2012年7月29日日曜日

ポーラ・バーン著『パーディタ メアリ・ロビンソンの生涯』から想像する18世紀末のイギリス美女

ロンドンオリンピック開幕。
同時に、私は18世紀末のロンドンに実在しイギリス史上最も美しいと称賛された一人の女性の生涯を読み終えた。

5月のコチラ のブログでもご紹介の一冊である。

本編550ページを超える文章には、当時の画壇の寵児ともいうべき四名の画家(サー・ジョシュア・レノルズ、トマス・ゲインズバラ、ジョン・ホップナー、ジョージ・ロムニー)に肖像を描かれたにも関わらずその真の美しさは捉え難しといわしめたメアリの43年(1757〜1800)の波乱万丈が綴られている。彼女が亡くなったときの描写では私も涙した。

きっとその美しさは、整形などあり得ない当時にあって、顔の造形や身体つきだけではなく、彼女のシャープで繊細な感受性ゆえの表現力、仕草、ふるまい全てに現れていたのだろう。リアルタイムでメアリに会えていた人たちの幸運を想像する。同時代に生きたフランス王妃マリー・アントワネットにも会い、マリーにもその美と愛らしさを讃えられたという。

女優、英国皇太子(のちのジョージ四世)の第一の愛人、社交界のスター、フランスの最新ファッションをいち早く取り入れイギリス流に着こなす最先端のファッションアイコン…これだけでも稀有な存在である。さらには著述家として長編小説、政治論文、随筆、戯曲、詩…多くの作品を残す。フェミニストとしての活動も垣間見ることができた。自らの生涯を振り返り、『イギリスの女性たちへの手紙ー精神的隷属の不当性について』と題された著書の中では、当時のイギリス社会での女性の立場の不当性を指摘し、「女性のための大学」を設立すべきと提案している。

18世紀末。世はアメリカ独立戦争、フランス革命の時代である。現代以上に階級社会、男性中心の社会にあって、女性が自らの意志だけで生き方を定め進むことがいかに困難であったかを想像すると、その美しさゆえに男性により過酷な運命に翻弄される一方、メアリはまさにそうした逆境をことごとく切り開き、その短い生涯の中、病魔と闘いながらも自らの才気を開花させた。彼女が著書の中で記したという次の文が私の心から離れない。

「知識の頁を開くのは逆境のみである」
「精神を支えるのは真実のみである」

およそ二ヶ月の間、私は週末の数時間をこの本に当て、少しずつ読み進めた。二時間ドラマを漠然と見るよりも遥かに様々なことを感じられたと思う。読みながら、ときどき本の中の肖像画を眺めたが、どれも私のイメージしたメアリではない。何と言っても、時の皇太子にこういわしめた女性である。

「…僕は見たことのないような美しい女性の登場に、ことに興味を惹かれ…
彼女はすばらしく繊細な演技をしたので、僕は涙してしまいました」

このような女性の存在が、長い間封印されていたのも、情報操作巧みなイギリスという国ならではなのであろうか。ますます興味深まる国である。


2012年7月26日木曜日

『東京美術学校から東京藝術大学へ』・8/3より

展覧会のチケットを頂いた。



東京美術学校から東京藝術大学へ

チケットに使用されている絵画は、明治25年、黒田清輝による作品。彼は法律を学ぶためにフランスに留学したものの、現地でヨーロッパ絵画を学ぶようになったという。私も語学習得のために短期留学したものの、ほとんどは街の散策と美術館巡りに明け暮れ、結果日本ではデザインの会社に就職。フランスから何を感じたのか、共感できるところがきっとありそうだ。

絵画を眺め自由に五感で感じる時間が好きで、美術館に行くと時を忘れる。

今回は、藝大で今も続く「卒業制作」であるという自画像13点が、展示されているというのも興味深い。作者は自画像を描きながら色々なことを感じたはずであり、その心象との出逢いが楽しみでもある。

