2012年12月30日日曜日

2012年の8展に感謝をこめて

ブログを書き始めてよくわかったことは
自分の興味の対象でした。

美術鑑賞の楽しさは
22才でパリに滞在した頃に美術館巡りに没頭した日々の
かけがえのない記憶です。
自分とは違う時間、場所で生きた人が
何をどう感じたのかを、描かれた表現を通して感じる面白さ。

さて。
26日、27日と今年の8冊、8香を記しました。
本日30日は今年の8展を
記事中に綴った私の忘れ難いフレーズとともに
記したいと思います。


1.
「線の旅」に感じたもの・「難波田史男の15年」展

内面に浮かんだなにものかを追いかけていくうち
線は音符になり、言葉になり、カタチになり。
見る人の記憶という背景の中に像を写す。


2.
ペイズリー文様に感じる・人が大切にしたもの

人は、人にとって役にたつもの、大切なものを忘れないように柄にして目に焼き付け、後世にも身に付けるもののヴィジュアルとして伝えたかったのではないかとふと感じる時間だった。


3.
18 visual works from 12 kinds of aromaー 文化学園大学 けやき祭にて

I'm a lecturer of "Fashion and Aroma" , the name of subject,
in Faculty of Liberal Arts and Sciences at this university.
In "Fashion and Aroma", each student tries to design visual work
inspired by each 1 aroma of natural plants.


4.
セザンヌのパレットー セザンヌ パリとプロヴァンス展より

初期は人も風景の一部ととらえていたというが、年月を経て、妻や彼の晩年の身の回りの世話をしてくれたという庭師への心の距離感が絵に表れている。


5.
パリに学んだ二人の日本人画家

美術史には詳しくはないが、この二名の画家の名前と印象は私の記憶に刻まれたと思う。人生は長いようで短い。できるものならば、限られた時間はこのような出逢いで満たしたい。


6.
日本初のレーピン展 ・"Ilya Repin master works from The State Tretyakov Gallery"


「…気がつくと美術はいつもそばにある、…」というような言葉をレーピンが残していたが、この類い稀な感性と技術を持つ画家にとってはまさしく生涯のほとんどがそう感じられたはず。


7.
「薔薇は美しく散る」・40年前の出逢い

その絵は色がないほうが印象的であり、かつ絵そのものよりも、登場人物と空間の境である線の流れ、セリフの表現に目が注がれる。この表現は黒と白の漫画独特の表現。


8.
優れた美術品収集こそが一族の栄誉…『リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝

こうした展覧会を眺める楽しさのひとつに
描かれた当時の建築、装飾、服飾などの様式を鑑賞することがあります。

2012年12月29日土曜日

12月末・東京2景(世田谷 & 丸の内)

12月27日。快晴。
徒歩圏内のユリの木公園を歩く。
太陽の光が澄み切った冷風に映えて
ふと見上げれば、こんなに空の色がブルー。




せたがや百景 NO.31 北沢川緑道ユリの木公園の街路樹では、こんなにも元気に高くのびる木の姿が仰げる。




街路樹にそった住宅の庭に、こんな可憐な花を発見。




椿の一種だろうか。
太陽の光を受けて葉も花も輝いている。

12月28日。雨。
冷たい雨が降る夕刻の空はグレイ。
東京駅丸の内北口を出てオアゾに向かう横断歩道を渡り
振り返る。




オアゾ内、丸善 丸の内本店 でたっぷり2時間。今の自分に必要な新刊本に出会えた。買いたい本をこの目で探そうと思ったらここに来るしかない。
仕事納めの28日夕刻の丸の内。
人の多い東京駅構内を避けて丸の内線にて帰路へ。

2012年12月27日木曜日

2012年の8香に感謝をこめて

「周囲の方々と…香りのおかげで元気でおります」
メッセージカードにそんなフレーズを書く今日この頃。

こんなにも感染症の蔓延する季節にもかかわらず
風邪もひかないでいられるのは
私の場合、日々多くの香りたちに囲まれているからでしょう。

今年お世話になった香りの中から
特に香りとともに着用した服までくっきり記憶しているフレグランス7種、
もはや私にとっては生きていく上で欠かせない天然香料1種に
それぞれ感謝の言葉を添えておこうと思います。

新月に・春の光香る・EAU CLAIRE DES MERVEILLES
達観した穏やかさと初々しい気持ちに合わせたのは
カシュクールのニットとアンシンメトリーなスカート。
懐かしい方とお会いできました。

薔薇色のかわりに香りを添えて・"Rose The One"(Dolce-Gabbana)
見えない花束をそっと抱えるような仕草の淑女気分には
オーガンジーの薔薇ボタンが同色の生地に映えるブラウス。
初々しい人達の晴れやかな笑顔に会えました。

紫の香り・ジャンヌ・ランバン クチュール オードパルファム
少女の愛らしさと大人の深い気品のグラデーション。
光沢のあるシャツブラウスと変則的なヒダの流れるAラインスカート。
多くの人達に喜ばれる体験の場を提供できました。

花に人の美をたとえる・Flora BY GUCCI GLAMOROUS MAGNOLIA
みずみずしく清楚に咲く花のように。
ピンと張りのある襟元に縁取られたレーシーな白ブラウス。
ハードスケジュールも終始穏やかな笑顔が保てました。

ボトルに秘められたエレガンス・モン ジャスミン ノワール ローエキスキーズ
陽光あふれる庭園に佇むかのごとくの寛ぎにつつまれて。
エキゾチックな植物柄のショール、パールグレーのコート。
冬の寒さも慌ただしさも忘れ、夜になっても心明るく過ごせました。

形は風次第・DAHLIA NOIR の香りと秋の空気
可憐で儚い香りの行方に待っているのは官能的なあたたかさ。
タイトシルエットのシャツ。首元に揺れるのはオーガンジーの重ね襟。
気遣いの多い役目も笑顔でクリア。最後まで心はあたたかいままで。

それは厳かな水・セルジュ ルタンス ローフォアッド
クリアにきらめく気品。ミステリアスな冷たさが体温に映えるはず。
白黒モノトーンの組合せ、その足元にオリエンタル模様のボルドーカラー。
クールな言動の裏には熟考したプランの数々。成果あり。

Self-care by Rose otto , after this summer time
美を咲き誇る現代の多様な薔薇たちの母、
原種のひとつであるダマスクローズのパワフルな香りに
日々癒され、優雅な空気をいただきました。

Merci beaucoup !


