れてしまえば
危険な扉も見えたりする。
だからこそ誘惑的で
距離を置かなければ
吸い込まれてしまいそう…
確かにそんなことを感じる一瞬があるからこそ
香りの女王とよばれるゆえんなのかもしれない。
共に調香される香料によって
優しさや華やかさはもちろん
危険な魅力も引き出されてしまう。
一色ではない
複雑な花の命の魅力。



2013年11月13日水曜日

バジリコのクルトンで香らせるスープ

バゲットが焼きあがる頃を見計らって…いつものお店へ。

墨繪のパン を見渡すと、目にとまったのがこの、バジリコのクルトン。


バジリコ、ローズマリー、タイムの風味豊か。
もうこれは
クルトン以前にそのまま食べても美味しそう。

予想通りの美味しさ。
さっさとスープを作らないと
クルトンの役割も果たさずになくなってしまいそう。

スープはあっさりコンソメベース。ゲラントの塩をひとつまみ。
タマネギ、ジャガイモ、ピーマン、ポークソーセージ、レタスなどを
ザクザク刻んでマジョラム少々も入れて煮込みました。


この熱々のスープに
3種ハーブの香りあふれるクルトンを散らしました。
あっという間に4種ハーブの香りが立ちのぼる美味しさに。

焼きたてのバゲットは
ナイフなんて使わずに
手でざっくりちぎって
スープとカマンベールとで。

気楽な平日の夕食。


香水と映画


香水と映画。
この二つのために
今も私は
母国語でないフランス語を日々
辞書をつかってまで読もうとしたり聴き取ろうとしている。

香水と映画。
トップノートで鮮烈な風景が遠くまで見渡せる奥行きを感じさせるか。
ラストノートで絶妙なバランスで記憶に響く余韻を聴かせるか。
冒頭とラストのシーンが忘れられない映画は多分一生好きだと思う。

香水と映画。
お気に入りの香水には共通の香料が使われていることに
ある日ふと気づく。
ある映画で忘れられなくなった役者を探して
その名前が刻まれた映画を見続けるように。

香水と映画。
誰のものでもない自分のお気に入りに浸る喜び。
どう生きたところで苦しみや悲しみからは逃れられない中で
想像力によって生きる喜びを感じさせてくれる
この二つの芸術に心から感謝をこめて。


2013年11月10日日曜日

オムニア・香りの宝石


オムニア 。半円がふたつ重なったかたちのボトル。

シルバーホワイト、アメジスト、コーラル…。
今年は淡いピンク色の新作もデビュー。

見えない宝石のようなオーラを纏えるのかもしれない。
であるならば透明感は欠かせないし
光沢感をイメージさせるユニークなインパクトも。

そんなオムニアの
透き通った紫色のアメジストを贈られた。
オムニアのカラーの中では
選んだ人の感覚から
私のイメージに近いものだったそうで。

この色は私が眺めて安らぐ色。
香りのタイプもフローラル・ウッディ、
私の好きな花の香りがハートノートに調香されている。

このオムニアのユニークなインパクトを
いつ、どんなふうに感じられるのか…
しばらく身につけて楽しみたいと思う。


2013年11月9日土曜日

青の陰翳・Comme des Garçon Blue Invasion Collection 〜とある映画の色


夏に注目していた
「青」の魅惑・Comme des Garçon Blue Invasion Collection

秋の乾いた空気で香りを試した。

迷路のようなコムデギャルソンの店内で
BLUE ENCENS
BLUE CEDRAT
BLUE SANTAL
3種それぞれひと拭きを専用の試香紙に。

第一印象はまさにネーミングの通りに香り立つ。

ENCENSはクールなインセンス。
冬の冷たい風に似合う。
奥のほうに浮遊するような空気が見えた。

CEDRATはかき鳴らしたギターからこぼれるような残響。
シャープでビター。遠くに切なさ。
イタリアンレモンとヴァージニアシダーの変身。

SANTALはあたたかなサンダルウッド。
パインやジュニパーベリー、ブラックペパーのドライなビター感が
サンダルウッドの甘さや滑らかさを引き出している。

ノートに3枚挟んで1日目。

ボトルの青色面積が最も広い
BLUE ENCENS から
柔らかな甘さが温もっている。

BLUE CEDRATはBLUE ENCENSに比べて香りが弱い。
いちばん早くフェイドアウトしつつあったのは
BLUE SANTALのように感じて
この余韻がボトルの青の面積と関係があるような気がしてくる。

青の秘密。
個性と個性の融合が生む陰翳と衝撃。
衝撃は最初のインパクト、
陰翳はいつまで神秘的にわからないまま存在する。

コムデギャルソンの青の香りからそんなことを感じていたら
思い起こしたフランス映画『ベティ・ブルー』(原題: 37°2 le matin)。
原題にはない「ブルー」がなぜ英題や邦題に使われたのか。
それはわからないけれど、ポスターの色が衝撃的な青だった。
激しくもミステリアス、どこまでも続く果てしない海…
そんな青を全面に用いたこのポスターで
私はこの映画の雰囲気を一目で感じてしまったことを今でも忘れない。

2013年11月7日木曜日

立冬・半年先の新しい香りと映画の中のブルーと

今日は立冬。
風とともに舞う紅葉の最盛期でもあります。

ちょうど半年先が立夏。
半年先のニュースが描かれることに元気をもらいます。

Mercedes-Benz L`Eau and Mercedes-Benz Sport

鮮やかなブルー。初夏のスカイブルー、マリンブルー。
アイスピンクの花びらに彩られたフレッシュで爽やかなフェミニティ。

現代を軽やかに疾走する女性へ・メルセデス・ベンツ フォー ウィメンのオードパルファムを原点とした爽やかなオードトワレや、メンズフレグランスのスポーツタイプ。こうして原点の香りを基軸にいくつかのヴァージョンを創っていくのも、原点への愛着が高まるきっかけとなることでしょう。

これから冬になろうというのに
夏のことを想像して笑顔になれるのも
人のイメージできる力ゆえ。

ゆうべ観た映画の中の青い海の色を思い起こしました。
もう23年も前のフランス映画 "GASPARD et ROBINSON"。
邦題『ガスパール〜君と過ごした季節』。

ガスパールとロバンソンの二人が
なんとこのロケーションに似合うことか。

南フランスの初夏の光のせいか
海も空も土も色が抜群に美しく…。
愛する者に絶対的拒絶を受けるという
厳しい悲しみを背負いながらも
未来を見て生きていく人たちの深く繊細な哀愁が
ミシュル・ルグランの音楽、ジプシー音楽の調べとともに
心に深く残りました。

冬という
生きる者にとって厳しい季節を迎えるからこそ
夏の色は眩しくて。

2013年11月5日火曜日

ジュニパー&ゼラニウム…個性の組合せで空間に抽象を描く

霜月はじまり数日後は立冬。
この時期になると作る香りがあります。

急に寒くなってきて空気が乾燥してくると
室内の空気の状態には特に敏感になってきます。

自宅空間をさりげなく心地よい状態に香らせるために
2種の精油、ジュニパー&ゼラニウムのブレンドを
さらに1%程度に希釈したエアフレッシュナー。

森林浴のようなすがすがしさをジュニパーに
フローラルな柔らかさをゼラニウムに。
両者の個性を組合せてさらに薄めて拡散すると
どことなく
光がキラキラと漂うような抽象的なイメージだけが
フワリ香ったかと思うと消えていきます。

