2010年11月25日木曜日

服と人と空間と

ブランドには、たとえば服だけではなくそのブランドイメージを象徴するようなフレグランスもあります。よく知られた名前を挙げてみるとシャネル、エルメス、ブルガリなど。私はシャネルもエルメスも、主製品を詳しく知る前にフレグランスを知り、その香りからブランドイメージを描いていたと認識しています。ブルガリだけは、イタリアモード誌編集者時代に時計の発表会で初めてこのブランドを意識したので、いまでも重厚感のあるジュエラーという印象をどこかで抱いているようです。

ブランドイメージの香り、といっても上記の場合ほとんどは身体に身に付けるフレグランス。まさに衣服のように身体にまとうものです。

ちょうど8年前の今頃、寒い中にも春を感じさせてくれるような白のブラウスに魅了されて私は一つのブランドに出逢いました。デザイナーは、衣服を身につけた人が存在する空間の香りを大切に思い、身体ではなく空間の香りとしてフレグランスを提案していました。服を着るのは人、その人を含む空間自体を香らせることで心地よさ、優雅さを。そんなメッセージを受け取った私は自身のWebの最初のコラムでこの印象を書いています。2003年春のことでした。

ブティックに入るとふわりとその香りで迎えられ、購入したアイテムにも必ずバラのポプリがついています。帰宅して包みを開けると、そのときの空間をありありと思い起こします。改まった気持ちで服装を選ぶときなど、この香りを空間に漂わせることが楽しくなりました。当初1種類であった香りも近年バリエーションが増え、ルームフレグランスに加えてキャンドルでも楽しむことができます。

ブランド名はアン・フォンテーヌ。デザイナーの名前です。数年前にこのブランドのWeb中において英語と仏語で記されていたデザイナーのエピソードから一部をご紹介したいと思います。当時私の担当講義で学生に紹介するための原稿として簡単に和訳してメモをとっておいたのですが、現在のWebには同内容は掲載されていないようです。


アン・フォンテーヌ。白のシャツを中心とするコレクションをもつこのブランドは'90年代にパリに生まれました。デザイナーのアンはブラジル人とフランス人を両親に持つ女性。リオの美しい山々を見て成長した彼女はこうした自然を大切に思い、エコロジストになりたいと思い描いていたそうです。18才のときに親元を離れて旅に出た彼女は、緑濃いアマゾンの森の中でインディアン部族に受け入れられて生活の手ほどきを受け、自己変革のきっかけを得たということでした…


参考情報
Sawa Hirano's Web 中コラム "white soul"

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