こうした展覧会がホテルの一角で行われるのは嬉しい。
ゆっくりと余韻に浸る空間もすぐ確保できそうで。




2012年7月24日火曜日

真夏の癒し、アイスクリームカラーを味わいながら・カトルカール2013早春コレクション

外苑前。
キラー通りのSUSギャラリーにて。


チタンのアイスカップとスプーンでヴァニラと抹茶のアイスクリームで迎えてくださったのは、カトルカール のデザイナー、キタイ・ミホさん。

今日から7/27まで(11:00~19:00,最終日は18:00まで)、カトルカールの2013・冬春新作の展示会。ロリポックピンクやブルーの愛らしさ、ヴァニラの柔らかなタッチ、…の美味しそうな春色ニットたち。








定番のカタチが、スイーツを想像させるような楽しいカラーと繊維の風合いで、見たことのない、触れたこともないようなニットに。
SUSギャラリー定番のチタンの光沢を生かした独特のディスプレイも新鮮。





まだ寒いけれど、心は春…そんな半年先のことが楽しみになってしまいます。
真夏の癒し、アイスクリームカラーを味わいながら
早春ニットを着た自分を想像してみてください。



2012年7月22日日曜日

雨に洗われて…白・緑・紅


つかの間の涼しさ。
雨上がりのきらめき。


よく見かける葉だった。
こんなに可憐な白い花が咲くなんて、と目を奪われる。
白に縁取られたり、黄に縁取られたりした優しい緑につつまれて。

見入った私の目に次に映ったのは
はっとするほど鮮明な茎の色。深紅。
このコントラストは忘れられない。

イメージが浮かぶ。

白い肌の女性。緑の木陰に佇む。
その唇は凛として紅く、彼女の体内の色を映している…

ここ数日の気温のおかげで出逢えたことに感謝。



2012年7月20日金曜日

『共感覚という神秘的な世界』を読み、共感したこと

感じることは自由だ、と子供のころからおもっていた。
何を感じても自由、言葉にさえしなければいつまでも自分だけの秘密。

香水、という概念も知らない幼児の頃、あるフレグランスの香りを嗅いだとき、私は成人した自分の姿が見えたような気がした。

私は香りに浸っていると様々な色や形が目に浮かぶ。
音楽も聴こえてくることがある。
リアルな音楽、生演奏に限るが、聴いているとさまざまな風景や情景が頭の中で高速で流れることがあり、そんなときは涙がたくさん溢れてくる。だから明るいコンサート会場は苦手。何が悲しいのと尋ねられたくないから。

そんな自分を特別とはおもっていない。
人それぞれ、そういうことは何かしらあるのだろうとおもっている。

そして一週間前にこの本に出逢う。



モリーン・シーバーグ著『共感覚という神秘的な世界』和田美樹訳 (株)エクスナレッジ

訳者によると、共感覚(synesthesia)とは、ひとつの感覚刺激が不随意に複数の感覚で知覚される現象であるという。共感覚の発現パターンや頻度は限りなく多様。文字や数字、音、曜日や月の名前に「色が見える」こともあれば、触感を感じたりすることもあるそうだ。

いやそんな…人間は五感全体というか全身で感じながら生きているんだから、いくら音だけをきいても色々感じたりするのでは?誰にでもあることではないか、そんな大袈裟な、と少々斜に構えて読んでみた。

でも、共感覚者とよばれる人の多くが、アーティスト、作家、詩人…その他芸術分野でクリエイティブな活動をしている人であった。実際に著者が取材した共感覚者として、ミュージシャンのビリー・ジョエルや、ファレル・ウィリアムス(グラミー賞受賞のプロデューサー兼パフォーマーでありながら洋服のブランドすら作りルイ・ヴィトンのサングラスとジュエリーまでも手がけた)の話を読んでいると、やはりこうした人たちにとって共感覚はかけがえのないものであることがわかる。そしてこうした感覚があってこそ、多くの人を感動させる豊かな表現につながるということにはおおいに共感。

