2012年9月18日火曜日

「生き物として香りと向き合うこと」と「抗加齢」

先日、コチラ にてご紹介の日経新聞記事「抗加齢を学ぶ」(京都府立医科大学学長吉川敏一氏)の約450字の文章は、毎週金曜日の夕刊に連載されていることがわかった。

8/31のテーマ「イライラ鎮める日本のお香」に続き、9/7は「香りを生活に利用しよう」、9/14は「アロマテラピーで老化防止」(老人の日にちなんで?)。

いずれもわかりやすい表現で簡潔。約450文字を、普段私が講義で学生に話すスピードで声に出して読んでみた。約2分。なるほど。2分でこれだけのことが語れるのであれば、これから500文字1テーマで書く訓練をしてみようかと思ったりもする。

さて「抗加齢」。
これは、生まれ落ちたそのときから始まる、より良い状態で生き続けようと試みるアプローチ。実際に我が子を出産した直後の観察から私が思うに、その人生最初の時点で頼れるものは感覚である。視覚はどうか。赤ちゃんはまだよく見えない。暗いところにいたのだから。言語もわからない。頼れるものは母親の声と匂いではないか。特に自分を守ってくれるもの、栄養の源は嗅覚で懸命に探す。

物心ついた頃から香水の香りで気分を高め、将来の自分の姿を想像する密かな楽しみを得た私は、現実の生活では気に入らない制服や髪型との日々であっても大人になるのを静かに待つことができた。アロマテラピーを学んでいない頃から私は香水の香りのおかげで、気分が落ち込んだ日も明日どのような姿で出掛けようかとイメージを膨らませて元気になることができた。

香水について学んでいたときもわずかではあるものの合成香料含め、素材としての香料をひたすら感覚に記憶させようとした時期があった。アロマテラピーを学んでからは、単一の天然香料それぞれの背景に出会い、自分の中の嗅覚をより強く意識した。こうした一連の活動の影響だろうか、以降、他感覚の感度も上がったような気がした上に、日々の自分の体調の変化により敏感になり、その時ごとの、必要なことを選択する決断が早くなったように思う。

「今ここでこれ以上食べたら…これ以上動いたら…危険」「今日食べたいものは昨日食べたものとは違う」「今は食べるより眠りなさい」「この匂いは疲れのサイン」…そんな身体の内側から感じることに従い、難を逃れた頻度が高まったと思う。結果、20代の頃と比べ、少なくとも体型は変わらない。疲労が重篤になる前に休んでいる。10代後半の頃よりも体調は良いと思う。自分の身体のリズムを現在のほうが把握できている。

ふりかえって漠然とした一個人の感想ではあるが、やはり香りと向き合うことは自分の身体により敏感になり、本能を研ぎ澄ますことに繋がっているように感じる。


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