2012年1月20日金曜日

世界10数か国への地域展開・誕生から18年目を迎えたアパレルブランドの場合

一つのブランドがこの2月をもって日本を撤退するという。
2011秋冬コレクションカタログに掲載されている世界14か国82店舗のうち、日本国内5店舗に加え、中国・上海店舗もクローズとの情報を得た。

それは1994年にフランスで生まれたシャツ・ブラウスを中心とするレディースアパレルブランド。デザイナーはブラジル人とフランス人の両親をもつリオ・デジャネイロ生まれ。2007年にはフランス政府によりフランスファッションを世界に広めた貢献に対し国家功労勲章シュバリエを受勲している。

ブランドとデザイナーのプロフィールは、fashionsnap のコチラの記事に掲載。さらに、2010,9,21のOPNERS記事には、当時のコレクションやデザイナー本人の顔写真も掲載されている。

昨日、クローズ(2/22)まであと約一ヶ月という日本橋高島屋のショップを訪れ、このお店で数年間お世話になった販売スタッフの方からこんな話を聴く。
「東京の店舗よりも名古屋や大阪のほうが売上が良かったようです。日本国内でも関西圏の方が欧州、アメリカの方たちのように自由に大胆な着こなしを楽しまれますよね。日本では東京を中心として店舗展開するよりも、神戸あたりを中心にした方が良かったのかもしれません。」

確かにこのブランドには、勿論シンプルな定番もあるものの、クラシックなシャツ、ブラウスの規制概念を越えた自由で大胆なデザインも多く見られたと思う。ただし、その根底にはデザイナーの哲学ともいえるようなエレガンスがあった。空間の香りを大切に考える側面について「服と人と空間と」で書いたとおりである。香りとともに心地良さの中で着こなし魂みたいなものが刺激されるアイテムが多かった。一枚のシャツで何とおりにも着こなせる柔軟性も魅力だったと思うし、このブランドのシャツを着て私が実感したのは「服に季節はない。あるとしたら着方にある。」ということだったかもしれない。

ちなみに、上海店舗も無くなったというのは、日本橋高島屋店を訪れた中国人顧客からの情報。非常に残念がられていたという話。根強いファンにとって今後自国内で購入できなくなるショックは大きいとのこと。一方で同じアジア圏でも、香港、シンガポール当たりでは好調らしい。

2011年秋冬コレクションカタログの巻末には、世界14か国の店舗がズラリ。国別に数えてみた。フランス20、イギリス6、イタリア1(フィレンツェ)、ドイツ4、オランダ1(アムステルダム)、ベルギー3、スイス3、アメリカ合衆国28、イスラエル3、中国5、日本5、韓国2、シンガポール2、台湾1(台北)。

今後このブランドが地域によっての展開をどのように考えていくか。興味深い。


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