たとえば…そもそも視覚表現を視覚記憶だけで豊かにできるはずもないとおもう。なんだかあったかい感じ、やわらかい感触、優しい声、安らぐ匂い…たとえばそんなイメージが相乗効果となって表現になるから面白いのでは、と。実際私も大学の講義の中でファッションを学ぶ学生に、匂いから色や形を表現させている。そのほうが表現の可能性が拡がっている。

既成概念にとらわれて、正解はあたかも一つしかないような洗脳をうけてしまうとなかなか共感覚の面白さを体感できないかもしれないが、人間のつくった分類上の決まりごとなど無関係に生きる幼児期の感覚体験を大切にし、感じることからはじめる表現の面白さを領域を超えて伝えていく必要性を改めて感じている。

2012年7月19日木曜日

"Parfums de saison..." 夏こそ着替えて

香りは温度と湿度で香り方が変わります。

ならば、いつも使っているお気に入りの香りを
いつもと同じように使っていても
いつもと同じようには香らないはず。

夏こそ、新しい香りに着替えるチャンス。
この空気の中で素敵な夏を過ごせたら
かけがえのない記憶が香りとともに残るかも。

フランスの美容雑誌VOTRE BEAUTÉサイト最新記事"Parfums de saison..."にはまさに夏に香りを着替える女性たちのコメントが綴られています。

紹介された3人の記事とともにフレグランスの写真。
残念ながらセルジュ ルタンスの"A La Nuit"以外は日本未発売かもしれませんが、そんなことは気にしなくてもよいのです。これらはあくまでもパリに住む彼女たちのお気に入りであり選択。アナタと同じわけがありません。

最初に紹介された女性がずっと愛用してきたのが写真右側の"Iris Silver Mist de Serge Lutens"ですが、この夏は左側の"A La Nuit"とともに過ごすそうです。ちょうどバカンスの時期。そして9月になったら再び右側の香りに戻るとのこと。

次に紹介された女性も長い期間愛用してきたフレグランスがありますが、写真ではそれが右に、新たにこの夏の気分で使う香りが左に紹介。

最後の女性は毎年香りを変えるとのことで、彼女の今のお気に入りの香りの一つが写真として掲載されていますが、これ以外にもなんとセルジュ ルタンスのサンタルと名がつく(サンダルウッドがテーマ?)2種の香り方を混ぜて使用しているのだとか。

夏を楽しめるというのは四季あるゆえに。
新しい香りに恋をして、素敵な夏を。



涼感の味

お菓子をいただく。



ほぼ寒天の世界にキラキラと映り込む色。

ひんやりとした氷
水槽の中の花
陽炎に浮かび上がる植物…

眺めているだけで涼感をあれこれ想像する。

一角を切ってひと口。
プルンと弾力のある寒天の強さは
うっすらとした甘味とよく調和して
清涼感を残して喉の奥へ。

チリンと風鈴が鳴ったように感じる。

特にこれといった香料は使われていないはずなのに
葉や花の残り香を彷彿とさせるのも
この味の究極のシンプルさゆえかもしれない。
まさに涼感の味。


2012年7月18日水曜日

夏野菜でラタトゥイユ

昨夜の一品。
出来立てで湯気が立っている時の写真。


トマトがトロトロにとけてカボチャやニンジンの色になじんではいますが、ナス、ピーマンとともに5種類の野菜を煮込んだラタトゥイユ。

野菜を煮込む前にはオリーブオイルでソテー。つやつやと輝いた野菜をトマト缶とともにお好みの香り、味で煮込みます。ソテーの時にニンニクスライス、煮込むときにはローズマリーなどがあるとさらに香り高く美味しくなります。

今回はカボチャの甘みとトマトの酸味が絶妙なバランスでした。
野菜の組み合わせによってもさまざまなヴァリエーション。
たくさんつくると翌朝の冷製も抜群です。
昨夜は好評でみんな食べられてしまいました。

