2011年1月25日火曜日

楽園の記憶 ・アロマトリートメント

昨秋、東京都庭園美術館にて開催された「きらめく装いの美 香水瓶の世界」の図録。展覧会監修者であり美術史家であるマルティーヌ・シャザルによって書き下ろされた人と香りの長い歴史を興味深く読んでいます。古代エジプト・オリエント・ギリシア・メソポタミアについての記述中に何度も登場する言葉、「香油」。当時の人々はすでに芳香が油脂に溶けやすいことを知っていました。香料は油脂に混ぜられて保存され、それを身につける人の体温によって芳香が解き放たれたといいます。宗教儀式にのぞむとき、誕生時、婚礼時、そして弔いの時、人の身体には香油が塗られたそうです。

現代におけるアロマテラピートリートメント。植物から抽出された精油(天然香料)を希釈した植物油を、温かい人の手によって皮膚に塗布し、心地よいリラクセーションを提供するものです。精油はスイートアーモンド油やホホバ油などに溶け込み、人の皮膚にもよくなじみます。適度な圧をかけて呼吸に合わせた速度で塗布される心地良さはまさにパラダイス。精油成分は皮膚からも微量が吸収され、血流にのってゆったりとしたリラクセーションをもたらします。

この現代の癒しの方法は、香りと接触による心地良さを最大限に提供する、嗅覚・触覚のエンタテインメントともいえるかもしれません。視覚・聴覚情報が圧倒的に多いこの現代にあって嗅覚と触覚の心地良さを集中して体感できるのです。本来五感をバランス良く駆使して生きるのが生き物であるならば、嗅覚や触覚にも満足できる刺激が欲しいところ。かつて紀元前の昔に体感していた香油による楽園の記憶は、本能のどこかに眠っているような気がします。

私がアロマトリートメントをお客様に提供する中で特に多くリクエストいただいたのはローズオットー精油によるものですが、この香りでセルフトリートメントを楽しめる方法をまずは「ローズ・ヘアケアの心地良さ」に於いてご紹介しています。

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