2012年12月26日水曜日

琥珀色の光とフリージア/Issey Miyake L'Eau D'Issey Absolue

新年に発売される新作フレグランスの中で
チョット気になるのは
Issey Miyake L'Eau D'Issey Absolue
2013年1月デビュー。

琥珀色。
こういう光の色を確かに見たことがあります。
心底キレイと感じ、幸せな気持ちになりました。
そんな気分にさせてくれる香りでありますように。

香料にフリージアが使われています。
立春の頃
黄色く可憐に咲くフリージアの麗しい香りに
励まされたことを回想して書いていたコチラが記憶によみがえります。

年あらたまり、寒さの中にも
春に思いを馳せる人達にとって
明るい光となりますように。

2012年の8冊に感謝をこめて

2012年も多くの書物に出会いました。
好奇心をくすぐる書物の存在はかけがえのないものです。

sawaromaブログでご紹介した本のうち
私が香りの専門誌 " PARFUM " 161~164号の書籍紹介ページ "BOOKS "の中でも媒体用に新たに紹介文を書いた8冊を記します。


サラ・ローズ著「紅茶スパイ 英国人プラントハンター中国をゆく」(原書房)


円城塔 著『道化師の蝶』・言葉の連環がひらく世界


The aroma reflects its producing district…『佐々木薫のアロマテラピー紀行』


『ローズ・ベルタン マリー=アントワネットのモード大臣』から回想した二つの物語


『共感覚という神秘的な世界』を読み、共感したこと


ポーラ・バーン著『パーディタ メアリ・ロビンソンの生涯』から想像する18世紀末のイギリス美女


花は厳しい環境の中で開く・野村哲也 著『世界の四大花園を行く―砂漠が生み出す奇跡』より


鷲田清一 著『ひとはなぜ服を着るのか』で振り返る「境界を意識した歴史」


書物、そして文字、
さらには文字を解読できることを有難く思います。

限られた時間の中で
自分一人では決して知りようのなかった
考えつくこともできなかった世界を
文字を通して共有共感できる喜びに感謝を込めて。

2012年12月25日火曜日

香りと数字・カカオの場合

クリスマスイヴの夕刻、
翌朝からの仕事のために品川から新幹線に。

ついつい立ち寄ったエキュート品川。
またしてもコチラ へ。

今回魅かれたのは、このカカオ95%の「54」。


なんといっても、ほぼ「カカオ」。
翌日帰りの新幹線にて試します。

やはり!

以前、フランス土産にと
炒っただけのカカオ豆をいただいたことがありました。
そのときのふくよかな香ばしさ、渋みと酸味のバランス。
これはワインにも合いそうです。

帰京の新幹線が品川に着くと、またまたのぞいてしまいました。
今度は、内容ではなく数字で選んでみようと思って。

19年前、私が男の子を出産した12月16日にちなんで。


「16」は彼の大好きなサッカーの盛んな国でもあり
「南アメリカ最大のカカオ生産国。強い苦みと渋みが特徴的。ドライでウッディー、スパイス様の香り男性的で力強い印象です」
とのこと。まるでフレグランスを形容するかのごとく。

香りのあるものを数字でネーミングする。
便利な方法です。
私もかつて、某役者さんのために香りを調香したとき
使用した香料数とその人の頭文字を組合せた暗号にしました。

人によって様々なイメージが感受され得る香りだからこそ
ネーミングをストイックに。
そのストイックさが
逆にミステリアスで面白かったりするのです。



2012年12月22日土曜日

" PARFUM " No.164(2012~2013冬号)発刊

12月20日。
香りの専門誌" PARFUM " No.164(2012~2013冬号)発刊です。


今回の表紙は
オーキャッチ プリティ キャット ヴァイオレットキャットの
イメージヴィジュアル。
華やかで小悪魔的魅力いっぱいの香りが伝わってきます。



毎年年末号と初春号とを兼ねた冬号は
新製品ニュース盛り沢山ですが
今回もひときわ豪華。
一部をご紹介します。


新年早々発売されるイッセイ ミヤケの新しい香り、
"PARFUMS PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE"について
イッセイ ミヤケ パルファム副社長へのインタビュー。

磐田市香りの博物館にて2/3まで開催の「美しき香水瓶」展
のご案内や、とちぎ蔵の街美術館にて2/2〜3/31開催予定の
「香りとファッションの美学展」のお知らせ。

ポーラ文化研究所主任学芸員 津田紀代さんによる連載
「時代をリードした香り美人とファッションー8」
では、エルザ・スキャパレッリにクローズアップ。

"ESQUISSE"にて紹介の版画作家、斉藤里香さんの
作品ヴィジュアルからは香りはもちろん
五感が切り取った一瞬の空気が伝わってきて
2/25から3/9まで開催予定の個展にはぜひ足を運びたいと
思います。

雑誌「パルファム」の魅力は
まずは眺めて
見えるものから感じる香りをあれこれ
想像するところにあります。
時間をかけて
眺める時ごとのモードで
文章をつらつらと味わう楽しみを
季節とともに。


聖なる時に・Eau de Parfum No.1 Frankincense / Nealsyard

フランキンセンス。
イエス・キリスト生誕時に捧げられた三つの貴重なものの一つ。

この香りに初めて出会ったときに私が感じたイメージは
かなりインパクトのあるものでした。

シトラスでウッディ
クールな第一印象
いつしか包み込まれるような温もり
厳かな時間
遠い記憶
遠い道のり
確かな今…
深く呼吸している自分という生き物

そんな記憶を華やかに思い起こさせてくれたのが
こちら、オードパルファン フランキンセンス(ニールズヤード)



トップノートのネロリやベルガモット…
このフランキンセンスがかすかに感じさせるシトラス調の明るいトーンを
綺麗に引き立てています。

かつて、某声楽家へのミュージカルデビューのギフトにと
天然香料のみのオリジナルフレグランスの調香を依頼されたとき、
私が選んだメインの香料は
彼女の好きな薔薇と
彼女の厳かな声のためのフランキンセンス。
そして彼女が声楽修行で滞在していたイタリアにちなみ
ベルガモットとネロリもトップノートに合わせたことを回想。

先日、天然香料やフレグランスについて学んだ大学生にも
この香りを聴いてもらいました。
イメージワードとして多く挙がったのは
「落ち着く」「深く呼吸」「森の中」「女性だけでなく男性も」…

「今日の自分が一番求めていた香りかもしれないー」
そんな一言を書いた学生もいました。

もうすぐクリスマス。
聖なる時に
特別の香りとともに。


2012年12月19日水曜日

L' atelier du ruban で拡がるリボンの世界

リボン。

この響きから何を想像するかは人次第ですが
私にとっても常に数種類揃えている大切なもの。

一番の目的は束ねるため。そして装飾。
大切なものを包み最後に結ぶため。
他人にプレゼントする場合だけではなく
自分のノートや本を束ねて持ち歩くときにも
良くつかいました。