抗酸化ビタミン豊富な夏野菜で
猛暑を乗り切るための一品。


2012年7月17日火曜日

香りが語る夏の人

本格的な夏。
この時期、私が毎年残念に感じる香りがある。

日焼け止めクリームのにおい。

私はこれが苦手。数年前、東京にて大勢の女性が集まる会が真夏に行われたとき、私はこのにおいに圧倒され、気分が悪くなり最後まで聴いていられなかった。なぜ40代以降のオトナな女性達の集まりなのに、エレガントなフレグランスの余韻ではなく「日焼け止め」なのだろう。悲しいと思った。

最近は、「いかにもオシャレしてきました風」の若い女性までもが時折すれ違いざまにこの日焼け止めのにおいを流す。もう残念で仕方がない。ほとんど無香に近い日焼止めもあるのに。

こんな高温多湿の季節だからこそ、一歩外に出るならば自分という人間から「生の」においをそのまま無防備にさらしたくはない。

かといって「フレグランスを上半身に浴びるようにスプレーしましたか?」
とききたくなるような香り方も辛い。

体温も高くなり汗も多く出るからこそ、風透しのよい涼やかな服装で。
露出で肌を多くさらすよりも、涼感のある色や素材、上品な透け感が素敵。

フレグランスを肌につけるなら衣服で隠れるウエストまわりや脚に。
長い髪の人はまとめ髪の中身や毛先に。
ブラウスや薄手のジャケットの裾、スカートの裾に。
フレグランスを吹き付けたハンカチをいつも携帯して。
そんなさりげなさで香りをオーラの一部に溶け込ませてほしい。
あくまでも着ている服や化粧や香りだけが目立つのではなく。

香りは夏こそ特に、その人のエレガンスを語る。



2012年7月16日月曜日

お茶のアロマで夏の午後

香り好きな友人に連れられて訪れたこのお店。
二子玉川界隈の一角にありました。

ラサ

ほのぼのとアットホームな空間で
初対面とは思えない気さくなお店の方や
常連?と思われるアーティストの方々と会話を楽しみつつ
友人とは4時間も…香りの話に没頭。

クチナシの香りのする中国茶は
最初のアロマが繊細な柔らかさではじまり
すっかり夏の気怠さを癒してくれたように思います。
香り方がこれ見よがしな強さではなく
温度とともにほどよい速度で身体に伝わってくるのです。
こういう心地良い香り方こそ、アロマ「芳香」といえるものでしょう。

そんな感覚を楽しめるのは茶葉そのものの力もあるでしょうけれど
焙煎や淹れ方など絶妙な技の集積によるものでしょう。
そして、量も大切。
小ぶりなガラスのポットから
小ぶりな器に注がれます。
ガブガブと飲むものではなく
香りをしっかりと味わうために。

束の間の夏の午後。
お茶のアロマとともに。

帰り際。
お店の前にはローズゼラニウムの葉。
近づくとフレッシュな芳香で応えてくれました。




2012年7月14日土曜日

JUN GIN COLLECTION 2012・銀の色から感じたこと

今年で4年目。
ジュエリー作家や服飾デザイナーだけでなく、建築家、アーティスト、インテリアデザイナー、プロダクトデザイナー、グラフィックデザイナー等、異分野のクリエイターたちが「純銀粘土」を共通素材とし、さまざまな作品を作り上げています。

JUN GIN COLLECTION 2012 。場所は表参道「ふくい南青山291」。




私は二年前のこのイベントでトークセミナーをつとめたこともあり、毎年楽しみに鑑賞しています。思いもよらぬ銀素材の解釈と表現は眺めていて楽しいもの。

今年は見るテーマを密かに一つ、決めていました。
色です。表現によって銀がどんな色になっているか。

結果、白、黒、グレイ、淡黄、淡青、…微妙な色合いが様々なグラデーションとなり、いろんな色を映していました。集合体として光る力の強さをこの素材は確かに持っています。

光を取り込める金属は、柔軟な視覚表現の格好の素材。

輝く光もあれば落ち着いた光もあり…だからあえて作品は肉眼で観て感じてもらいたいものです。木や皮、和紙など異素材との組み合わせで一層浮き彫りになる銀の存在感は、人が永らくこの素材の恩恵を受けてきた歴史を彷彿とさせます。

