2012年5月13日日曜日

ブレンドの楽しさ・足し算ではなく掛け算の面白さ

アロマセラピストは、ケースバイケースで人に心地よい香りを提供することを求められます。ちょっと極端な比喩かもしれませんが、調香師が、作品として一人歩きできるようなフレグランスを創造するいわば「服飾デザイナー」的な役割を担っているとするならば、アロマセラピストが担うのは、その時その場でその人に満足感をライブで提供する「料理人」的な役割ではないかと感じています。

かつて私がリゾートホテルのアロマテラピーサロンを監修し、アロマトリートメントのメニューを考案した際も、レストランのメニュー同様に、いかに空間・接客・感覚(香り)体験の順序をスマートに提供できるかということを大切にしました。

人の好みは様々です。複雑です。
誰しもが、ラヴェンダーやローズマリーそれぞれの単一の香りのどれかに心地良さを感じるわけではありません。料理でも同じ。素材そのままストレートで食べるのは抵抗があっても調理によっては美味しいと思っていただける…
香りのブレンド、すなわち香料(精油など)を複数種混ぜ合わせる意味はここにあります。

ブレンド、といってもいきなりたくさんの種類を混ぜてみてもきっと納得できるような結果にはならないでしょう。まずは2種類を等量ずつ混ぜ合わせてその香りが単一のときとどう変わったかを嗅覚で確認していく経験から始めると発見も多く、楽しいです。単一の香料でも濃度によっても香り方はかなり異なってきます。

これまで大学や専門学校で私が行ってきた香りの講義中、香り初心者の学生に紹介したルームフレグランスのうち、等量ずつ2種類ブレンドを2%前後の希釈でつくったものとして例えば…

ラヴェンダー × ローズマリー
ジュニパーベリー × ゼラニウム
カモミールローマン × イランイラン
ネロリ × ローズオットー


上記はいずれもそれぞれ単一香料のみのときよりも多くの学生に好感をもって受け入れられました。まったく別の香りに変わった、とか、どちらか一方の香りを強く感じる、など単なる足し算ではなく掛け算としてのブレンドの可能性を感じてくれるようでした。

まずはこんな実験から。ブレンドの楽しさを感じつつ、香りで日々を快適に過ごしていただきたいと思います。

精油とはちがいますが、同じく芳香(アロマ)が命のコーヒーに関連して
UCC もっとこだわってコーヒーを飲みたい ブレンドについて もブレンドの意味を考える上で参考になるでしょう。


0 件のコメント:

コメントを投稿