2011年3月31日木曜日

調香師の訓練が示すもの・嗅覚の大切さ

MODE PRESS 2011,3,25『調香師の「飛び抜けた嗅覚」は訓練の賜物、 仏研究』 を非常に興味深く読む。改めて嗅覚を鍛えることの面白さと意義を感じさせる。

特に記事の5段落目。脳内スキャン観察の結果わかったという内容が興味深い。
「…訓練を続けるうちに、嗅覚を機能させる脳内活動が、意識的な活動をつかさどる部分から、呼吸や嚥下など自動的身体機能をつかさどる領域に徐々に移動していくことも明らかになった。」

調香師ではないが、私自身にも確かに思い当たることがある。
20代以降香水やアロマテラピーの仕事に関わる中で日常的に香料を嗅ぐ機会が増えたことによりそれ以前に比較して幾つかの変化を感じていた。列記する。

1.体調を以前より自覚して行動できるようになった。(過労で倒れる前に休む)
2,その時毎に身体が求める食事と量が感じられるようになった。(必要以上に食べない。食べたくなったものがその時の身体に必要な栄養素であることが多い)
3,自分が好感をおぼえるものに対してと、避けたくなるものに対しての反応や行動に迷いがなくなった。(そういう感覚が感情に左右されることにも気付いた)

さらに私は大学講義の中で、ファッションを専攻する学生に様々な香料を嗅ぐ体験を背景に香りのイメージを視覚化表現する課題を課しているが、毎年学生からは「最初は難しいと感じたが、取り組んでいくうちに面白くなって最終的にとても楽しい経験になったと思う。またこういう取り組みをしたい。」と言われる。表現者として刺激になったという声が多い。昨年プロのピアニストに香りを音楽表現していただくコンサートを実施した時も、ピアニスト自身から「この試みの中で、頭の中で眠っているある部分を起こされたような感覚を覚えました」とコメントをいただいている。

現代の人間にとって情報といえば圧倒的に視覚、聴覚からのものが多いが、その他の感覚をもっと使用し、鍛えることにより開ける未来があるのではないか。今後もさらに科学的な研究が進むことを期待したい。



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