何の香りであるとか
何をしたかなんてわからなくていい、
感受する人のイメージごとに心地良い。
それは私がかつて、空間を香らせるエレガンスで書いたとおりです。

ハードスケジュールで疲労困憊、
昨夜から寝込んでしまった家人の部屋にも数回シュッシュ。
いまはスヤスヤ眠っています。

私自身は
ビターな熱さ・ジュニパーで書いたとおりこの精油のシャープな香りはもちろんのこと、色濃く植物の陰影を感じさせるゼラニウムの奥深さも大好きですが、これら強烈な個性の組合せから生まれる、はかなくもデリケートで抽象的なイメージにも魅かれています。

2013年11月3日日曜日

19世紀「ロマンティック・バレエ」時代をテーマにした日本初の展覧会・11/9より


『ディアギレフとバレエ・リュスの世界』・芳賀直子氏講演録〜記憶に刻まれた『薔薇の精』以来、芸術としてのバレエの世界に魅了されています。芳賀さんとはその後お会いしてお話する中で、楽しそうな展覧会が実施されるときにぜひお声がけくださいとお願いしていました。

そして…先日ご案内いただいたのは
ロマンティック・バレエの世界 妖精になったバレリーナ(ニューオータニ美術館)




展覧会の監修をつとめられた芳賀さんは
ギャラリートーク(11/23,12/7の2回)も担当されます。

…ルネサンス期にイタリア貴族の宴での踊りから始まったバレエは
フランス王アンリ2世の妃となったカトリーヌ・ド・メディシスにより
フランス宮廷に持ち込まれ、ルイ14世はこれに熱中。
自らダンサーとして出演、1713年にバレエ学校を設立したそうです。
ロマンティック・バレエが成立したのはフランス革命後の不安定な時代で
テーマは、当時のロマン主義文学とも深いかかわりもあったとか。
(…以下はチラシ裏面解説内容より)

まさにチュチュやトゥシューズが生まれた
19世紀「ロマンティック・バレエ」時代をテーマとした
日本初の展覧会ということで
当時の人気演目ごとの版画やスターの手紙、楽譜も展示されています。

バレエそのものの魅力はもちろん、
19世紀フランスの社会に息づく文学、美術、音楽、
そしてファッションが反映されているにちがいありません。

目に美しく楽しめる
知りたいことがより深まる…
素敵な展覧会です。

2013年11月1日金曜日

バゲット(baguette)とクロワサン(croissant)


夕刻。
仕事にひと区切りをつけて徒歩圏内へ。

徒歩圏内で焼きたてフランスパン・墨繪のお店の前を通りかかると、なんとバゲットがたくさん並べられています。

オープンから数日はすぐに行列ができていて、バゲットがなかなか買えなかったのに、これはチャンス!5時台に焼きたてに出会えるなんて。





ほの温かいバゲットと
発酵バターを使ってつくられたというクロワサン。

家に持ち帰ってテーブルに置くと
あまりに幸せな香ばしい香りに包まれたので思わず撮影。

バゲットでは、しっかりとした小麦の味が
外皮のパリパリ感と中身のもっちり感に反映されています。
クロワサンはフレッシュなバターの香りが軽やか、サクサク。
この2種が美味しいパン屋さんが近所にあるという嬉しさ。


バゲット(baguette)。女性名詞。
英語ではstick の意味。
「細い棒」「箸 」というのが本来の意味で
日本でフランスパンといえばこの棒状のパンがお馴染みですが
フランスではそもそもパンは最初から棒状だったわけではなく
丸いものが主流だったところ、ナポレオンが携帯食にと棒状に
させた…とかそんなエピソードをいつか本で読んだことを回想。

クロワサン(croissant)。
名詞としては他に「三日月」という意味がある男性名詞。
同じ綴りと発音で「増大していく 」という意味の形容詞。
(この意味をもつ動詞の現在分詞の形になるため)


2013年10月31日木曜日

あの「イタリアのK」から新香水・Krizia Pour Femme and Krizia Pour Homme

かつて取材で初めて訪れたイタリアで
ひときわ印象的だったブランド、Krizia(クリッツィア)。
このロゴタイプと黒の組み合わせは鮮烈でした。

イタリア語のことは詳しくありませんが
フランス語ではKから始まる単語は少なくほとんどが外来語。
私にとっては強くインパクトのある文字であり
ブランド創業者は
あえてこの文字を冒頭に持ってきたのではと思うくらいでした。

Kriziaから90年代初頭に発売されていたフレグランスも
なんともユニークで、愛らしさとコケティシュな魅力に
あふれていたことを回想。

そして2014年の初めに新香水がデビューするというニュース。

New Fragrances
Krizia Pour Femme and Krizia Pour Homme
10/29/13 12:16:12
By: Sanja Pekic


過去に発売されていたものに比べ
Pour Femme(レディース)、Pour Homme(メンズ)というシンプルな名称を掲げていることから、ブランドイメージの原点を振り返って構築された印象。今年はフランスのブランド、カルヴェンでも同じようなアプローチがあったので、なんだか2013~2014年は本質回帰の時期として注目されているのかと感じます。

Krizia Pour Femme。
レモン、ベルガモット、ブラックカラントをブライトノートとしてトップに掲げ、
グリーンアップル、アプリコット、リリィ・オブ・ヴァレィのハートノートへ。
続いてサンダルウッド、ヴァニラ、ホワイトムスクとくれば最近のお決まりの組み合わせですが、ここにあの深い深いオークモスを加えているあたりが…
なんとなくKrizia。

Krizia Pour Homme。
こちらのトップはエナジーを感じさせるマンダリン、ベルガモット、ブラックペッパーのスプラッシュで始まるマスキュリンな魅力。続く調べはウッディなエレミ、スパイシーなナツメグ…シナモン…ラストにサンダルウッド・ヴァニラ・ホワイトムスクの組み合わせはレディースと共通するものの、イリスやセダー、トンカビーンで滑らかな大人の男性のエレガンスが表現されているかどうかが興味深いところです。

日本でも発売されるかどうかはわかりませんが
忘れたころに体験してみたい香りの一つ。

Kriziaの公式サイトはイタリア語または英語で読めます。
今覗いてみたら
音楽とともに2014春夏のショーを動画でみることができました。


2013年10月30日水曜日

18 visual works from 8 kinds of aromaー 文化学園大学 文化祭にて


いよいよ11月。文化祭シーズン到来です。

文化学園大学 第63回文化祭(11/2,3,4日・新都心キャンパス)

教科展示において、私が講師をつとめる「ファッションとアロマ」2012年度学生課題作品から8種類の香りのヴィジュアル作品が展示されます。
場所はC館5階です。

文化学園大学 小平キャンパスでの 6月開催けやき祭にて展示された内容が
11月は新宿の新都心キャンパスに展示されています。

昨年のようすと、この科目については
18 visual works from 12 kinds of aromaー 文化学園大学 けやき祭にての記事で説明しています。