最近では
ネックレスやベルトのチェーンがわりに選ぶことも。

さりげないけれど
結ばれたモノのニュアンスを香らせる
大切なツールです。

こんなwebサイトを発見。
L' atelier du ruban

リボン専門サイトで、フランスリボン・ドイツリボン等、世界の洗練されたリボンを取り揃える輸入リボンのオンライン専門店となっています。
日本のリボンもなかなかシックです。

太めのリボンで花やリースもつくれそうで
リボンそのものをクリスマスギフトにしても楽しそう。


2012年12月18日火曜日

Eau de Parfum No.2 Rose / Nealsyard

アロマテラピーのための天然植物精油や化粧品を展開する
イギリス生まれのブランド、ニールズヤードより
今秋、天然香料でつくられたパルファンが登場。

その一つがオードパルファン 『ローズ』




ローズをよりローズらしく。
香料素材を
他の香料とブレンドし調和させることで
その魅力を引き出し
磨かれてつくられた液体の宝石のようなもの。

深く華やかでスパイシーでなめらかで…。
やわらかく素直に。
ストレートに花の香りです。

いわゆる
パルファン、フレグランスというものを
初めて使ってみようと思うひとにもすすめてみたいと思います。

9月から天然香料やフレグランスについて学んできた大学生にも
本日このパルファンの香りを鑑賞してもらいました。
高級感や上品、艶かしさ、大人…などの印象でとらえられた様子。

香料としてのローズのインパクトを
あらためて実感できる香りです。
私は、イングリッシュガーデンの薔薇が咲き誇る風景を想像。

2012年12月17日月曜日

56Chocolates から思い起こすチョコレートデザイン

クリスマス間近のエキュート品川にて。

アクアブルーにブラウン、というカラーに魅かれ
出店していた56Chocolates をチェック。


56種のチョコレートから私がまず試してみたいと思ったのは
シングルビーンのマダガスカル(03)。
バニラやイランイランなど芳醇な香料の産地ゆえに。

カカオの香りが大切にされたチョコレートが好きなのです。

予想通り、爽やかな酸味と
フルーティーともフローラルともいえる上品な香りが立ったあと
甘みのあとから穏やかに渋みが追いかけてきました。

ガーナ、コロンビア、ブラジル…
シングルビーンを他にも試してみたいと思います。

さて、このチョコレート、
ビジュアルデザインでは
何だかコチラ を思い起こしてしまいます。
カカオブラウンに似合うブルーを合わせる、なんて考えが重なったのかも。

そして、「世界の香り辞典的バリエーション」という
チョコレートブランドとしての意味ともいうべきコンセプトデザインは
コチラ を回想。

さすがチョコレートの明治。
時流のいいところ取りでしょうか。まさにファッションです。
文化としてチョコレートをもっとカジュアルに伝えようとしている感覚が
ちょっと優しくて嬉しい気がします。

2012年12月16日日曜日

冬の空に

昼下がり。選挙の投票にと外出。
考えぬいて選んだ一票は無意味でないはず…
と思いつつ
冬の空を見上げる。



木漏れ日に揺れる葉のさざめき。
乾いた空気の中で
葉それぞれの速度で生きている証の色たち。

こちらは遠くから、まるで黄金の実のように見えた。


みかんの木。
厳しい季節に実をつける生命力の色。

元気を有難う。

招き猫

徒歩圏内にある豪徳寺は、招き猫発祥の地といわれています。
小田急線豪徳寺駅前には、招き猫の石像もあります。

招き猫の寺・豪徳寺

猫は毛づくろいでもしていただけなのかもしれませんが
招いているように見えたのでしょう。

豪徳寺駅周辺のパン屋さんや和菓子屋さんでは
招き猫にちなんだお菓子が色々販売されています。
人形焼のようなねこやきもそのひとつ。
年末年始になると…親しい人にプレゼントしています。


我が家にも大きな白の招き猫が20年以上佇んでいます。
毎年お正月を迎える頃にはピカピカに磨いています。
特に金運を期待しているわけではないのですが
猫が大好きなのです。

猫のまるみのあるボディのカタチは
眺めるだけでもなごみます。
そんな存在が私には「神様」です。

2012年12月13日木曜日

" Dior J'Adore L'Absolu " のために選ばれた花香料とガラス

アメリカのフレグランスサイト、FRAGRANTICA の記事で
素晴らしい動画フィルムを発見。

New Fragrances
Dior J'Adore L'Absolu
12/05/12 04:58:55
By: Sandra Raičević Petrović


記事の終盤に貼られた動画。フランス語で調香師が語るシーン。
香料、フレグランス、そして美を愛する人は必見です。

グラースのグランディフォラム ジャスミン、ローズ ド メ、
南インドのサンバック ジャスミン…
イタリア、ムラノでのガラスボトル制作…
ディオールの美学が求めた花香料とガラスが
いかに選ばれ、いかにカタチとなっていくかを
見ることができるでしょう。

調香師フランソワ・ドマシーは
香料の源である花から
得たいと思う最高の状態の香りを得るために
香料生産者と深い信頼関係を築いています。

香料素材の魅力を徹底的に探求するということは
世界中を旅すること。様々な人と協力すること。

ボトルにかけられた情熱。
それは「触ってみたくなる衝動を駆り立てる存在」
を生むことでもありました。

クリスチャン・ディオールから1999年に発売され
高い支持を得ているフレグランス" j'adore"(ジャドール)の
最新限定エディション(限定数300・1点$3500)が
2012年11月に発売。
輝く黄金が散りばめられたボトル。

最近テレビでふたたび…
あの、ヴェルサイユ宮殿内にて撮影され
グレース・ケリー、マレーネ・ディートリッヒ、マリリン・モンローが
登場する" j'adore"(ジャドール)のCMを見かけたのは
まさにこうした背景があったのかと気付きました。

みかん

今日は新月。
見えないけれど、まあるいものを想像。


12月のはじめに
箱入りの愛媛産みかんを購入。


つやつや・オレンジ、みかんの皮の色は暖かく
剥くと四方に爽やかな香りが拡がりました。

甘酸っぱくて懐かしい味。房ごといただきます。

一個いただくとビタミンC効果なのか
疲れがとれるような気がします。

この1週間、毎日みかんを頂いたおかげか
風邪もひいていません。感謝。

果物ナビ 温州みかん をチェック。
優雅な白いみかんの花、たくましい葉、そびえ立つ木。

日本のみかんの輸出量最多の国はカナダでした。
ジュースにでもするのかもしれません。

2012年12月9日日曜日

香りを着る・" COCO NOIR " の場合

ここに一枚の紙片がある。

10日前に吹き付けたにも関わらず
穏やかに、優美に聴こえてくる香り。

強い意志を秘めながら
生への感謝と慎みを忘れない
気品漂う人物がそこに確かに存在したかのように。
男性か女性か? 20代か40代か?
そんなことは関係ない。

香りの名前は "COCO NOIR CHANEL"



