2012年1月27日金曜日

「シャネルが太陽ならグレは月。」(秦 早穂子さんの文章より)

今週月曜から日経新聞夕刊に連載されてきた、秦早穂子(はた さほこ)さんによるー「勝手にしやがれ」の怒りー が5回目の今夜で終わり。非常に興味深い内容で共感できる部分も多々あり。この人の著書を読んでみようと思う。

日本人にとっても懐かしいフランス映画「勝手にしやがれ」や「太陽がいっぱい」といった邦題をつけたのは秦さん。洋画配給会社の社員としてパリにいた27才のとき、ご自身の審美眼により20分のラッシュを見ただけで買い付けた映画「勝手にしやがれ」(原題を直訳すると「息切れ」)は後にフランスのヌーベルバーグとして世界の若者を熱狂させたという。世の中に対して怒っていた若者の気持ちを代弁したタイトルとして素晴らしいと私も思った。

…そして最終回の今夜。結局カンヌ映画祭に通うこと45年、20世紀の歩みを見つめてきた秦さんは、20世紀を反映するファッションについても本を書いたとある。一冊目はポール・モランによるガブリエル・シャネルの評伝を翻訳した「獅子座の女シャネル」(1977年刊行)。もう一冊は、最後のオートクチュールの人といわれたマダム・グレについて。そのエピソードの中で書かれたのがこのフレーズ。
「シャネルが太陽ならグレは月。激しさは内に秘めていた。気難しい人でしたが、最後は打ち解けました。記憶に残る大切な人です。」

月。
私はこのマダム・グレのブランドを代表する香水、「カボシャール」を20代の中頃に愛用した。当時の私はリスクも顧みず会社を辞め、内側に激しい想いを秘めながらゼロから仕事を探し、生きる道を探していた。グレの香りをつけていると心が楽だった。



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