今年は2012年度学生課題作品から
8種類の香りのヴィジュアル作品が展示されます。

オレンジスイート
レモングラス
フランキンセンス
ラヴェンダー
ローズオットー
ジャスミン
イランイラン
サンダルウッド

違う背景をもつ人それぞれ
香りから感じ取るイメージが違うということが
目で改めて確認できます。

想像力が捉えた形の多様性。

香りという抽象的なものを視覚表現する経験が
目に見えない時代の空気感を服に表現していこうとする
かれらのクリエイティビティに反映されていく…
そのような期待感を毎年実感しています。

2013年10月27日日曜日

隠されていたローズの魅力を引き出す・Marni Rose

ローズ。種類も多いし、含まれる香り成分も多種多様。
人によって「これがローズの香り」と感じるトーンが違っても致し方ない。
言い換えればローズの香りにはそれほど無限の魅力がある。

Marni Rose。
初秋に日本で発売されるというニュース記事をみかけてはいたが
改めてアメリカのFragranticaで確認。

New Fragrances
Marni Rose
10/18/13 06:14:38
By: Sanja Pekic


イタリアのファッションブランドから2作目のフレグランス。
スパイシーでダークなブルガリアンローズの魅力と
ウッディの調和が特徴らしい。
これは
ブルガリアのダマスクローズオットー
(ダマスクローズの花から水蒸気蒸留法によって得る精油)
ファンとしても魅かれる。

トップノートからカルダモンとミント。
どちらもローズの香りのある側面に共鳴する。
ミドルに薔薇とすみれ。
ラストにパチュリーとシダー、ヴァニラにホワイトムスクの温もり。
あたたかくて、清涼感があって、官能的。
複雑な薔薇の魅力が、他の香料とのハーモニーによって
解き明かされていくことを想像すると面白い。

2013年10月24日木曜日

香りを着る(3)肌に重ねてこそ

フレグランスは肌に重ねてこそ。

生きた人の皮膚に乗り
本来の皮膚の匂いと一体となり
体温で温められ
ゆっくりと衣服の間からこぼれるように
動きとともに香る。

その香り方が
さりげなくイメージを喚起させるものであるかどうか。
それが大切なのであって
ボトルからスプレーした試香紙の匂いだけでは
立体的な香り方は確認できません。

いわば、服を服として見ているだけでは
似合うかどうか最終的に確信できないのと同じこと。

服を着るときも
最初に下着、ブラウス、上着、というように重ねます。
香りの場合は、清潔な皮膚が前提というのがベスト。
最初につけるスキンケアローションやクリームが下地になるなら
その上に重ねるフレグランスは見えないドレス。
身につけてこそ美しく香るもの。

先日、
お菓子のような甘さを感じさせるボディクリームをいただき
私は足先に塗りました。
ウエスト周辺から手首に微量纏ったフレグランスは
フローラルウッディタイプのものでしたが
遠くからかすかに立ちのぼる甘い香りと穏やかに調和。
複数の香りのレイヤーで
深みのある香り方を楽しむことができたと思います。

私の場合は
纏っている香りがいくつかレイヤーになっているので
「なんていう香りをつけていますか」と聞かれても
答えられません。

纏っているフレグランスが
何というブランドの何という名前のものか、
ということなど
露呈される必要もなく
あくまでも纏う人の存在感が主役。


2013年10月23日水曜日

…苦さの果ての、そのつぎのよろこびを。『買えない味2 はっとする味』より

パラリと開いたページの一文だけで
一瞬笑顔になれた本。

「酸いも甘いも噛み分けたおとなであればあるほど、パセリの本懐を真正面からひるむことなく受け止める。だってちゃんと知っているのだもの。苦さの果てのそのつぎのよろこびを。」本文16p〜17p

本当に!
パセリの素晴らしさを知らないまま一生を終えるのはもったいない。
付け合わせのただの飾りだと見切ってしまうにはあまりにも残念。
私も…。
思い立って買ったパセリ1束を
ザクザク刻んでたっぷりとピラフに混ぜてみたことがあり
そのフレッシュな苦味の後に、これぞ緑きらめく香りのシャワー!
そんな香味体験を著者の文章から回想。

平松洋子 著『買えない味2 はっとする味』筑摩書房


思い立ってためしてみたらこんなに素敵だった…
そんな味や香りの体感あれこれが
リズミカルな音楽のように語られていく。
ところどころのカラー写真で気分もほっこり。

パセリに始まり、
ミント、胡椒…もちろんいわゆる香辛料だけではなく
あじわい深い魚の骨や卵、鰻…
わざわざ焼き網で焼くトーストの美味しさなど。

曇りのない感受性は
(特に貪欲な嗅覚は大切)
日常のほんのささやかなことに
はっとできるし
笑顔になれる。
その幸せに感謝したくなる一冊。

sillage(残り香)の洗練とimpact(衝撃)の強調

1980年代の流行がこのところ復活しているという話を聴く。
当時の人気ドラマが再編されて特別番組になったり
当時のアイドルが再び脚光を浴びるとか。

とはいえ今は2013年。
当時とは社会環境がまるで違う。
たとえば'80年代は
インターネットも携帯電話もメールも普及していなかった。

ツールが違えば行動は変わり、服装も変わる。
表面的なところだけを見ていても、今は今でしかない。
決して1980年代のファッションや髪型が
そのままリピートされているわけではない。
復活しているといえばあの頃にあった
〈華やかさへの熱い想い〉かもしれない。

ドラマティックでこれ見よがしなほど
インパクトの強い出来事にときめくような筋書きが
80年代の華やかさであるならば
淡々とした日常の中に光る小さな宝石のような喜びを
真摯にすくい上げ、より洗練させて輝かせようというのが
2013年の今、求められている華やかさかもしれない。

個人的に、80年代に大好きだったフレグランスをいくつか鑑賞し直す。
やっぱり香りとしては好きで素晴らしい、とは思う。
香りの系統としては今も好きなジャンルであることには変わらない。
でも、そのまま同じ香りを今の私が纏いたいとは思わない。

最近のフレグランスは強烈な個性が無いとか
軽くてつまらない、という声をきくこともあるが
もっと丁寧にラストノートまで肌で試し
sillage(残り香)まで確かめてみてほしい。
肌に残る香り方は優しく、清潔感を失っていない。
インパクトはあっても特定の香料の特性だけが
剥き出しになるようなラストノートにはなっていない。
20年以上前のフレグランスには
インパクトはあっても
残り香が生々し過ぎるものもあったことを憶えている。

こうした余韻の洗練が、
2013年ならではの〈華やかさへの熱い想い〉ととらえたい。


2013年10月20日日曜日

キアラ・マストロヤンニからヴァンサン・ランドンへの回想


18日の記事「Fendi L'Acquarossa・生命力と揺るぎない芯を秘めた赤」で注目したフランスの女優、キアラ・マストロヤンニ。

彼女の母はカトリーヌ・ドヌーヴ、父はマルチェロ・マストロヤンニ。
確かにその風貌、佇まいは二人を受け継いでいる。
内に秘めたような情熱の魅力。
現在41才という年齢を迎えて輝く彼女を2013年の今
Fendiが赤をテーマとしたフレグランスのミューズとした。
納得。そして嬉しい。

Fendi以外にも
キアラ・マストロヤンニの写真を
2013カンヌ国際映画祭の記事で見かけていた。
鮮やかな薔薇色の衣装。
写真の中で隣にいる男性は
フランスの名優(と私は思っている)、ヴァンサン・ランドン。
この二人、フランスで今夏公開されたばかりの映画『Les Salauds』
(英題『Basters』)で熱く共演している。

