2012年11月21日水曜日

美濃和紙で「聞く」・花香の囁き

私の講義の中では
さまざまな単一天然香料の香りを「聞く」体験を提供しています。

毎年、その終盤で登場するのが花の香り。
花は植物の生殖のための戦略のかたち・色・香りであり
その香りはきわめて複雑です。

花が咲いているときの自然な状態の香りと違い
精油など
香り成分のみが凝縮されたものは
そのままで香りを聞こうとしても
慣れていない人にとっては、複雑な芳香成分が一気に押し寄せ
強力なものとしてのインパクトに一旦麻痺させられるケース…
あるいはその反動で
数ある複雑な成分の中で記憶にひっかかる特定成分のみが
クローズアップされてしまい
花香全体のイメージが描けない、と訴えられるケースに
よく遭遇します。

「香り」とは
多種の有機化合物である香気成分の集合体が
時間経過に伴う静かなるハーモニーを奏でる音楽のようなもの。
その繊細な存在を全体としてとらえるには
「聞き方」が極めて大切であると私は思います。

昨日の講義では
調香師にとってもアロマセラピストにとっても重要な花香
ネロリ(ビターオレンジ)精油と
ローズオットー(ダマスクローズ)を鑑賞。

香りを聞いていただく媒体は紙。
コチラ にてご紹介の岐阜、美濃にて
サンプルとしていただいた美濃和紙です。
うっすらとした紙ですが、非常に丈夫。自然の透かしが素敵です。

小さくカットしたその和紙に
コチラ の方法にて香りを移しておきました。

結果。
精油原液を直接染み込ませた紙を聞いていただくよりも
花本来のふんわりとした優雅さや
フルーティーな花香のトップノートのみずみずしさが
例年よりも多くの学生に伝えることができたようです。

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