オープニングパーティーでは女性トリオの爽やかなジャズも鑑賞。
柔らかく乾いたフルートの音色…硬く冷んやりとしたヴィブラフォンの湿り気のある響き…繊細でありながらゆっくりと深く温度を伝えるようなチェロの音色。…音にいろんな色や形を感じて心洗われるひとときでした。
コチラ にフルートのカナさんの当日のブログもご紹介。

展覧会は16日まで。




Le 14 Juillet・フランスの祝祭日

7月14日。
日本人にとってはごく普通の土曜日ではあるが、毎年この時期にパリ在住の友人にメールを送ると、必ず革命記念日のお祭りや花火の盛大さの話題になる。

7月14日 フランス革命記念日

1789年といえば今から223年前。
私はちょうどフランス革命から200年目に
外国語学部フランス語学科を卒業した。

思えば、高校で世界史を学ぶ中で私にとってその革命の多さから最もインパクトのあった国がフランスであったし、幼少期に聴かされた祖母のヨーロッパ旅行の話の中でもフランスは圧倒的に印象に残る国だった。

ちょうど今日、この秋から初めてフランス語を学ぼうとする学生に提供する講義プランを考えている。発音、文法、数字でつまづく学生も多いこの言語。異質な音の世界、文法にも数字にもフランス人特有の考え方が根深く存在するから、日本人の理屈は一旦傍において取り組んでほしいもの。
毎回一つでも、「聴いてわかり、自分でも言えるフランス語」を増やしてもらうには、この国特有のものの考え方に飽くなき興味をもってもらうことも大切だなと思う。

せめて数字では
1789(mille sept cent quatre-vingt-neuf)
7月14日(Le quatorze Juillet)
は、聴いたらわかるように…と思う。




2012年7月13日金曜日

ミント&クリーミーミルクの涼感


真っ白なアイスクリームと緑の葉。
そんな広告に目が留まりました。

真っ白なミント。ハーゲンダッツから。期間限定 クリーミー ミント

ミントとクリーミーなミルク。
柔らかく優しい甘さが
後から追いかけるミントの清涼感でふわっと軽やかに。
一匙の幸福感が想像できます。

本物のミントを飾って
熱い珈琲と一緒に…と思ってしまいます。
気だるい朝も、目がさめそう。

ミントのフレーバーを嗅ぐと
歯磨き剤を思い起こすという人も多いのですが
こんなにエレガントな組み合わせを体感したら
もう少し豊かに…
ミントの香りのイメージを拡げられるかもしれません。

2012年7月12日木曜日

Comme une barrette…バレッタのように

昨夕の一目惚れ。




白とグリーンの放射状ビジュアルが、異質な黄色の花と深緑の葉に両サイドから囲まれている姿にバレッタ(髪留め)を想像。

深緑の葉があるからこそ映える色。
異質なものどうしの組み合わせゆえに引き立つ立体感。

このまま女性の長い髪に留まっていたとしても違和感を感じないような季節だからこそ、ひと目で魅かれてしまったのかもしれない。

2012年7月11日水曜日

竹に癒される

眺めて良し、使って良しの竹。
殊に夏には有難い。




団扇も竹でできていると
このしなり方が素晴らしい涼風を呼ぶ。

そして
その機能に驚いたことがある。

以前、竹布 のガーゼタオルを使用したときのこと。

長い洗い髪を包んでしばらくすると、かなり髪が軽い。素早い吸水性のおかげで髪をはやく乾かすことができた。タオル自体もすぐ乾く。

いつも柔らかく、さらり。

強力な抗菌力もあるようで素晴らしい。

まさにこれは、高温多湿の地域には恵みの植物。

イネ科の植物、竹に癒される日々。


2012年7月10日火曜日

夏ブレンド・その1

精油について春からコツコツ学んできた学生たちに、自分の手の届く範囲のボディに使用するアロマトリートメントオイル制作を指導した。
あらかじめ、前週に数種類のブレンド例を示し、次の二点を確認。