この映画については、東京国際映画祭プログラムディレクターの矢田部吉彦氏によるブログ(2013,5,22)の中で少し触れられている。日本で公開されるかどうかはわからない。

ヴァンサン・ランドン。
私は20代の頃、彼が初めて主演した映画『L'Etudiante』(1988 クロード・ピノトー監督)を観てその表情の豊かさに驚いた。
この人の眼差しや表情は、時に深いフランス語の台詞を見事に体現していたし
当時28才の彼が、少年のようなひたむきさと成熟した大人の優しさを香らせていたことも記憶に残っていた。
ゆるいようでありながら熱い情熱と行動力を秘めた
素敵なミュージシャンを演じた彼は
もう一人の主役、当時絶大な人気者であった22才のソフィー・マルソーに比べ
話題にする人は少なかったが、私は彼のほうに魅かれた。
彼はこの映画で
有望な若手男優に授与されるジャン・ギャバン賞を受賞。
50才を過ぎた現在も次々と話題作に出演している。

映画『L'Etudiante』の中でヴァンサン・ランドン演じる音楽家が
恋に落ちる瞬間に着ていたのは真っ白な雪に映える真っ赤なスキーウェア。
音楽機材に囲まれた自室で彼女を迎えるベッドも
彼女に会うためにパリの街並からフランスの高速を走らせる愛車も赤。

80年代後半ならではの音楽とファッションの中で
教員資格試験を控えた生真面目な大学生役のソフィーが好んで着るネイビーブルーとは対照的に彼が使う赤は引き立っていた。

赤を上手く生かす大人は素敵。
キアラ・マストロヤンニから
ヴァンサン・ランドンへの回想から改めて思う。

2013年10月18日金曜日

Fendi L’Acquarossa・生命力と揺るぎない芯を秘めた赤

赤のボトルと香りについて考えていたら
この秋の新作に目が留まった。

BEAUTY scene
Fendi L’Acquarossaby | on 3 Jul, 2013


イタリアのブランド。

直線によるシャープな形。
生き生きとした赤を縁取るブラック&ゴールド。
ながめるだけでもエナジーを感じる。

イメージヴィジュアルの女性がキアラ・マストロヤンニ。
この強く凛とした表情、
生命力がみなぎっている。
揺るぎない芯を秘めた女性。

トップノートにはイタリア産シトラス。
シチリアのマンダリンにカラブリアのベルガモットが使われている。
ミドルにはお決まりのローズやオレンジフラワー、マグノリアと共に
なんとあの鮮やかな色と繁殖力の強さが印象的なランタナが。
ランタナは
ランタナ・あの不思議な花の植物も香料になっていたに書いたように私自身、かなり驚かされた植物。
レッドシダー、ムスク、インドネシアの神秘的なパチュリー。
さてどんな香り?
来週日本でも発売されるとのこと。

2013年10月16日水曜日

赤という色・赤いボトルの香り・赤に感じるもの

6月に記憶をベースに、ヒトは五感で香りを感じるで取り上げたJohn Biebel氏による、色と香りに関する最新記事を発見。

Twin Perceptions Color and Scent: Fire
10/08/13 12:30:21
By: John Biebel


今回は鮮やかな紅葉や燃えるような炎の写真からもわかるように
赤系統の色がテーマ。

この色が、人にとってそもそもどんな意味を持つのか、
西洋、東洋での捉えられ方について、
そしてこの赤という色をテーマにしたフレグランス、
赤やオレンジ色をボトルカラーにしたフレグランスの紹介、
そしてそれらがこの色に込めた意味への考察へと続く。
非常に面白い。

今さらながら
自分と赤という色の付き合い方を振り返る。
まず
この色を鮮烈な印象を醸し出すバランスで眺めるのは好き。
眺めていると元気になってくる。

コムデギャルソンのように赤色で
スパイシー、ホットなイメージを打ち出している
フレグランスもあったけれど
自分はスパイシーなものを食べるのが好き。

そして
好奇心から魅かれたものに対しては結構熱い体質なので
このすでに熱い内面をクールダウンさせてバランスをとるような
例えば青、紫、白、黒などを
最近はよく着ているかもしれないと振り返る。
赤も着ないことはないけれど
なかなかグッとくる赤に出逢えない。

東西を問わず、赤は特別な立場の人や高貴な人が身につける色として
用いられている。そう!私にとっての赤のイメージはこれに近く、
言葉にするならば、〈奥深い神秘性〉。

そういえばと思い起こしたゲランのサムサラ。
これも深い赤のボトルだった。
サムサラとサンダルウッド

徒歩圏内で焼きたてフランスパン・墨繪

徒歩圏内に
長らく焼きたてフランスパンのお店がなかった。

パリに滞在していた頃大好きだったバゲットが
気軽に買えない、食べられない。
それは結構悲しいことであり
ちょっと遠出するたびに
美味しそうなパン屋を物色してはバゲットを買ってきていた。

台風で外出を控えようかと思っていた今日、
徒歩圏内に
焼きたての美味しいフランスパンのお店がオープン。

墨繪

オープン初日は行列。
焼きたてのゴーダチーズとローズマリーのパンや
マカダミアナッツが練りこまれた生地のイチジクパン。
どれも幸せな気分を呼ぶ香ばしいフランスパン。

墨繪というお店のWebサイト、
店主のごあいさつを読み
嬉しい気持ちに。

美味しいもので人を幸せにしたい、
特に忙しい女性が気軽に一人でも息抜きできるレストランを
つくりたいという思いの延長上に
この丁寧に焼かれたパンがあるかと思うと
2号店の場所として
私の徒歩圏内を選んでいただけたことに感謝。

2013年10月13日日曜日

西郷山公園の坂道と紅い実


渋谷から代官山へと歩いた。
通りかかった蔦屋書店。
人が多過ぎて
書物を選ぶには薄暗すぎて
早々に素通りしてしまう。

そして
緑の一角が見えたので立ち寄る。
西郷山公園

坂道が素敵だった。
高低差が描く陰影。




坂を降りると
秋の陽だまりにきらめく紅い実。
画像検索すると
これはどうやらバラ科のピラカンサのようだ。

眺めも空気も素晴らしく
リラックスできる場所だった。

満月まであと6日。
見上げると
木漏れ日の中に
うっすらと月の姿も。

2013年10月12日土曜日

Ma Griffe (1946)〜Vétiver(1957)〜Carven Le Parfum(2013)

日本調香技術普及協会 主催、第5回フレグランス香調トレンドセミナーを聴講。

今回紹介された8点の新作フレグランスは、いずれも柔らかな甘さとデリケートな優しさをたたえたものでした。清潔感、初々しい可愛らしさ。女性であることを楽しむ自由な気持ち…忙しい日々の中でもいつもささやかなエレガンスをまとっていたい女性、そして、初めてフレグランスを使おうとする若い女性に勧められるラインナップとしても随分参考になったと思います。

そんな8点の中で
特に私の記憶に響いた香りは
1945年、マダム カルヴェンによって創業されたオートクチュールブランド、
カルヴェンから今年発売されたCarven Le Parfum。