さて。
月の綺麗な晩秋の夜。
日頃からお世話になっている
私にとっては目上の
尊敬すべき方々とお食事しながら談笑。
私はお会いする方々への敬意と、その夜の風景から
この香りを着てみようと思った。

クラシックな白のブラウスに
襟元と袖口がゆるやかに開いた黒のウールセーターを重ね
膝丈の黒スカート、黒のヒールを合わせる。
これらと私の皮膚の間(ウエストよりも下)に数カ所この香り。

お会いいただけた貴重な時間を丁寧に過ごし
"À bientôt (またそのうちにお会いしましょう)"と
笑顔でご挨拶してお別れする…
そんな気持ちでいられたのは
この香りのおかげかもしれない。

以下、 "COCO NOIR CHANEL" リリースより
この香りの構造をメモ。

グレープフルーツ
カラブリア産ベルガモット

ローズ エッセンスとアブソリュート
ジャスミン アブソリュート
ナルシス ノート
ローズゼラニウム リーフ

ブラジル産およびベネズエラ産トンカビーン
インドネシア産パチュリ
ニューカレドニア産サンダルウッド
ブルボン産バニラ
ホワイトムスク フランキンセンス

2012年12月5日水曜日

『香りとファッションの美学展』・とちぎ蔵の街美術館にて来春開催

香水評論家・平田幸子さんのブログより
「香りとファッションの美学展・開催です」

平田さんはこの展覧会の監修をつとめられています。

人の本能に直結しその想像力を深く刺激する「香り」。
これが「時代ごとの空気感」に影響されないわけはなく
そうした空気感が時代ごとの「服飾文化」に反映されています。
ですから「ファッション」を
広義の「時代ごとの空気感を背景とする様式・様相」ととらえたとしても
狭義の「服飾文化」ととらえたとしても
いかに「香り」と密接に関わっているものであるかが想像できるでしょう。

私自身も幼少期のころ、フレグランスの香りから
未だ見ぬ大人の自分の装いを想像することができました。

実際に各年代の香水の香りやボトルデザインと服飾をあわせて鑑賞すると
それがどのような時代を反映していたかを感じ取ることができるはず。

とちぎ蔵の街美術館のコチラ の2月のカレンダーにも表示されています。多くの方に鑑賞いただけますように。

2012年12月4日火曜日

それは厳かな水・セルジュ ルタンス ローフォアッド

今年一年に発売されたフレグランスの中から
今年感、
香料素材への新たなアプローチ、
香りとビジュアル表現両面から感じられる芸術性、
これら3点において卓越していると私が感じ、選んだ8点を講義で紹介。

発売順に、ということで筆頭はこちら。
3月21日発売。



セルジュ ルタンス ローフォアッド

冷たい水、という名称ではあり
春から夏にかけてその清涼感、透明感を
ミステリアスな雰囲気とともに楽しんだ人も多いはず。

ソマリアの乳香の醸し出すスモーキーな渋みと
ほの甘い樹脂のスパイシー感がよくこの透明感に映えています。

私はあえて夏に使わず、
今日のような寒い冬の午後に試しました。
感じたのは冷たさというよりも厳かさ。
極寒ゆえにつくられる美しい雪の結晶の気品が香ります。

頭の中に静かでクリアーな空気が漂い
厳かな気分で過ごすことができました。
いつしか冷たさは温かさに変わり
私の一部になっていました。

ボトルに記された文字ヴィジュアルのイメージ通りです。

2012年12月2日日曜日

コフレで揃える三つのアイテム…頭文字はP・M・R

もしも
メイクアップとしての化粧品を
一つしか選べないとしたら
私は迷わず香水(PARFUM)を選びます。

もう一つ選べるなら
次は黒のマスカラ(MASCARA)。

三つまで選べると言われたら
明るい赤系の口紅(ROUGE)を。

この冬。移動が多く
これらを携帯できるならコンパクトに
と思っていました。

そんな時に目にしたクリスマスコフレ。



左の口紅スティックには指に掛けられる部分もあり
香水もマスカラもミニサイズ。

たとえブランド名がこれ見よがしに見えなくても
この佇まいで私は十分にエレガンスを感じます。

2012年11月30日金曜日

優れた美術品収集こそが一族の栄誉…『リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝』

昨日、資料の中に大切に挟んでおいたチケットを発見。
開催中に思い起こせてよかった、と改めて感じた展覧会です。



すでに12世紀の歴史に登場するオーストリアの名門貴族リヒテンシュタイン家。
優れた美術品収集こそが一族の栄誉との家訓のもと、500年以上にわたってヨーロッパ美術の名品が収集されたうち、139点の名品を選りすぐり、日本で初公開される展覧会。これは見逃せません。

上の写真のチケットには
《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》。
クララはルーベンスの娘でありこの肖像は彼女が5歳のときに描かれたものとのこと。展覧会ではこのクララのイメージを表現して調香されたフローラルブーケのフレグランス"CLARA"も特設ショップにて販売されているそうです。

ルーベンス作品10点のほか、ラファエッロ、クラナッハ、レンブラント、ヴァン・ダイクをはじめとする巨匠たちの名画や、華麗な工芸品が一堂に並びます。

さらに素晴らしいのは
ウィーンの夏の離宮での展示様式を取り入れたバロックサロンが設けられ、華やかなバロック宮殿の雰囲気をも体感できること。

詳しくは是非
リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝を。

今回の展覧会の情報は、香りの専門誌 " PARFUM"163号でも紹介されています。


こうした展覧会を眺める楽しさのひとつに
描かれた当時の建築、装飾、服飾などの様式を鑑賞することがあります。
当時描いた画家の心に
何が美として映り、焼き付いたのかを
時を経て
静かに、想像力をめぐらせながらイメージを描く時間。
描かれた作品に感謝せずにはいられません。

2012年11月28日水曜日

ココ・シャネルの言葉より・" COCO NOIR " に寄せて

8月にコチラ にてご紹介の" COCO NOIR "。
講義のために、ビジュアル資料をお借りしました。

その一式の佇まいが
あまりに荘厳で気品に満ちていたので
思わず写真に記録。


黒の表紙を開くと
中には明瞭なフランス語で
シャネル自身の言葉とともに
この香りの背景に流れる物語がしずかに綴られています。

冊子中ほどに現れたのが黄金のミニブック。

" Mademoiselle Chanel à Venise "
(ヴェネチアのマドモアゼル シャネル)