1,心地よく感じるかどうか
2,植物油に希釈されたものを皮膚に少し塗って感触を試す

こうした香りの嗜好性とともにパッチテスト的なチェックも行った上での実習。
特に好評だったのはこのブレンド。

レモングラス イランイラン サンダルウッド。

すべて等量でブレンドし1%に希釈した。
この3種選択の意図は

イランイランはかなり薄まっているといい香りだが、原液ブレンドをすると強すぎて並の柑橘精油では何滴加えてもなかなかバランスがとれない。シトラスを合わせてさわやかにしたいし、もっと柔らかくしたいのに、なかなか難しい…

そんな学生の声を受けて、シトラス調でありつつ、イランイランの花の甘ったるさを引き締める苦味をもつインパクトのレモングラスと、穏やかにまろやかなベースノートで包み込むサンダルウッドをあわせた例を示してみた。

結果。面白いことにこれまでレモングラスもイランイランもさほど好きではなかった学生までかなり気に入った様子。制作実習ではこの3種でバランスを考えて作っていた。

香りもどことなく…この季節の雰囲気にもあっていたのかもしれない。

そういえば、レモングラスもイランイランもサンダルウッドも、インドやマダガスカルなど…暑さ厳しい地域の植物でもあった。

実際にこのブレンドオイルで、この季節、彼らがどんなリラクセーションを体感できるのか。反応が楽しみでもある。


2012年7月8日日曜日

職業名をふりかえる

思いついた問題を記録する意味で始めたブログでもあるので
ここ数日特に強く実感することをメモしておこうと思う。

「職業」の表現を大別すると3種類。

1,属する組織名を挙げ、その中での役割を示す。
2,産業名を挙げ、その従事者とする。
2,職能そのものを示す。

1は第三者にはわかりやすい。殊に知名度のある組織であればなおのこと。
2は例えば農業、漁業…現代は非常に細分化されている。
3は例えば医師、弁護士、建築家、教師、調理師など資格や免許を要するものに始ま り、アーティスト、画家、音楽家、著述業、音楽家、デザイナー、プランナー、コーディネーター 、コンサルタント…

1は仕事の場所、2は仕事のジャンル、3は仕事のスキルを主に示す。

本来職業は1~3それぞれの視点から説明されて初めて理解が得られるように思う。
特に2は時代の変遷とともにめまぐるしく変化している。

私は12年前に自ら取得した民間資格の「アロマセラピスト」という名称を名乗る前は複数の企業に属し、その中での役割は「プランナー」「ライター」「編集者」「広報担当者」であった。

現在私が携わる複数種の仕事は確かにこれらのスキルを活かしており、特にプランニングと著述にかける比重が高い。これらは仕事を通じて得たスキルかもしれないし、もともと仕組みや方式を考えることが好きであり大切だと思うから。

では大学や学校で学んだことは活かしているかといえば、卒業後20年も経ってから本格的に生きてきたというのが面白い。一方、資格取得の学校を卒業後は、一見すぐにその関連職に携わっていたように見えるが、それは社会人として得た仕事経験や、社会人になってから通信制の大学で学んだ成果も生きていたからかもしれない。そういう流れの延長上で現在は大学講師もつとめている。様々なスキルを統合し、講師の仕事がつとまっているように思う。

さて、もはや現在の状況では「アロマセラピスト」ひと言で自分の職業を言い表すことは無理。数年前からそのように感じ、実験的にブログを書き始め、自分の仕事が関わるジャンルや使用してきたスキルを振り返ってみた。

ブログカテゴリーを見るとズバリ、「フレグランス」が圧倒的に多い。

結局幼少時からの興味と、20代以降ずっとコツコツと学び続けているフレグランスを中心とした香りの文化(人の生活の上での)価値やその伝え方に私の仕事のテーマがある。最初の大学で専攻したフランス語の国はまさにフレグランスの国でもある。アロマテラピーを学んだのは、天然香料の科学的背景を知りたかったからである。香料として天然も合成ともにその価値と役割を学んだおかげでフレグランスのことをより深く理解できたし、この価値やファッションとのつながりについての見識がふえた。