イメージヴィジュアルの女性さながらの柔らかな優美さが
一瞬のうちに心に染み込んでくるようです。
瞳をきらきらさせながら初々しく微笑むパリジェンヌを想像。

香りを吹き付けられてから7時間経過した試香紙に残る余韻を聴くと
第一印象で感じた穏やかな気品がさらに深みを増しています。

私はスイートピーの生花の香りが大好きなのですが
ミドルノートにこの香りが使われていると知りました。
さらにベースには滑らかに香るパチュリーや
金木犀のフルーティーフローラルな一面も確かに感じられました。

モダンでありながら
どこかクラシカルなエレガンス。
調香師であるフランシス・クルジャンが
このブランドの服作りの歴史をよく理解し
2009年からデザイナーとなったギヨーム・アンリの
構築的かつ華やかで高貴な印象を香りで表現したのでしょう。

このブランドの香りの歴史について
フランス語で書かれた記事を発見。

Les Flacons de Parfum.com
Carven


1946年のMa Griffe。
1957年のVétiver。
いずれもこのブランドを象徴する香りでした。

英語で記されたアメリカのWebサイト、Fragranticaの
Carven Le Parfum Carven for womenをチェックすると、新作はもちろん、上記2作がどのような香調であったかも確認できます。


2013年10月11日金曜日

少しの創意で"美"を生む心・芦田 淳 著『髭のそり残し』


何者であるか、ありたいか。
そんなことなど未知数だった10代の頃、
私が着る服は私の自由にはならず
母によって選ばれていたということを思い起こす。

17才のとき。
とある身内のお祝い事のパーティーのためにと
私にあつらえられたのは、ジュン・アシダのワンピースだった。
素顔の私の紅潮した頬のような薔薇色。
そのときの私にはピッタリの色だったのだろうと振り返る。
この服によって私は私を知り始めることになる。

芦田 淳 著『髭のそり残し』角川学芸出版

懐かしい記憶からこの新刊を手に取り、本日一読。
今年他界したばかりの私の父とそう変わらない年齢、
現在83才の芦田淳氏は
日常生活の中で
もっとこうしたらもっと素敵に幸せに、
という気持ちを大切に過ごされてきたことがよくわかる。
そして
このような心は生きている限り続く。
心映えの美しさに老いはない。

ほんの少しの創意があることで
人は笑顔になり
美しくなり
周囲を幸せにすることができる。
具体的なエピソードの数々。

髭のそり残し、というタイトルに
細やかさが滲み出ている。
服装を大切に考える姿勢と同じく
言葉の選び方、使い方を大切に考える人は
生きている限り、みずみずしさを失うことはないだろうと思う。

2013年10月9日水曜日

香りを着る(2)・フランス映画から感じたこと

とある映画の中で。
20代の男女が日常生活で交わすフランス語。
かなりスピードも早く、省略も多ければ流行り言葉もあるので
ネイティブでないとなかなか瞬時には聴き取れない。

しかしその行動は
時として言葉よりも多くの背景を感じさせてくれる。

たとえば初めてのデートのために出掛ける女性が
ポーチに真っ先に入れるものは、と観察すると
それは手鏡とフレグランスのアトマイザー。
プラス、迷いつつ歯ブラシを。
ファンデーションのコンパクトも口紅もマスカラも特に入れていない。

そして忙しい合間をぬってつかの間の逢瀬、
彼との待ち合わせの駅に着く
直前のTGVの化粧室で彼女がしたことは
リップクリームを指でつけること(冬のパリは乾燥がつらい)、
そしてフレグランスを
セーターの首もとから入れた手からウエスト方向へ2プッシュ。

ああやはり香りは欠かせない。

ところが、この映画の感想を書いた日本人のブログを読んでいて
ちょっと考えさせられてしまった。書き手は男性なのだが、
香りに対する文化的ギャップとはこういうことかと実感。
この人は、映画のヒロインが愛しい人に会う前に衣服の下に吹き付けたものを
「制汗剤」と書いていた。

…制汗剤?真冬にパリジェンヌがそんなもの使いますか!…

と一瞬目を疑うが
これは香水文化観の違い。
日本では、ニオイとは抑えられるべきものであり、
香りとして装うものであるという認識を持っている人は
フランスほど多くはないことを改めて実感。

制(マイナス)でゼロにするのではなく、
歯磨きやシャワーで清潔を最大限保った上での装い(プラス)であってこそ、
香りは、視覚的なメイクアップを凌ぐ魅力になるというのに。

香水評論家による秋の「香りスクール」/10月21日開催


香りの専門誌"PARFUM"167号(秋号)発刊にも記しましたが、9月末発売の雑誌『リシェス』に、香水評論家、平田幸子氏による香りの特集記事が掲載され、イメージごとに洗練された新作香水の数々が紹介されています。

洗練された美意識のもとで生み出された香りは
ほんの少し纏うだけでも
気分とともに笑顔や立ち居振る舞いまでも
優雅なものへと導いてくれるもの。

この特集記事のテーマを実際に香水を体感しながら掘り下げたい方、さらに、いわゆる名香とよばれた香水にまつわるエピソードについて興味を持っている方に楽しんでいただけそうなセミナーが10月21日、銀座にて開催されます。

詳しい情報はコチラに。

かわいた空気が心地よい秋は
風とともにさり気なくお気に入りの香りを纏っていただきたいと
思います。そんな香り選びの参考にもなることでしょう。

2013年10月8日火曜日

Zipooの新しいフレグランスは、年齢層の設定がユニーク

Zipoo。
ライターを思い起こす人が多いはず。
アメリカで1930年代に生まれたこのブランドは
煙草に火をつける道具を重要なアクセサリーとして
新しい価値を造った。

そのZIpooからは2010年からフレグランスもデビュー。
そして今年も新作のニュース。

New Fragrances
Zippo Fragrances: Zippo Stardust, Zippo Dresscode Black
10/07/13 03:55:20
By: Sandra Raičević Petrović


まずボトル。
まさにライターさながらのアクセサリー。

Zippo Dresscode Black は
自信とエレガンス漂わせる25才から50才までの男性のための
夜の香り。
スパイシーなウッディ。
ミドルにはジャスミン、ラベンダー、
ラストにはベンゾインも用いられ
官能的な優しさも想像。

一方、Zippo Stardust は
おとぎ話の世界を信じつつ
ロマンティックでドリーミングな感覚を大切に生きる
18才から36才のキュートな女性のためのフレグランス。
白バラ、クチナシの甘美なエレガンスに溶け込む
フルーティーな愛らしさ。

面白いのは具体的な年齢幅の設定。
男性は25才で築き始めたキャラクターが50才まで成長し続ける、と考えるのも
素敵であるし、女性の愛らしさは18才から開花し36才でひとつの完成に至る、と考えると、その先のステップが楽しみでもある。


