2024年3月30日土曜日

繊細な記憶のように・PASSIFLORA COLOGNE/JO MALONE LONDON




本当に桜が待ち遠しかった3月

寒い日が多く予想開花日は29日


この日に日本で発売となったのが

メメント コレクション /ジョー マローン ロンドン


英国のアンティークマーケットから

インスパイアされたという

限定コレクションの4つの香りとのこと

いずれも手のひらにおさまりそうな

小さな30mLボトル


メメントとは

イタリア語で「思い出の品」

4つの香りから早速入手したのは


PASSIFLORA COLOGNE



香りの説明を読み

柔らかなフローラルアンバーに

2024年らしい新鮮な輝きが

見えるのではと想像


白とゴールドのボトルからは

凛とした気品と優しさが漂い

この春の思い出の品にしたくなる


試香紙に吹き付けられた香りは

実に軽やかで上品

右腕に纏うと

繊細な柔らかさが心地よい



PASSIFLORAとは

私にとって忘れられない

思い出の花

トケイソウ
の学名の一部



この香りのトーンに輝きを添えたのが

こちらも思い出深い

ハニーサックル(スイカズラ)

であるという

そう言えば先月この花が

金銀花とも呼ばれることを

知ったばかり






…écrit par 《SAWAROMA》







2024年2月28日水曜日

2024年2月の香景・4本のフレグランス




静かな冷気に梅花の気配

極寒と早春が入り混じる如月に

和らぎの光や

寒暖の陰影

温もりのような余韻

軽やかな華やかさ





















早春に纏うとほのかな光を感じさせる

2-23 /çanoma



身が引き締まる清々しさは

徐々に漂う濃密な陰影へ

EVA /SANTA MARIA NOVELLA



ふわり優しく奥深い余韻の

LOEWE 001 Woman


春に向かう鮮烈なエナジーを

軽やかに漂わせる

L’EAU ROUGE Nº1 DE CHANEL



いつもより1日多い2月

ゆっくりと春に近づきながら

これまでとは違う弥生の予感





…écrit par 《SAWAROMA》





2024年1月31日水曜日

2024年1月の香景・4本のフレグランス




思いもよらぬ元旦の天災からひと月。

北陸生まれの身には心痛む時間が続き

意識的に静かな時間を過ごしていた。


香りは毎日愛用した。

昨年末に決めたように

これまでに厳選したフレグランスを

適度な距離感を保ちながら。





この1月

特に頻繁に使用したのは

あの羽衣のように柔らかな

Sur tes lèvres. E.Q. /D’ORSAY



さらに

当初は家人へのギフトとして

入手していた

繊細な穏やかさを醸し出す

J’ai l’air de ce que je suis. J.R /D‘ORSAY

も、ひときわ肌寒い日に

安らぎを感じさせてくれた。



自身を高揚させたいときには

深い紫のボトルを。

FLEUR DU DÉSERT /LOUIS VUITTON

白い花の余韻の奥に

スパイスとハニーの独特なコクが絡み

自身の中に確かな陰影を実感させる。



そして

1月も後半になると

昨秋めぐり逢えた黒のボトル、

Mame Kurogouchi のEAU DE PARFUM

を思い起こし

この香りに似合う装いへと

自由に想像を巡らす。

そんな折

偶然この香りによく調和する

なめらかな履き心地の靴に出逢えた。



香りは

自身の呼吸とともに体内に入り

自身の感覚に呼びかける。

毎月の月末に

記憶に余韻として残った「香景」を

綴っていこうと思う。





…écrit par 《SAWAROMA》






2023年12月27日水曜日

『匂いが命を決める』を読み、香水との関係を振り返る




今年も様々な書物に出逢えたが、中でも11月に一読したこの本は最も印象深い。


『匂いが命を決める  ヒト・昆虫・動植物を誘う嗅覚』 







昆虫と植物の相互作用についての神経行動学研究で知られ、特に昆虫の嗅覚研究で名高いという著書の経歴に惹かれて一読。何となく漠然とわかっていたような認識が、本書の具体的な生物の事例を読むにつれ、痛烈な実感を伴っていく。


環境を瞬時に分析し、命を守りつなぐために働く嗅覚、そのために人の鼻は顔の中央,先端についているのかもしれない。原題(DIE NASE VORN)の意味は「前にある鼻」とのこと。自身の嗅覚と向き合い研ぎ澄ます時間を増やしたいと思う。


ヒトは犬,魚,昆虫その他より圧倒的に嗅覚は鈍いとよく言われる。しかし、ほとんどの生物が生存と生殖のために嗅覚を駆使しているのであれば、同じく生物であるヒトが嗅覚を利用していないはずはない。視覚聴覚からの情報が多いだけに意識されることが少なかったかもしれないが。


ヒトは他の生物のように裸ではいられないし頻繁に身体を洗うため、本来の体臭だけでコミュニケーションすることは不可能である。しかし、自身の生存に有利となる嗅覚の使い方を考える際、自身から発する香りは厳選し,繊細な嗅覚を疲弊させない距離感を保つ必要があると感じる。


今年、自身のために新たに入手したフレグランスは,最小サイズで1本、フルボトルで1本のみだった。まずは自身が快適でいられることは大前提であり、その上で第三者からみた自身の存在感とその場の状況に好ましくない要素が発信されないためにも、まとう香りは厳選していきたい。





…écrit par 《SAWAROMA》