「アロマセラピスト」というと、単に天然精油しか扱わないアロマテラピートリートメント施術ができる、ということだけではなく、自分の中では、
「人を心地よい状態にする香りで、その人の問題解決のお手伝いをする」
と定義づけてはきたが、やはり世の中一般にはそうは伝わりにくい。

上記1~3でいうと私の場合
1は、フリーランスではあるが、必要な時のみ連携する複数の組織と関わる。
2は、フレグランス、アロマテラピーを中心とした現代の香り文化普及、啓蒙とともに、これらの市場を活性化させること。
3は…今後、より適した表現を模索して行きたいと思う。

2012年7月7日土曜日

もも・桃・peach・pêche

もも。桃。peach。pêche。
いろんな言語で呼びたくなるくらい
美味しくて素晴らしいものです。この時期の神様。




みずみずしくて上品な甘さを堪能するには
このうぶ毛をまとった薄いピンクの皮をゆっくりと剥ぐようにむいて。

なんといっても秀逸なのは香りです。
バラ科の植物であることもイメージぴったり。
繊細な優しさが上品に香るのは
微量ながらさまざまな成分がふくまれるからでしょう。

栄養価を調べてみると
いかに滋養と美容に役立つものかわかります。

ピーチの香りはもちろんフレグランスにもよく使われます。
そして、コチラ 後半にも書いたような、脳波の研究によるこの香りの嬉しい効用も期待できそうです。
夏の神様に感謝をこめて。


2012年7月6日金曜日

はちみつ・花粉の匂いを想像

はちみつ。蜂蜜。Honey。Miel(仏語)。
蜜のもとになった植物、これをせっせと集めた蜂という動物、これを安全に食べられるようにした人間に感謝します。

久しぶりに、みかんの花の花粉に包まれたような至福の香りを感じさせてくれた蜂蜜と出逢いました。ラベルの印刷がちょっと不鮮明ですが撮影。


ただ甘いだけではなく、鼻にぬけていく香りが只者ではないのです。
そしてユックリと感じられる複雑で豊かな味わい。
砂糖の塊のようなキャンディやお菓子は好きではないのでほとんど食べませんが、蜂蜜をティースプーンに一杯をユックリと味わうと、美味しいだけではなくその後とても元気でいられるのです。それはなぜか?調べてみるとわかります。エネルギーにかわりやすい糖、その他微量ですがビタミン、ミネラル、酵素が含まれているからでしょう。

酵素が含まれていることもあり、蜂蜜は高温で変質してしまいますからくれぐれも常温でいただくように…。

私がアロマトリートメント施術者として最も体力を使っていた時代、特に夏場は、疲れたと思ったらいつも蜂蜜とレモン果汁を合わせて飲んでいました。蜂蜜だけではなく、レモンのクエン酸効果もあってなのか、疲れ知らずで動けたのです。

最近のお気に入りは、プレーンヨーグルトに蜂蜜を加えてのデサート。
蜂が蜜を集める花によってもちろん香りもちがいます。
どれもみんな素晴らしいですが、みかん蜂蜜も秀逸です。

上記写真の蜂蜜は、静岡の養蜂家の方によるもの。
ありがとうございます。


2012年7月5日木曜日

夏の淡紫と緑 … ゆっくり通るから見えるもの

昨日。世田谷線車中より。
線路の両側には、涼感さそう淡紫のアジサイと緑。


線路にこぼれんばかりに咲くアジサイは
6月初めにはまだ白っぽく淡い緑の初々しい姿だった。
今ではすっかり咲き誇り、次の季節を予感させるほど。

東急世田谷線は、下高井戸と三軒茶屋をむすぶ路面電車。
区間10駅。駅間の距離は0.3~0.8km。
全区間乗車所要時間も17~18分程度。
ゆっくり進むからこそ周辺の景色が程よく眺められ
ときに、何気なく咲く花に心打たれたりすることも。
世田谷のひとつの風物詩。