と表紙に刻まれています。
この黄金の表紙をめくると
最初にこう書いてありました。

" Il n' y a pas plus joli qu' une topaze, cette eau dorée "
Gabrielle Chanel
(トパーズほど美しいものはない。まるで金色の水のよう。)
ガブリエル シャネル

トパーズは今月、11月の誕生石です。
11月生まれの私にとって
何よりのプレゼントのような素敵な言葉。

黒に映える黄金。
黄金に映える黒。

流れる明瞭なフランス語。写真。

香りの美を
ここまで研ぎ澄ませた表現と言葉の数々で伝える情熱に
まさにシャネルそのものを感じました。


2012年11月27日火曜日

アロマティック ウッドの香りで・THANNのハンドウオッシュ&ハンドローション

もはや東京は冬。
冷たい風。乾燥した空気。
皮膚から大切な水分も失われていきます。

ここ一週間、手肌の乾燥に特にケアが必要と感じ始めました。

夏の終わりに入手した
アロマティック ウッドの香りのこちらを愛用中。




コチラ にてご紹介のブランド、THANNより8月に発売されたもの。

天然のオレンジ、タンジェリン、ナツメグのブレンドの温かな香りのアロマティック ウッドシリーズは、このブランドの中でも好評らしく、多くのホテルでアメニティとしても使われているそうです。

ハンドウオッシュ(上の写真左)には、オーガニックカミツレエキス、ティートリーエッセンシャルオイルも配合されているとか。透明なジェル状できめ細かいふわふわした泡立ち。ハンドローション(上の写真右)にはコメヌカオイルに加え、オーガニックのシアバター、ホホバオイルも配合。しっとりとした肌へ。手肌だけでなく、顔以外の乾燥した皮膚に塗布すると、乾燥によるかゆみも感じない、と家人も喜んでいました。

一日働いた手を最後に丁寧に洗い、ローションでケア。ほんのり優しい香りとともに一晩眠れば、寒い朝も元気に目覚められそうです。

2012年11月25日日曜日

肌と一体化するジュエリー・ブルガリ ジャスミンノワール レリクシール

9月のブルガリ・フレグランス新作 のうち
黒のボトル、ブルガリ ジャスミンノワール レリクシールの
テスターをお借りしました。




香りの印象。
なめらかです。
静かに佇む花のごとき柔らかな物腰、
抑えた表情にも滲み出る優しさ。

先週、特に忙しい日にあえてこの香りを肌にのせました。
寒い日でしたから今季初めて黒のウールタートルネック
セーターを着たのですがその前にウエストや足もとに。

衣服からわずかに
こぼれるように控え目にフワリ。
香り立ちはほのか。肌そのものの一部になったかのように
違和感なく過ごせたせいでしょうか、
立ち続け、話し通しの目まぐるしい数時間を
心穏やかでいられたと思います。

見えなくても、この日の私にとっては
肌と一体化するジュエリーさながらに
心地よい自信を与えてくれたとおもいます。

アメリカのフレグランスサイトでも調べてみました。
コチラ にその姿があります。

サンバックジャスミンの清楚でありながら柔らかな一面と
チュベローズの控え目な妖艶さが絶妙に調和したミドルノートは
トップとベースにあたたかくつつまれて
まさにこれからの季節にも似合いそうです。

香料の繊細な美が引き出されたフレグランス。
さすがジュエラーブランドとしての品格を感じさせる香りです。

2012年11月22日木曜日

香りの専門誌 "PARFUM" サイト・リニューアル

日本では唯一の香水評論家である平田幸子編集長と出会ったのが22年前。
「パルファム」は、私が初めて文章を活字で掲載いただいた雑誌です。

20数年間の既刊を全て保管している雑誌は
私にとって唯一この専門誌のみ。
いまや貴重な資料であり宝です。
毎号、旬の女性のモードなフォトのみが表紙を飾ります。
余計な文字は一切ありません。

創刊40周年を迎えた昨年12月からはや一年。
私も今年で連載12年を迎えます。

香りの専門誌「パルファム」"PARFUM"のWebサイトが
リニューアルオープン。

そのトップページはコチラ

編集長のブログも加わり
香りのスクール情報も充実しました。

これからも
香りを愛する人たちに
愛される一冊でありますように。

Honolulu Cookie・カタチとフレーバーにいやされて

ハワイのお土産に
Honolulu Cookie をいただきました。



この、なんともいえない
愛らしいパイナップルのかたち。

気がつくと…今日は朝から複数の仕事同時進行で
精神的にも疲れを感じていましたが
このカタチが目にはいり……和みました。

口にすると、バターの香りとフルーツやナッツのフレーバーが
あたたかく、やさしく響くような気がして
夕方までもう一仕事できそうです。

しおりから…いろんな種類の写真にもなごみます。



カタチも実はパイナップルだけではないようですが
コチラ のとおり
フレーバーはかなり色々。ココナッツやコナコーヒーも魅力的。

2012年11月21日水曜日

美濃和紙で「聞く」・花香の囁き

私の講義の中では
さまざまな単一天然香料の香りを「聞く」体験を提供しています。

毎年、その終盤で登場するのが花の香り。
花は植物の生殖のための戦略のかたち・色・香りであり
その香りはきわめて複雑です。

花が咲いているときの自然な状態の香りと違い
精油など
香り成分のみが凝縮されたものは
そのままで香りを聞こうとしても
慣れていない人にとっては、複雑な芳香成分が一気に押し寄せ
強力なものとしてのインパクトに一旦麻痺させられるケース…
あるいはその反動で
数ある複雑な成分の中で記憶にひっかかる特定成分のみが
クローズアップされてしまい
花香全体のイメージが描けない、と訴えられるケースに
よく遭遇します。

「香り」とは
多種の有機化合物である香気成分の集合体が
時間経過に伴う静かなるハーモニーを奏でる音楽のようなもの。
その繊細な存在を全体としてとらえるには
「聞き方」が極めて大切であると私は思います。

昨日の講義では
調香師にとってもアロマセラピストにとっても重要な花香
ネロリ(ビターオレンジ)精油と
ローズオットー(ダマスクローズ)を鑑賞。

香りを聞いていただく媒体は紙。
コチラ にてご紹介の岐阜、美濃にて
サンプルとしていただいた美濃和紙です。
うっすらとした紙ですが、非常に丈夫。自然の透かしが素敵です。

小さくカットしたその和紙に
コチラ の方法にて香りを移しておきました。

結果。
精油原液を直接染み込ませた紙を聞いていただくよりも
花本来のふんわりとした優雅さや
フルーティーな花香のトップノートのみずみずしさが
例年よりも多くの学生に伝えることができたようです。