Zippo Fragrance

2013年10月6日日曜日

OUDの奥深さがつややかに香る・メゾン フランシス クルジャンの黒ボトル

以前、香料OUDを用いたフレグランスのことをコチラの記事にて書いていましたが
この香料の奥深さがつややかに香るフレグランスと出会いました。

3時間前にひと吹きされた試香紙からは
東洋の神秘がフランスの官能的な感性によって洗練されたかのごとく
奥ゆかしい魅力が漂っています。

なめらかなパチュリーを深く感じました。
香料素材のクオリティの高さに加えて
現代的なデリケートな美の余韻。

メゾン フランシス クルジャン
MAISON FRANCIS KURKDJIAN
ウード オードパルファム


もはや女性、男性という区別を超越した
スパイシーでウッディなオリエンタルノート。

カシミヤ、ベルベット、シルクの質感にぴったりです。


緑を抜けて、21_21 DESIGN SIGHT

カラリとした空気。

清々しい秋の植物の香りを感じながら
ミッドタウン横の遊歩道を通って
21_21DESIGN SIGHT へ。安藤忠雄さんによる建築。


「カラーハンティング展」最終日。

これは空の色々。



朱鷺の羽の色々が飛び交う中
自然の中のさまざまな色々が再編集。



これは東京のイメージを一つの色で表すなら?という問いに
答えた来場者たちによって貼られたカラーチップの集合体。



実際の自然の中からさまざまな色々を採集し再編集する面白さと
抽象的なイメージを自由に色々に置き換えていく試み。
それは、香りの創造にも通じるクリエイション。

2013年10月5日土曜日

香りを着る

「香水をどのようにつけると他人に不快な印象を与えずにすみますか」
ときかれることが本当に多く、そうした質問自体がネガティブ前提で
あることがやや悲しい。

あくまでも主役は人、その身体、動き。
せっかく綺麗に着飾っていても
違和感のあるにおいを発していては台無し。

「無臭がいいんです」という人もいますが
人間は生きているので無臭ということはありえません。

社会の中で、服を着ないで裸でいることが難しいように
香りも着るものと考えた場合、注意することは主に3点。

1. 外側だけでなく、体内も清潔に
2. まず自分が不快感を感じず、
自分のイメージとして表現したい形容詞に合ったフレグランスを選択
3. 衣服に隠れ、体温高めで、動作とともに風を起こす部分の皮膚に
少量馴染ませる

1については
皮膚、頭皮、髪、口腔内を綺麗に保つだけでなく、
偏食せず、内臓機能を正常に保つことも大切。
日々の食べるもの、飲むものも体内を通ってにおいとして出ていきます。
服を着るときに、ボディがまず大切なのと同じこと。

2については
服を選ぶときと同じく
気候や体調・場所・会う人・時間帯・行動という条件の中で
存在する自分をイメージして言葉に置き換えられるならば
それを元に選ぶことも可能。

3については
香りをいかに
強すぎず、ほのかに
一瞬のイメージで描けるかということで
ヒトの敏感な嗅覚にうっすら届く
わかるヒトにだけ届く奥ゆかしさが望まれます。
皮膚と衣服の間の見えないドレスをさり気なく。

2013年10月3日木曜日

ヴェール・アシッドな葡萄色に感謝をこめて


山形産のシャインマスカット。




このプルンとした皮の中には白く透き通った果実。
種もなく爽やかな酸味と上品な甘味。

喉を通る瞬間にかすかに
皮のもつグリーンフルーティーな香りが
ほのかに優しく抜けていきました。

大きな一房を
四日間で大切にいただきました。

目と舌と鼻から幸せを有難う、と感謝。

この宝石のようにきらめく色に近いものを
フランスの伝統色から探しました。
Vert Acide(ヴェール・アシッド)。
私の現在のブログ背景の色にも似ています。

TOKUJIN YOSHIOKA _Crystallize ・東京都現代美術館にて


吉岡徳仁 クリスタライズ /東京都現代美術館が本日より開催。

昨夜、大盛況の内覧会にて鑑賞。

光や音が
カタチをもつ透明なものを媒体に
再視覚化され、カタチを持つようになる面白さ。




改めて
「見える」ということの本質が
全身で体感できます。

何故それはカタチを成したか。
何故それは色を映したか。

人間が五感を通して
外界の自然、たとえば空気の振動や光の屈折から受けるもの。
音楽であったり、色であったり。
時間の経過と反射物が媒体となって。

この広い空間全体でこそ見えるもの。

淡い蒸気ですら温度と風と色を描き
通りすぎる人間の動きによって一期一会のシーンを生む。
実は有機体である人間自体も
見えない匂いやエネルギーを空間に描きながら。

2013年10月2日水曜日

ハニーサックルの静寂感・ La collection 1920 (JARDIN DE FRANCE)より


JARDIN DE FRANCE より
La collection 1920 のクラシックなオーデコロン3種を試しました。


左からミュゲ。
爽やかなフローラルグリーン。
シャープなすずらんが明るくまろやかに変化。
元気で溌剌とした笑顔を想像します。

中央はラヴェンダー。
まさに涼やかなラヴェンダーの気品。ゆっくりとコクのあるウッディフローラルへ。これは大人の男性がさり気なく香らせると奥ゆかしいですね。

右端はハニーサックル。
トップから白い花たちのささやきにつつまれて
ハニーサックルが甘く静かに香ります。
可憐で清楚。
元気な笑顔というよりもあたたかい微笑。
私はこの香りと数日過ごし
いそがしいスケジュールの中で
心を静寂に保ち
穏やかな笑顔でいられたと思います。

20年以上前に香料素材として出会ったハニーサックルの
甘くフルーティーな香りを回想。

そのユニークな造形美が楽しめる写真と植物学的背景が記された
ページを発見。

Honeysuckle /Fragrantica


2013年9月30日月曜日

秋の空・金木犀・JEAN PATOU の"1000"

爽やかな風が描く秋の空。



この空に香り立つ
金木犀の清々しさは
秋の喜びそのもの。

金木犀。オスマンサス。
この花の香りが生かされた名香が
JEAN PATOU の "1000"(1972年)。

JEAN PATOU 公式Webサイト "timeline" のページ中
1972年のところにこの香りのことが記されています。
調香師はジャン・ケルレオ。
エキゾティックで洗練されたこの香りには
稀少な花々…ブルガリアのローズ、グラースのジャスミン、そして
中国のオスマンサス(金木犀)が調合されています。

2013年9月29日日曜日

国宝 興福寺仏頭展 / 東京藝術大学大学美術館、そして根津神社

千代田線根津駅から徒歩10分。


国宝 興福寺仏頭展 / 東京藝術大学大学美術館 。実物に対面したときの清々しさと安らぎは素晴らしく、千年以上も前にこのような人物が存在したかと想像するだけでも厳かな気持ちになりました。
この銅造仏頭に辿り着くまでの空間には
木造十二神将がいきいきとした立ち姿で展示されており
そのどれもが、様々な角度からじっくりと眺めたくなる躍動感に満ちており
当時の人間の心映えの豊かさが伝わってきます。

像も素晴らしいものでしたが
最初に見た、文字がびっしりと書かれた巻物の美しさも忘れられません。




さて、美術館を出て谷中へ。
このように大きなヒマラヤ杉に出会いました。




根津神社 裏門をくぐると爽やかな金木犀の香りに迎えられ、乙女稲荷の紅い鳥居をくぐり、秋の夕暮れの一時を過ごしました。

2013年9月28日土曜日

カイユボット展/ブリヂストン美術館にて10月10日より

来月以降の美術展情報をチェック。

カイユボット展/ブリヂストン美術館
10月10日から12月29日まで。

世界各地から集められたギュスターヴ・カイユボットの代表作。
いまだ知られざるこの画家の全貌を日本、
そしてアジアで初めて紹介する展覧会とのこと。

展覧会Webサイトのトップの作品『ヨーロッパ橋』を見て
これは実物を是非鑑賞したいと感じました。
近代の大きな変化の只中にあった19世紀後半。
当時のパリの空気感が伝わってくるようです。
当時パリを象徴すると言われたらしきサン=ラザール駅に
架かる橋、ヨーロッパ橋。
駅を見下ろす男性と、散歩を優雅に楽しむカップルとは
その装いから階級の違いがうかがえます。