線路わきには植物だけでなく
ヒトも含めてさまざまな生き物が生息しているらしい。
ときどき、こんな猫との出逢い もある。
昨日は暑くてさすがに見かけなかったけれど。



2012年7月4日水曜日

服装の記憶

数年前、そして何十年も昔
とある場所である人に会ったとき
自分がどんな服装だったかについて
よく憶えている。

もちろん全てではない。
ただ、「いつ、どこで、誰と、何を…」
まで思い出せると服装もセットで思い起こしてしまう。

その服装の中には「フレグランス」も含まれる。
フレグランスに関しては特に
いつ頃、何を使用していたかはっきりと憶えている。

おそらく。
服装を決めるときに
「いつ、どこで、誰と、何を…」を考え
その風景の一部としての自分の姿を
頭の中で描くからだろうと思う。

手で絵を描くことだけが「ビジュアル表現」ではない。
自分の身体という立体に
さまざまな髪型、衣装、動き方、香り方、話し方を添えて
日々表現の実験をすることができる。

制服の時代を終えて18歳以降。
身につけるものを全て自分の意志で決められるようになってから
私の服装の実験は始まった。

もちろん失敗したかな、ということは多々あった。
どういう意味で失敗かというと
「自分はこのように見られたい」
と描いたイメージとは全く違うイメージに見られたときである。

文化服装学院の講師となって3年目。
学生の服装や外観に対するチャレンジ精神を見ていると
非常におもしろい。
チャレンジングなのに違和感がない。

彼らの外観表現は規制概念にとらわれず、
ジェンダーフリー、カルチャーフリー。
日々さりげなく
アイテム選び、着方、スタイルに工夫がある。
「こんな格好で恥ずかしいかも…どうかな?…」
なんて照れも感じさせない。
これ見よがしな違和感もない。
ごく自然に、堂々と。

着ながら描く。
そして目にとまった面白いものは
どんどん素材として取り込んでいく。
目だけでなく、耳から鼻から…
自分の五感に魅力的に訴えるものに鋭敏に。
いつしか自分の一部にとりこむほどに。

そういう姿勢が
「装い」を文化として発展させていく要因になると
改めて思う。





2012年7月1日日曜日

ゴールドの次はピンク・品格の上に描かれるイメージは?

2010年春に発売された、ジバンシィのオードモワゼル。淡いシャンパンゴールドの液体は、高貴な精神性と挑むような気品がきらめく香りの雫でした。凛としたイタリアンウィンターレモンのみずみずしさから始まり、開花直前のピュアでファンタジックな薔薇の優雅さ、なめらかな余韻のムスク。半年間愛用し、きりりとした気分や静謐な優雅さを意識させてくれたこの香りには深く感謝しています。女性のみならず、知人でこの香りをハンカチーフに含ませて携帯しているという男性にも出会ったことがあります。ふっと香ると気持ちが引き締まり、優雅さを意識しながらもクールに仕事にのぞめたとのことでした。

そして今夏。
このオードモワゼル フローラル が新登場。7月6日発売のようです。

ボトルはそのまま。
液体はピンクになり、タイトルに「フローラル」と添えられました。
高貴な品格はそのままに、この液体の色が新たに何を表現しているのかは想像するに、柔らかさと優しさ?ぜひ試してみたいと思います。

同じく、シャンパンゴールドの液体で誕生した「アッティモ」が翌年にはボトルそのまま、ピンクの液体の2作目「アッティモ・ローフロラーレ」へと続いたケースを想起。コチラ のフレグランスです。


夏の初めの夕化粧

6月最後の金曜。
夕方、ふんわりとした芳香に足を留める。
オシロイバナ?



よく見ると、真っ白やピンク単色のものばかりではない。
絞り染め?マーブリング?



こんなにも鮮やかに、単色部分と混合部分が混在しているものも。

ひとつひとつ。
色素で違う表情を描くこの植物が
芳香とあいまって
夕方から咲き始める姿に
女性の浴衣姿を重ねてみる。