2012年11月19日月曜日

香を聞く・心も身体も穏やかになれるひととき

香は、心を無にし、自らの嗅覚に「聞きにいく」もの。

最初の一回は軽く聞き、
二度目は少し長く、
三度目は確認する。

微細な違いを感じ取る風雅な時間。

その静寂の中で繊細な香りの美しさに触れると
凝り固まっていた神経がほぐれ
深いリラックスを得られます。

本日は、香水評論家の平田幸子さんによるによる香りスクール開講日。

こちらでもご紹介の3回目のレッスンは、香道の専門家の先生をゲストにお迎えした「香道入門」。

あたたかい香炉を上から眺めます。


灰の盛られ方にも流派による違いがあるとか。
雲母の上にちいさな香木がひとかけら。
沈香の中でも伽羅(きゃら)は最上級の香りといわれ
高い稀少価値があります。

どことなく、いにしえの記憶を呼び起こす懐かしさ。
上品にたなびく残香が心にゆらめく
まさしく最上級の香です。

こちらの香炉は、かつてNHK大河ドラマ「篤姫」で使用されたものだとか。


道具の風情も雅やかです。
香道具の鮮やかさを楽しみにしていた私は
あえて本日の自分の服装を無彩色にして良かったと思いました。

「伽羅」とよばれる沈香。


そのたたずまいは
木が自然の中でゆっくりと変化、熟成した
静かな年月の重み、深さを語っています。
香を聞く、とは
こうした存在の語りかける声に耳をすますことでもあります。

「見えないものこそが大切」とは
フランスの作家、サン・テグジュペリの物語の一節でもありますが
こうした奥深い世界を体感できる香道が
いまやフランスなどヨーロッパの方々にも大変な人気であることも
よくわかるようにおもいます。

2012年11月18日日曜日

ボジョレー・ヌーヴォーと音楽のひととき

以前、香りと音楽の企画でお世話になった
音楽関係の方からお招きいただいた
ボジョレーの会。



フレッシュな南仏育ちの赤。
2012年産のみずみずしい色と香り。


なんと、豪華3ミュージシャンの方々のハーモニーも堪能。


ピアノ 立石 一海さん
トランペット 高澤 綾さん
ヴォーカル 横沢 ローラさん

素敵な音。有難うございました!
うちお二人が私と同じ大学卒業だったというのも奇遇なご縁。

ボジョレーの香りはフレッシュながら
畑ごとにちがう深い味わい。
総計4~5種類は試したとおもいます。
赤は爽やかなフルーティーさ、
白は繊細でフローラルな気品を堪能できました。
今年の太陽と水、大地の恵みに感謝。


2012年11月17日土曜日

" VELVET EASTER ", " MIROIR MAGIQUE(魔法の鏡) ", …/ Carole Serrât

雨の土曜日。
ひとりで、もくもく文字を書く。

気分転換に
今日私が仕事で書いたり読んだりしていない言語で歌われた
昔から大好きな曲をきく。

日本語の荒井由美の原曲のうちでも特に好きだった2曲は
フランス語できいてもやはりお気に入りだった。

20年前に購入した2枚のアルバム。
もはや貴重品。




フランス語で歌っているのは
Carole Serrat(キャロル・セラ)。
Sony Musicのコチラのページに記載されている曲は、すべて上の写真の2枚に収録されている。

荒井由美の音楽は、メロディだけで風景がうかぶ。
昔から、音で絵を描く人なんだなと思っていた。

最近、このフランス語の「ベルベット・イースター」が
テレビの旅番組のBGMで流れていたらしい。
" MESSAGE EN ROUGE(ルージュの伝言) "も
JRホクリクの旅のPRにつかわれたとか。

「ベルベット・イースター」の
日本語の歌詞がベタに直訳されていないところで
私が好きなフランス語表現を一つメモ。

"…C'est la saison
Ou tous les miracles sont possibles"

原曲の日本語歌詞は
「…いちばん好きな季節
いつもとちがう日曜日なの」

フランス語の詩は
「それは、すべてのキセキが叶う季節」
とでも訳しましょうか。

いかにも
冬のあとの春、復活祭らしい、
フランスならではの意訳かも。

先月。
フランス語の講義で18才位の学生たちに
このアルバムをきかせたら
私の好きな2曲はみんな知らなかったけれど
" MESSAGE EN ROUGE (ルージュの伝言) "と
" ENVELOPPEE DE TENDRESSE (やさしさに包まれたなら) "
は、アレンジが原曲と違うのに
イントロだけでわかったと言っていた。

2012年11月15日木曜日

"Every Bottle of Perfume Contains a World," IFF主催展覧会と香りのディナー


"Every Bottle of Perfume Contains a World,"
「すべての香水ボトルには世界がふくまれている、」

これは、本日私が一気に読んでしまった記事中の言葉であり、日頃から実感していることでもある。様々な地域から産出される数多くの香料を体感し、これらについて学ぶと世界中の文化と歴史に興味を持たざるを得なくなるのだから。

文化学園大学現代文化学部・国際ファッション文化学科において「ファッションとアロマ」という講義を提供する中、毎年学生にいわれるコメントも
「未知の香料に触れて、行ったことのない世界の様々な地に魅かれた」。

さてその記事とは、アメリカのフレグランス情報サイト、FRAGRANTICAより。
A Presentation of Natural Materials by IFF-LMR Naturals(11/14/12 19:19:54. By: Serguey Borisov)
展覧会も香りのディナーも、写真からおよその雰囲気は伝わると思う。
現代に至るまで、人間がいかに香料を文化の重要なファクターとして捉えているかがよくわかる。

天然香料の産地は世界中に拡がっている。
地域ごとに違う文化があり、違う衣服があり、違う習慣がある。
それが一つの香水ボトルから実感できるという。

ハイチのベチバー、
エジプトのジャスミン、
コートジボワールのジンジャー、
エチオピアのミルラ、
チュニジアのネロリ、
マダガスカルのヴァニラ、
コモロのイランイラン
中国のチュベローズ、マグノリア、
インドネシアのパチュリ、
ヨーロッパのフレンチラベンダー、クラリセージ……。

記事後半には
薔薇の写真。広く長く愛される稀少香料の筆頭。

…とある香水を身につけると
まだ訪れたことのない地域の
出会ったこともないような人になれるような気がする。
「私」なんていうものは
勝手に頭の中でつくりあげた概念にしか過ぎず
実は誰でもなく何にでもなれる。
その感覚を揺さぶるのが
場所を超え時を超えて本能に響く香りである。
…そんなことを改めて感じさせられた記事だった。

2012年11月14日水曜日

MERCI , "CARAMEL SALÉ".