どことなくこの画家の作品は
映画の1シーンのようでもあります。
印象派の特徴をたたえた光の表現とともに
写真を彷彿とさせる写実性も併せ持つ新鮮な魅力。

ギュスターヴ・カイユボットという人は
モネ、ルノワール、ドガらとともに
印象派の興隆を支えた同派を代表する画家。
裕福な生まれである背景から
印象派の画家たちの作品を買い取りその活動を支えたそうです。
その収集のおかげで
多くの優れた作品が後にオルセー美術館に収蔵されることになり
約100年後、大学生当時の私もパリで鑑賞することができたわけです。

印象派では女性美が描かれた作品も多いですが
カイユボットのテーマは広く、当時の人、風景、社会が
じわじわと感じられそうで楽しみです。

2013年9月27日金曜日

生地の触感を香りに(2)・ETOFFES DE PARFUM par JARDIN DE FRANCE


生地の触感を香りに(1)・ETOFFES DE PARFUM par JARDIN DE FRANCEに引き続き、同じシリーズのレディス3種の香りを試してみました。



右から。
まずは"Cœur de Velours"。
cœur は心(心臓)、 veloursはベルベットを示しますから
これを「ベルベットの感触」と名付けてみます。
滑らかで暖かで幸せにみちた温もりを期待。
トップノートから花です…。フランジパニとオレンジ花。
ミドルに甘美な喜びを醸し出すジャスミンに
艶やかな柔らかさを彷彿とさせるヘリオトロープ。
アンバー、パチュリ、ホワイトムスクのぬくもり。

中央。
"Soie Sage"。
soie は絹、sageは賢い、おとなしい、慎みのある、等を示します。
「絹の品格」と名付けてみます。
真っ先にバラを思い浮かべたのですがまさに使われていました!
確かに穏やかな上品さが感じられる香り。
女性の香りのタイプの王道の一つでしょう。
繊細なバラとパウダリーなすみれ。そのデリケートな存在感を
トップノートのベルガモット、ピンクペッパー、フランボワーズや
甘美なジャスミンが引きたてて…柔らかなムスクに包まれていきます。


そして左端。
" Tentation Dentelle" 。
tentation は誘惑、dentelleはレース。
繊細で可憐な愛らしさの中に見え隠れする妖艶な魅力。
ベルガモットとプルーンの明るい華やぎから始まるこの香りは
漆黒の夜に香気を漂わせるミステリアスなチュベローズやジャスミン、
そしてローズの清楚さとともに陰影深く高まります。ラストノートが
見事なまろやかさ。上質なパチュリーとインセンスの余韻が素敵。

昨日ちょうど私は
青のレーシィなブラウスを白のインナーの上に重ね
その青と白の間にほんの一滴、この香りを纏いました。
ささやかな仕草のたびに
可憐にエレガントに
レースの動きに共鳴して囁くように香り
鏡で確認しなくても笑顔の明るさに自信がもてたのでした。

JARDIN DE FRANCE 。1920年、生まれはフランス、アンボワーズ。

ETOFFES DE PARFUM
オートクチュールに使用される様々なファブリック(生地)。
触覚が捉えた肌触り、質感にインスパイアされた創られた
ツイード、レザー、絹、ベルベット、レース、計5種の香り。

2013年9月25日水曜日

生地の触感を香りに(1)・ETOFFES DE PARFUM par JARDIN DE FRANCE

パリ在住の調香師の方からお土産にと
JARDIN DE FRANCE の香りサンプルをいただきました。

JARDIN DE FRANCE。1920年、生まれはアンボワーズにて。
フランス中部、ロワール川沿いにある街。

ETOFFES DE PARFUM(香りのファブリックシリーズ)がユニークなので丁寧に試してみたいと思います。

このシリーズ、5種類あります。
サンプルパッケージを開けると
5種類の生地に包まれたスタイルのシルエットとともにこんなフレーズ。

"Mêler le sens du toucher à celui de l'odorat"
( 触覚を嗅覚に混ぜ合わせる)

オートクチュールに使用される様々なファブリック(生地)。
触覚が捉えた肌触り、質感にインスパイアされた香り。
まずはメンズの2種類から。



右側。アーバン・ツイード。
何とも甘く暖かいトップノートがフルーティー。
焼きリンゴ、レモン、プラムの芳醇な組み合わせでした。
焼きリンゴ!!まずはこの発想に驚きです。
トップノートを受けてフレッシュな海風のような清々しさ、
緑の陰影、樹木の深みへと流れる香り。
女性でも使ってみたいと思う方が多いはず。

左側。デュー ア キュイー
(直訳では「皮によく馴染む」という感じ。
一方、"dur à cuire"で「したたかな」という意味もあるらしい)
胡椒、柚子、グレープフルーツの鮮烈なインパクトが
ヴァイオレットリーフに滑らかさからスパイシーでウッディな香りへ。
その中で上質な皮の質感が綺麗に浮き彫りになっています。
これはやはり
明るく軽快な魅力とともに
皮をエレガントに着こなす男性の香りです。


2013年9月23日月曜日

シナノドルチェ・みずみずしく芳醇な今だけのリンゴ

早生種「つがる」に続き
9月後半に旬の品種、シナノドルチェ。


「つがる」とは全く違います。
ちょっと大ぶりで硬く、重量感があります。
なんとなくタテに長め。


いろいろなリンゴを見てきましたが
これは格別愛らしい、と感じたのは
色付き方なのか、窪み方なのか…。

信州ギフト シナノドルチェ によると、これは長野県生まれの信州オリジナルリンゴで、「シナノ ドルチェ」命名は、前長野県知事の田中康夫氏によるものだそうです。

たしかに「ドルチェ」。
同じく「甘い」を示す英語「スイート」とのイメージの違いは
芳醇な香りとともに爽やかな触感をもつ複雑さでしょうか。

酸味が「つがる」よりもハッキリと感じられ、
シャキシャキした噛み応え。
噛むたびにジュワッとあふれるジューシィな甘さがたまりません。
懐かしいリンゴ本来のフルーティー感のその奥に
桃やバラのようなさまざまな愛おしい香りがかすめていきました。

「リンゴノキモチ」研究日誌 険しきアップルファーマーへの道のり
シナノドルチェ
のように、大切に育ててくださる方に感謝。

来月は紅玉の季節。

2013年9月21日土曜日

香りの専門誌 "PARFUM" 167号(秋号)発刊

まもなく秋分の日。
香りの専門誌 "PARFUM" 秋号が発刊されました。



表紙を開けると
見開きに紫のボトルの新作フレグランスニュース。
「パルファム プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケ オードパルファム」は
この9月に発売されたばかり。5日前に入手したこの香りの試香紙が
今も柔らかくまろやかなラストノートをたたえています。