この数週間、疲労感を癒してくれたキャンディは
あのなつかしい「おじいさんのCM」の
ヴェルターズ・オリジナル

なめらかなバターや生クリームの
フレッシュな香りに程よい甘みと塩味。
このキャラメルフレーバー+塩味のおかげで
何度元気になれたことかわかりません。

ドイツのお菓子だったそうですが、日本はもちろん
フランス、イギリス、アメリカでも販売されています。

いつも買えていたお店に
このヴェルターズ・オリジナルがなかったので
似たようなフレーバーのキャンディを探しました。

見つけたのは
フランス菓子をテーマとした
カンロの「メゾン・ド・コンフィズリー」シリーズ新作、
キャラメル・サレ "CARAMEL SALÉ"

やはり。
キャラメルフレーバーに塩味の黄金の組み合わせ。
なめらかさはヴェルターズ・オリジナルにはかないませんが
フレーバーはなかなかです。

甘いだけのキャンディは溶け切るまで食べられない私ですが
タンパク質豊富なイメージを彷彿とさせるクリーミィな香りと
身体を温めてくれそうな塩味には
寒さの中で疲れた身体の本能が
"MERCI!" と反応しているようです。

「ノスタルジック・マイルド」な秋映の香り

朝のりんごで目が覚める日々。
昨年の今頃もりんごのことを書いていました。
旬です。

今朝のりんごは、秋映(あきばえ)。




りんごのしずく(秋映・シナノゴールド・シナノスイート)での中で私は、秋映の香りのイメージをこんなふうに書いていました。

……口にふくむとああ懐かしい、やさしいすりおろしりんごの味。香りの印象は「ノスタルジック・マイルド」。人に例えるならば、一緒にいて心落ち着く穏やかな声と言葉の持ち主。……

まさに心落ち着く優しい香りに
朝から助けられています。

深まる秋の紅葉をおもわせる濃い赤が
程よくマーブル状に映る皮の色も素敵。
遠い昔、雪国で育ったころのことまで回想。

2012年11月13日火曜日

薔薇色チラリ・ 薔薇香ほのか・Brillant Rose

紅茶。

色の美しさと香りが命。
だから、とっておきの薔薇紅茶をガラスで楽しむ。



茶葉の写真はコチラ で見つけた。

先日ご紹介のコチラ の記事では、茶葉の中にチラリとピンクのブルガリアローズが見え隠れ。

このチラリと見えるくらいの薔薇が
紅茶の紅色にいっそう華やかな濃淡をつけてゆらめく。

香り方も上品。
後からほのかに優しい余韻。

ブルガリアのローズ、といえば
香り高いダマスクローズ…
と話していたら、
「それはなに?」ときかれたので
コチラ を紹介。

週の初めからハードな一日を終えて。
薔薇に救われた月曜日の夜。

2012年11月11日日曜日

鷲田清一 著『ひとはなぜ服を着るのか』で振り返る「境界を意識した歴史」

先月半ばのこと。
一冊の文庫新書に目が留まる。
その直球なタイトルを見て、即座に購入。



人が生きるために不可欠な「衣食住」の「衣」について
根本的にその本質について思索を試みた書ではないかと
直観できたのは幸いだった。

著者とこの本についての
出版社からの紹介ページはコチラ

「ファッション」といえば「服飾」を主に示すものであるという認識や
英語由来の「ファッション」とフランス語由来の「モード」とは
意味も使われ方の違いも曖昧に感じられている現状の中…
この本は、そうした用語の定義周辺について、フランスの思想家ロラン・バルトの名言をはじめとする様々な名著からの引用とともに、深く掘り下げて思考する機会を提供してくれる。

私自身は、自らの「服」との関わりの歴史を振り返る機会を得た。
私がはじめて自分が着るものに強いこだわりを感じた幼少期から、
着るものというのは、「秘めた感受性の結果の可視化」であった。
これは、香水に対する私の意識と共通する。

今、というこのときの空気から感じる外側。
今の「わたし」の身体の内側からの欲求、防御、想い。
これらの感受のせめぎ合いの中で選びとられた「服」があると。

身につけたいものというもの。それは
身体の外側と内側の境界である、という意識があった。

外側。それは、その時代の様相が醸し出す雰囲気、空気感であり
これが「ファッション」または「モード」の本質的な意味でもある。

内側。それは、記憶とインスピレーションが弾き出す答。

その年齢なりに
その時の周囲の人の眼線うずまく中の空気感を感受しつつ
その外側と、「わたし」という内側とのせめぎ合いから欲した境界線。
それが私にとって衣服であり
かつて「防御」の要素が多かったのに対し
最近では「ホスピタリティ」という要素も増えてきている。

2012年11月10日土曜日

木の香りと無彩色の落ち着き…「シゴトバBASE」


先日、知人の紹介で見せていただいた新しいシェアオフィス。
大阪・心斎橋の西。北堀江にある、シゴトバBase

まずはナチュラルな木の香りが漂うミーティングスペース。




柔らかくあたたかみのある照明、
中央の緑、台形の板をフレキシブルに組み合わせられたテーブル。
奥には個室もあるそうです。

実際にコチラで試しに
小一時間ほどミーティングをさせていただきました。
リラックスしながらお話もはずみ、有意義な打合せとなりました。

そして、こちらは個々のシゴトスペース。
木のナチュラルカラーと緑のほか
白基調、黒の椅子。




こちらにも清々しい木の香りがほんのり。




あらためて
良い気分で仕事に臨める環境に必要な
空間の香り・照明と色彩のバランスを感じる体験でした。

2012年11月9日金曜日

薔薇紅茶とチョコレート・神戸のおみやげ

もう金曜日です。

週の前半に出張で訪れた
秋の神戸はすがすがしい印象でした。

昨夜、ワインの後にと選んだお茶とデザートは
神戸のおみやげ。

コチラでご紹介のショップで購入したものです。


ブルガリアのダマスクローズの花色は
青みがかった鮮やかなピンクなのですが
まさにその花を想像させてくれる……
ブリリアントなカラーの缶。

いっぽう、薄紫のリボンでむすばれたお隣には
カカオの香り高いミルクとビターのチョコレート。



紅茶の茶葉にほんのすこし
ピンクの薔薇の花がブレンドされています。
ほのかに、華やかなフローラルフレーバー。
薔薇独特の酸味が紅茶の深い味わいに調和して
すてきな余韻がのこりました。

2012年11月8日木曜日

表参道の「蒼の時」とクリスマスの香り

夕刻17:30、表参道にて
日は落ちたもののまだ漆黒の夜ではない…黄昏どきの「蒼の時」
心にうっすらと柔らかなヴェールが降りてきて
やさしくつつまれるような気分…


フランス老舗・ゲランのフレグランスで
ちょうど100年前の1912年に発売された
"L'HEURE BLEUE"(ルールブルー)の意味もまさに「蒼の時」。
バニラやブルガリアンローズ、
ヘリオトロープ、サンダルウッド、ムスク…
などが巧みに調香されたという柔らかな香りを想像。

ふと手元から香ってきたのは
先ほどニールズヤードレメディーズ表参道店でいただいた
ナチュラルフレグランス新作の香り。


イエス・キリスト生誕時に
この世で最も貴重な三つのものが捧げられたというエピソードは
新約聖書にも記されていますが、その一つであるフランキンセンス。
そして古代から広く長らく「香りの女王」として愛されてきたローズ。
二つの貴重な天然香料が活かされたナチュラルフレグランス。
厳かな気分を呼ばれました。
吹き付けていただいた試香紙を
読みかけの本に挟み
心を鎮めたいときに開きたいと思います。

2012年11月7日水曜日

ビジュアルが伝える香りの魅力

昨日から、残像となって深く響いているビジュアルがある。

一つは、昨日神戸で見かけた。

シャネルの大きなポスター。
ブラッド・ピット in CHANEL No.5。

この、さまざまな時を経てきたであろう一人の深い情感をたたえた男性。
そう一瞬感じた私の脳裏にはもはやブラッド・ピットという固有名詞などない。

彼の心にいまもなお、離れず愛おしい記憶として刻まれる香り、
そのタイムレスな魅力とは?

あらためてあの名香の香りを確かめてみたくなる。

そして今朝。

ケンゾーから、狂おしいほどの恋に落ちてしまうような喜びに満ちた香り「マドリー ケンゾー」発売 のボトル写真から目が離せなくなった。

うっすらと淡く香りはじめた生きものの気配が
いつしか重なり時を経てバラ色に輝いている…
そんな繊細な、捉え難い瞬間の連続が紡ぐ美の世界。

ふたつのビジュアルのインパクトの共通点は
固有名詞の記憶を払拭し
私の五感にストレートに語りかけてくるところだ。

そんなビジュアルが語る香りに、魅力が感じられないわけはない。



紙のまち・岐阜にて

一昨日に出張した岐阜。

岐阜、といえば
実際に訪れたことがあったのは富山県寄りの飛騨高山地方のみ。
愛知県寄りの美濃とは文化が全く異なるそうです。

以前読んだ本で
川久保玲さん(コムデギャルソン)のコレクションに用いられる生地が
岐阜の職人さんによって作られている、と知り興味を持っていました。

新幹線の停まる「岐阜羽島」周辺はチョット寂しい雰囲気でしたが
広々とした大地と空、ほどよく流れる車や建物の数は
なんだかとてもすがすがしく…
私の故郷の富山や、3年前に訪れたブルガリアすら思い起こしました。

「紙の産地は、水の綺麗な地なんですよ…」

とご説明くださったのは、同行いただいた
紙イング
の方。美濃の和紙について色々なお話をうかがいました。

岐阜羽島駅とはうってかわって賑やかな雰囲気の岐阜駅。
華やかなイルミネーション。




この近くには、織田信長の金色の像もたっていました。

岐阜駅構内の美濃和紙専門店では
紙製の花器を発見。




この、軽くて丈夫な紙の器に
エッセンシャルオイルを垂らすとどうなるのかなと…
ついつい入手してしまいました。
香りを楽しむ素材として
紙には多くの可能性がありそうです。

2012年11月6日火曜日

ガレットとローズティージュレ・神戸にて

出張の合間。三宮にてランチでひと息入れたい場所を発見。
Tooth Toothのサロン・ド・テは一階がショップ、二階がカフェレストラン。

ミネストローネスープに続き、そば粉の香り豊かなガレットサンドプレート。中身は海老とアボカドです。



ユニークなユニフォーム姿のスタッフの方は笑顔も優しく、癒されました。

デザートは、ブルガリアンローズの花をブレンドした紅茶のジュレ。ひんやりした感触に酸味爽やかな薔薇の香りとミントが、涼やかな口直しに。



前日からのハードなスケジュールの後だけに、このお店でのひとときはつかの間のリラクセーションタイムとなりました。

2012年11月4日日曜日

視覚あそび…見えるものから感じる音と匂い・とある老舗のメッセージ

昨日いただいたお菓子のパッケージが
気になってしかたがない。



最初にチラリと見たときの印象は、レトロ&モダン。
お菓子であることはわかっていたけれど、
外観初見でなぜか和菓子であると思った。

上の写真の柄をぼうっと眺めていると
右側からは夜空が見えてきたり
硝子がみえてきたりする。
一方左側からはときどき人の顔がみえる。
さらに…
右からはピアノの高速高音の音色、
左からウッドベースが響く。
そして匂い。
右からはシトラス&フルーツの香りが飛んでくる。
左からはかすかに樹木とその下の湿った土のにおい…

そこまであれこれ感じてしまうと写真に撮りたくなる。

もう一つの面。こんどは黒い部分がなくなった。


たったそれだけなのに先ほどとは別世界。
たったそれだけなのになんという違い。
ぐるぐるとした時の連環が淡々と続く中に
色々なものと出逢う。

大正元年創業。
ということは、今年100年目。
100年の変化の中で生き続けているもの。

素朴な栗の味わいとともに
この老舗の想いの一端を
しみじみと感じた。

2012年11月3日土曜日

太陽と水の色で包む…花の香り

本日、アロマの日。
コチラ でご紹介のAEAJ主催・私が講師担当のセミナー「花の香りとの相性を探る」が開催されました。

リラックスアロマとしてアロマセラピストにはもちろん、フレグランスに欠かせない貴重な天然花香として調香師にも広く愛されている、ダマスクローズとビターオレンジフラワー(香料名ネロリ)。

2012年ブルガリア産ダマスクローズの芳香蒸留水は、エタノール洗浄後のブルーボトルに詰めたあと、今年の花を育んだ太陽と水の色で包み込みました。




こちらは花にせっせと栄養を送ってくれた葉の色で結んでいます。




昨夜は総計30本を包み終えると
私の視界にいつのまにか花園が…




あたたかな太陽光をイメージした濃いイエローのペーパーが
巻きつけられたボトルの上で独特の陰影と曲線を描きました。

4月の約3週間しか開花しないビターオレンジ。
5~6月の一時期、早朝のみがたっぷりと芳香成分を蓄えた花の収穫期であるダマスクローズ。
いずれもそれぞれの土地の土壌と気候、それを支える太陽エネルギーと周囲の自然環境と多くの人の手によって得られるもの。感謝を込めてのパッケージ。

セミナーには女性だけではなく
男性の受講生もいらしてくださいました。
嬉しいことです。
花の香りで、明日からもお元気に過ごしていただきたいと思います。