今号からスタートした
映画評論家の橋本光恵氏による新連載、「香り立つ女優」。
第一回目のミューズはジョアンナ・シムカス。
橋本氏がフランス映画に惹かれるきっかけとなった作品「冒険者たち」
に出演していたそうですが…語られる魅力に引きこまれ、私も記憶。

華やかな新作フレグランス情報も満載。
私が" Elegance is all " ・繊細なオーラを描くレペットの香りでもご紹介したレペットの新作に関するインタビュー記事もありますし、まるで霧につつまれているようなシルエットがロマンティックな「Mademoiselle Ricci L'Eau」やフタを開けた途端真っ赤なポピーが空中に浮遊していきそうな「Kenzo Flower In The Air」のヴィジュアルも素敵。

雑誌「リシェス」(ハースト婦人画報社)9月末発売号の香水記事に
本誌編集長が寄稿しています。
深まる秋の気配とともに
香りの豊かさを楽しむ時間が増えますように。

2013年9月20日金曜日

『努力する人間になってはいけないー学校と仕事と社会の新人論』(芦田宏直 著) を讀む


『努力する人間になってはいけないー学校と仕事と社会の新人論』(芦田宏直 著・株式会社ロゼッタストーン)

「努力する人間になってはいけない」???
そんなバカな、と思った人にこそ勧めたい。
日頃「努力」という言葉をどう解釈していたかを振り返ることができる。
他にも「先生」「一流」「読書」…そして「可能性」。
こうした言葉への認識を深くえぐられるような感覚に出会える。

とどめは最終章の追悼・吉本隆明。
著者の芦田宏直氏が自らの思想のお父さんのようなもの、と記す
吉本隆明とは、『言語にとって美とはなにか』の著者である。
そして、私にとって何度も読み返す1冊となった本の著者でもあった。
「匂いを讀む」(吉本隆明 著・光芒社) を読み直す

これでもかと言葉のみで伝え切ろうとする一冊。分厚い。
しかしながら偶発的に開いたどのページも期待を裏切らない。
言葉で生きている人間ならば必ず響くフレーズがある。
まるで話しかけられているように。
まさに、と頷くこともあれば
まさか、と驚きや疑問、発見へと豊かに繋がっていく…。

私はこの本に書かれていた内容の多くを
著者のブログやツイッターへの投稿で読んでいた。(と思っていた。)
購入の動機の一つは、それらをいつでも一冊の本として自由に読める
楽しみのためだったと思う。
しかし、そんな既視感への期待は最初から裏切られる。
冒頭、引用されたハイデガーの文章。
「人間の嗅覚とは、…」に始まる文章は初めて目にするものではあったが
私が20年来仕事を通して考えてきたことが言葉で明瞭に表現されていた。
著者なくして私はこのハイデガーの言葉に出会うことはなかったと思うと
この本のデビューに感謝する。

目次10章のタイトルとその順序自体が、現代を物語っている。
この現代という時代の登場人物の中でも
未だ「社会人」となっていない学生を筆頭に
かれらの教育に関わる全ての人たちには特に読んで欲しい。
なぜならば、かれらは次の「現代」をつくる人たちであるのだから。

甘み・とろみ・土の香り

今が旬のサツマイモ。
ヒルガオ科の植物です。

ころんと小ぶりなサトイモ。
サトイモ科。

そしてゴボウ。
キク科。

これだけ揃ったら
ゴロンゴロンと煮てみたくなります。

日本酒に合わせダシ、
大きめの羅臼昆布を落し蓋のようにかぶせて
弱火で。


手前の黄色みを帯びたサツマイモ。
ほくほくと一番最初に柔らかくなりました。
真ん中はサトイモ。つるつるしていますが
ゆっくり弱火で煮ないと中まで程良い柔らかさにはなりません。
ゴボウはシャッキリとした触感が残る程度に。

サツマイモの甘みと
サトイモのとろみ、
ゴボウから香ばしく漂う土の香りで
秋を満喫。

2013年9月18日水曜日

ミツバチの恵み

今日の"ル・モンド"記事。

Des aides débloquées pour une apiculture en crise
「危機に瀕した養蜂家への援助再稼働」

今春のフランスの異常気象は養蜂家にとって大きな痛手であったらしく
蜂蜜はほとんど収穫できなかったようす。これにフランス農業省が対応
している様子が記事になっています。

ミツバチは確かにハチミツもつくりますが
それだけではなく
さまざまな植物の受粉に貢献しているはずであり
ミツバチの動きは
農作物を食糧とする人間にとってきわめて重要です。

先日発見し、
あまりにも愛らしいミツバチの姿が印象的だった記事を
回想。大きな瞳とふわっとした胴体で花から花へ。
記事後半には
蜂蜜の香りをテーマにしたフレグランスも紹介されています。

Liquid Gold - Honey
07/18/12 16:22:38
By: Marina Milojević


こんなに小さなミツバチ一匹が一生に集める蜜の量は
なんとティースプーン1杯の1/12であるというから驚きです。
あの黄金のハニーは
どれほど多くのミツバチが日々働き続けて集めた結果でしょう。

そして
一匹のミツバチが世界中を飛行するのに必要なエネルギー分の
蜜は、テーブルスプーン2杯分にすぎないのです。
なんという栄養価。
植物の成分がハチの体内でこんなにも素晴らしいものとなるのです。

近年、大量のミツバチが失踪した事例を聴いています。
気候、環境、農薬、ストレスなど様々な理由が考えられるそうです。
植物の生殖にも関わるだけに
ミツバチの生態は地球環境の問題。

蜂蜜の香り、といえば
私はさまざまな花を
とりわけダマスクローズの精油の
甘い芳醇な香りを思い起こします。


2013年9月17日火曜日

やさしい酸味と香り・冬瓜

夏から初秋に収穫される冬瓜。
去年も秋分の頃に料理したことを回想。

緑の皮。
楕円の回転体。
ウリ科。

私が幼い頃、郷里では「カモウリ」と呼んでいました。



生のまま千切りにしてサラダにしても美味しいのですが
今夜は
小さながんもどきと合わせて
富山の日本酒とだしとでゆっくり煮込みました。


淡白ながら
ほんのりさわやかな酸味と
日本梨さながらの上品な微香。

煮汁をたっぷりと吸って
ホロンとこぼれる触感がすばらしく…
この風味は日本酒にもよく合います。

2013年9月15日日曜日

秋祭り

彼岸まであと1週間。

9/14,15と近所の秋祭り。
出掛けてみた。



かれこれこの界隈に住んで20年。
桜の季節と秋祭りと、初詣のたびに訪れる場所。

今年も
きびしい猛暑を乗り越えて
なんとか生き抜いた人達が
つかの間のリラックスを楽しんでいるようにも見える。

お好み焼きや焼きそばのソースに混じって
ジャガバターや串焼きの匂い。
かき氷のシロップ
やあんず飴の甘ったるい匂いとともに
ほろ酔いのアルコール臭や
浴衣姿から漂う香水の香り。
香ってくるのはフルーティーな香調が多い。
妙に周囲と調和していおもしろい。

いつもは静かな住宅街。
よくこんなに老若男女がいたのかと
思うくらいに人が集まる。